薬理

薬理学:用量と反応(10問)

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問1 薬物を投与した、一群の動物の50%において、死亡する用量を示すものはどれか。

①ED50

②LD50

③LD50÷ED50

正解は②でした!

【解説】

一群の動物の50%において、死亡する用量を50%致死量(LD50)、一群の動物の50%において、効果が現れる用量を50%有効量(ED50)といいます。

LD50の「L」はリーサル(致死的)、ED50の「E」はエフェクト(効果的)、それぞれの「D」はドーズ(用量)を表しています。

 

問2 薬物の安全域の計算式はどれか。

①LD50÷ED50

②LD50-ED50

③LD50×ED50

正解は①でした!

【解説】

50%致死量(LD50)を、50%有効量(ED50)で割ったものが安全域(治療係数)となります。

この値が大きいと、ちょびっとの用量で効果は出るけども、めちゃめちゃ投与しないと死ぬことはない、という表れになります。

 

問3 完全アゴニストの内活性はどれか。

①0

②1

③0.5

正解は②でした!

【解説】内活性は0~1で表される、薬の強さを示す指標です。

0であれば、完全アンタゴニスト(遮断薬、拮抗薬)

1であれば、完全アゴニスト(刺激薬)

0<内活性<1であれば、部分アゴニスト(刺激作用&遮断作用を持つ薬)

となります、合わせて覚えておきましょう。

 

問4 部分アゴニスト(部分刺激薬)の説明として正しいのはどれか。

①受容体に対して刺激作用のみを示す

②受容体に対して刺激作用及び遮断作用を示す

③受容体に対して遮断作用のみを示す

正解は②でした!

【解説】部分刺激薬とは、受容体に対して刺激作用及び遮断作用を示すものです。具体的には、ブプレノルフィン(μ受容体に対して)やアリピプラゾール(D受容体に対して)が国家試験レベルではよく出題されます。

 




問5 完全アンタゴニストの内活性はどれか。

①0

②1

③0.5

正解は①でした!

【解説】

内活性は0~1で表される、薬の強さを示す指標です。

0であれば、完全アンタゴニスト(遮断薬、拮抗薬)

1であれば、完全アゴニスト(刺激薬)

0<内活性<1であれば、部分アゴニスト(刺激作用&遮断作用を持つ薬)

となります、合わせて覚えておきましょう。

 

問6 図の用量反応曲線の変化について正しい記述はどれか。

①アゴニスト単独投与のグラフがA、競合的アンタゴニスト併用時がB

②アゴニスト単独投与のグラフがA、非競合的アンタゴニスト併用時がB

③競合的アンタゴニスト併用時がA、アゴニスト単独投与のグラフがB

正解は①でした!

【解説】

競合的アンタゴニスト(邪魔者のイメージ)存在下で、アゴニストが作用を発揮しようとすると、アゴニスト単独投与の時よりも多くの用量が必要になります。

アゴニストの用量を増やすことで、最大反応を起こすことは可能で、「グラフが高用量側に平行移動する」なんていう風にも表現されます。

グラフより、それらの関係性に当てはまるのが①。

 

問7 図の用量反応曲線の変化について正しい記述はどれか。

①アゴニスト単独投与のグラフがA、競合的アンタゴニスト併用時がB

②アゴニスト単独投与のグラフがA、非競合的アンタゴニスト併用時がB

③競合的アンタゴニスト併用時がA、アゴニスト単独投与のグラフがB

正解は②でした!

【解説】

非競合的アンタゴニスト(非可逆的なアンタゴニストなど)存在下では、アゴニストの用量をいくら増やそうと、最大反応を起こすことはできない。

この時、「グラフは頭打ちになる」などと表現されます。グラフより、それらの関係性に当てはまるのが②。

 

問8 刺激薬、遮断薬に関する説明において正しいのはどれか。

①pD値は、競合的遮断薬の効力を表す指標であり、その数値が大きいと強い遮断薬であるといえる

②pA値は、刺激薬の効力を表す指標であり、その数値が大きいと強い刺激薬であるといえる

③pD′値は、非競合的遮断薬の効力を表す指標であり、その数値が大きいと強い遮断薬であるといえる

正解は③でした!

【解説】

①誤。pD値は、刺激薬の効力を表す指標であり、その数値が大きいと強い刺激薬であるといえる。

②誤。pA値は、競合的遮断薬の効力を表す指標であり、その数値が大きいと強い遮断薬であるといえる。

③正。pD′値は、非競合的遮断薬の効力を表す指標であり、その数値が大きいと強い遮断薬であるといえる。

 




問9 グラフは、摘出平滑筋の収縮に対する薬物Aと薬物Bの濃度-反応曲線を示している。この実験結果に関する記述のうち、正しいのはどれか。 ただし、これらの薬物は同一の受容体結合部位にのみ作用し、また、受容体への 結合は可逆的で速やかに起こるものとする。

①薬物Bは部分アゴニストである

②薬物BのpD値は、約5である

③薬物Bによる最大反応時の収縮は、薬物Aの投与により抑制されると推定できる

正解は③でした!

【解説】

①誤。薬物Bは最大反応を起こすことができているため、完全アゴニストである。部分アゴニストに該当するのは、用量を増やしても最大反応に到達しないAである。

②誤。pD値は、刺激薬の効力を表す指標であり、「50%の反応率を示す時の薬物濃度の負の対数」と定義されている。薬物Bの反応率50%の時の値より、そのpD値は、約6である。

(最大反応の半分あたりの濃度、10のマイナスx乗になるところの、「x」の値が、そのままpD値になります)

③正。薬物Bは完全アゴニストですが、薬物Aは部分アゴニスト、つまり薬物Aは遮断作用も併せ持つことになります。両者を併用した場合、薬物Aが持つ遮断作用が、薬物Bの最大反応の足を引っ張ります。

 

問10 部分受容体刺激薬に関する記述として正しいのはどれか。

①固有活性(内活性)によって、どの程度の刺激作用を示すかが決まる

②部分受容体刺激薬が、ドパミンなどの内因性物質の働きに影響を及ぼすことはない

③濃度の上昇により、受容体を最大限に活性化することができる

正解は①でした!

【解説】

①正。固有活性(内活性)が0に近いのか?1に近いのか?で刺激作用の強さは変わります。

②誤。部分受容体刺激薬アリピプラゾールは、ばっちりドパミン受容体を刺激したり遮断したりします。アリピプラゾールは、基本的に遮断作用を示しますが、パーキンソニズムが発現しそうになると、刺激作用に転じるといわれています。

③誤。部分受容体刺激薬には、遮断作用が含まれているので、どれだけ用量を増やしても、その受容体にとっての最大反応を示すことはない。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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