薬理

薬理学:呼吸器系(20問)

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問1 延髄の呼吸器中枢を刺激して、呼吸興奮作用を示すのはどれか。

①ドキサプラム

②フルマゼニル

③ジモルホラミン

正解は③でした!

【解説】

①誤。ドキサプラムは、抹消の化学受容器を刺激して呼吸興奮作用を示す。

②誤。フルマゼニルは、ベンゾジアゼピン受容体に拮抗し、ベンゾジアゼピン系薬剤よる鎮静の解除、呼吸抑制の改善に使用される。

③正。ジモルホラミンは、延髄の呼吸中枢を刺激して呼吸興奮作用を示す。

 

問2 末梢の化学受容器を刺激して、呼吸興奮作用を示すのはどれか。

①ドキサプラム

②レバロルファン

③ナロキソン

正解は①でした!

【解説】

①正。ドキサプラムは、抹消の化学受容器を刺激して、反射的に呼吸興奮作用を示す。

②誤。レバロルファンは、オピオイド受容体に拮抗して、モルヒネ等の呼吸抑制作用に拮抗する。拮抗作用だけでなく、モルヒネ様作用をも示す。

③誤。ナロキソンは、オピオイド受容体に拮抗しモルヒネ等の麻薬性鎮痛剤の過量投与による、呼吸抑制の改善に使用される。拮抗作用はレバロルファンよりも強力。

 

問3 次のうち麻薬性の鎮咳薬はどれか。

①ノスカピン

②コデイン

③ペントキシベリン

正解は②でした!

【解説】

①誤。ノスカピンは非麻薬性の鎮咳薬で、延髄の咳中枢の抑制作用を示す。

②正。コデインは麻薬性の鎮咳薬であり、依存性を示す。鎮咳作用は延髄の咳中枢を抑制することで起こる。一般用医薬品にも鎮咳薬として配合されている。

③誤。ペントキシベリンは非麻薬性の鎮咳薬であり、延髄咳中枢の抑制と、抗コリン作用を示す。

 

問4 次のうち、鎮咳作用の一番強いものはどれか。

①コデイン

②モルヒネ

③ジヒドロコデイン

正解は②でした!

【解説】

鎮咳作用はモルヒネ>ジヒドロコデイン>コデインの順に強い。

コデインはモルヒネがメチル化されたものであり、鎮痛効果はモルヒネに代謝されて示すが、鎮咳効果はコデインそのものの作用と考えられている。

ジヒドロコデインは、コデインの一部が還元されたものである。

 

問5 去痰作用を有する鎮咳薬はどれか。

①デキストロメトルファン

②コデイン

③グアイフェネシン

正解は③でした!

【解説】

①誤。デキストロメトルファンは非麻薬性の鎮咳薬であり、延髄咳中枢を抑制することで咳反射を抑制する。

②誤。コデインは麻薬性の鎮咳薬であり、延髄咳中枢を抑制することで咳反射を抑制する

③正。グアイフェネシンは気管支腺分泌亢進により、去痰作用も併せ持つ鎮咳薬である。

 




問6 コデインの副作用で誤っているものはどれか。

①下痢

②嘔吐

③呼吸抑制

正解は①でした!

【解説】

コデインはオピオイドμ受容体を刺激することで、アセチルコリンの遊離を抑制して、腸の蠕動運動を低下させて便秘を引き起こす。

嘔吐、呼吸抑制も代表的な副作用である。

 

問7 次のうち気管支喘息の患者に禁忌の鎮咳薬はどれか。

①ノスカピン

②チペピジン

③ジヒドロコデイン

正解は③でした!

【解説】

ジヒドロコデインは気道分泌を妨げる為、気管支喘息患者には禁忌である。

 

問8 構造中にSH基を有する去痰薬はどれか。

①L-カルボシステイン

②ブロムヘキシン

③アセチルシステイン

正解は③でした!

【解説】

構造中にSH基を有する去痰薬には、アセチルシステイン、L-エチルシステイン、L-メチルシステインがある。

L-カルボシステインは硫黄元素(S)を構造中に含むが、SH基は有さない。

 

問9 肺サーファクタントの分泌促進作用を示す去痰薬はどれか。

①アンブロキソール

②L-カルボシステイン

③ノスカピン

正解は①でした!

【解説】

①正。アンブロキソールは肺表面活性物質(肺サーファクタント)の分泌促進作用を持ち、淡の滑りを容易にする。他にも気道粘液分泌の促進作用と繊毛運動の亢進作用がある。ブロムヘキシンの活性代謝物である。

②誤。L-カルボシステインは痰の粘液構成成分(シアル酸とフコース)の調整をすることにより去痰作用を示す。

③誤。ノスカピンは鎮咳薬であり、延髄の呼吸中枢を抑制する。

 

問10 気道粘膜の漿液性成分の分泌を促進し、淡の粘度を低下させる薬物はどれか。

①ブロムヘキシン

②デキストロメトルファン

③L-エチルシステイン

正解は①でした!

【解説】

①正。ブロムヘキシンは気道粘液の分泌作用と痰の溶解作用を持ち去痰作用を示す。他に、肺サーファクタント分泌作用を持つ。

②誤。デキストロメトルファンは延髄呼吸中枢を抑制する鎮咳薬である。

③誤。L-エチルシステインは構造式中にSH基を持ち、痰粘液中のムコタンパク質のジスルフィド結合(-S-S-)を開裂させ、痰の粘度を低下させる。

 




問11 痰の粘液構成成分の割合を変化させて、痰を排出させる去痰薬はどれか。

①アセチルシステイン

②L-エチルシステイン

③L-カルボシステイン

正解は③でした!

【解説】

①誤。L-アセチルシステインは、痰粘液中のムコタンパク質のジスルフィド結合(-S-S-)を開裂させ、痰の粘度を低下させることで去痰作用を示す。

②誤。L-エチルシステインは、L-アセチルシステインと同様の機序で去痰作用を示す。

③正。アセチルシステインは,L-アセチルシステインやL=カルボシステインとは違い、ジスルフィド結合の開裂作用を持たず、痰粘液中の構成成分の調整作用を示す。痰の粘度の低下、気管支粘膜上皮の繊毛細胞の週副作用を示す。

 

問12 アドレナリンβ受容体に作用する気管支喘息治療薬はどれか。

①プロプラノロール

②プロカテロール

③イプラトロピウム

正解は②でした!

【解説】

①誤。プロプラノロールは非選択的なアドレナリンβ受容体遮断薬であり、気管支平滑筋のβ受容体を遮断し、気管支を収縮させる為、気管支喘息患者に禁忌である。

②正。プロカテロールはアドレナリンβ受容体を刺激して、気管支平滑筋を拡張させて気管支喘息の治療に使用される。

③誤。イプラトロピウムは、ムスカリンM受容体を遮断し、気管支平滑筋を拡張させて気管支喘息の治療に使用される。

 

問13 アミノフィリンの気管支平滑筋拡張に関わる機序はどれか。

①アデニル酸シクラーゼ活性化

②cAMP分解抑制

③ホスホリパーゼC活性化

正解は②でした!

【解説】

アミノフィリンはホスホジエステラーゼ阻害作用により、cAMPの分解を抑制し、気管支を拡張させる。

 

問14 気管支の炎症を抑える目的で使用される副腎皮質ステロイド性薬物はどれか。

①ブテソニド

②アゼラスチン

③スプラタスト

正解は①でした!

【解説】

①正。ブテソニドは吸入ステロイド製剤であり、炎症性メディエーターの産生と遊離抑制により、炎症作用を示す。気管支拡張作用はない。吸入後は口腔カンジダや嗄声を防ぐため、うがいを行なう。

②誤。アゼラスチンはヒスタミンH1受容体を遮断する抗ヒスタミン薬でありながら、ロイコトリエンの産生・遊離抑制、拮抗作用を示し、気管支を拡張させる。

③誤。スプラタストはTh2リンパ球のIL-4及びIL-5の産生を抑制して、IgE産生の抑制、好酸球の浸潤を抑制する。

 

問15 トロンボキサン合成酵素を阻害して、気管支喘息に使用される薬物はどれか。

①セラトロダスト

②ラマトロバン

③オザグレル

正解は③でした!

【解説】

①誤。セラトロダストは、トロンボキサンA受容体に拮抗して気管支収縮を抑制する。トロンボキサンは血管透過性亢進作用を示してアレルギー性鼻炎への関与、気管支を収縮させるロイコトリエンに関与して気道過敏性を亢進させる。

②誤。ラマトロバンは、トロンボキサンA受容体に拮抗して、アレルギー性鼻炎に使用される。また、プロスタグランジンD受容体にも拮抗して、抗アレルギー作用を示すことが知られている。

③正。オザグレルはトロンボキサン合成酵素を阻害することで、トロンボキサンAの産生を抑制し、気管支の収縮を抑制する。

 




問16 ケミカルメディエーター遊離を抑制して、気管支喘息に使用される薬物はどれか。

①ホルモテロール

②クロモグリク酸

③モンテルカスト

正解は②でした!

【解説】

①誤。ホルモテロールはアドレナリンβ受容体を刺激して、気管支平滑筋を拡張させることで気管支喘息の治療に使用される。

②正。クロモグリク酸は、肥満細胞からのヒスタミンやロイコトリエン等のケミカルメディエーターの遊離を抑制する。気管支を直接拡張させることはできないため、予防を目的として使用される。

③誤。モンテルカストはロイコトリエン受容体に拮抗し、気管支平滑筋の収縮を抑制して気管支喘息に使用される。

 

問17 ロイコトリエン受容体を遮断して気管支喘息に使用される薬物はどれか。

①プランルカスト

②トラニラスト

③アンレキサノクス

正解は①でした!

【解説】

①正。プランルカストは、ロイコトリエン受容体を遮断し、気管支平滑筋の収縮を抑制する。

②誤。トラニラストは、ケミカルメディエーター遊離抑制作用を示し、気管支喘息に使用される。

③誤。アンレキサノクスは、ヒスタミン遊離抑制作用、ロイコトリエン産生の抑制、抗ロイコトリエン作用を示し、気管支喘息に使用される。

 

問18 重症の気管支喘息患者に使用されるオマリズマブは何に対する抗体製剤か。

①IgE

②TNF-α

③CD20

正解は①でした!

【解説】

オマリズマブはIgEに対する抗体であり、IgEと高親和性受容体(FcℇRI)との結合を阻害して、肥満細胞の活性化を抑制する。既存の治療でも改善しない重症例に適応となる。

その他にも最近は抗体製剤の新薬が数製品登場している。

TNF-αに対する抗体製剤はインフリキシマブ、CD20に対する抗体はリツキシマブである。

 

問19 ムスカリンM受容体を遮断して気管支喘息に使用される薬物はどれか。

①サルブタモール

②イブジラスト

③オキシトロピウム

正解は③でした!

【解説】

①誤。サルブタモールは、アドレナリンβ受容体に作用して気管支平滑筋を拡張させる。

②誤。イブジラストは、ロイコトリエン遊離抑制作用、受容体拮抗作用を示し、気管支の収縮を抑制する。

③正。オキシトロピウムは、ムスカリンM受容体を遮断する抗コリン薬であり、アセチルコリンによる気管支収縮を抑制する。

 

問20 気管支喘息の長期コントロールに使用されるβ受容体作動薬はどれか。

①ツロブテロール

②イプラトロピウム

③フルチカゾン

正解は①でした!

【解説】

①正。ツロブテロールは長時間作用型のβ受容体作動薬であり、日常生活での気管支収縮を抑制する長期管理薬(コントローラー)として使用される。発作時に使用されるβ作動薬にはプロカテロールなどがある。

②誤。イプラトロピウムはムスカリンM受容体を遮断して、喘息発作時に使用される。

③誤。フルチカゾンは吸入ストロイド製剤であり、気道炎症を抑制する。β受容体との合剤が一般に使用されている。

最近では3剤配合の新薬も登場している。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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