薬理

薬理学:ウイルスに作用する薬(12問)

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問1 ノイラミニダーゼを阻害する抗ウイルス薬はどれか。

①リトナビル

②ラニナミビル

③アシクロビル

正解は②でした!

【解説】

①誤。リトナビルはプロテアーゼ阻害薬であり、HIVの融合タンパク質の切断を阻害し、 HIV産生を抑制する。

②正。ラニラミビルはノイラミニダーゼ阻害薬であり、インフルエンザウイルスが宿主細胞から遊離するのを抑制する。発症後48時間以内でないと効果は期待できない。ノイラミニダーゼ阻害薬の作用機序や薬剤一覧に関してはこちらの記事をご参照。

③誤。アシクロビルは細胞内で三リン酸化体となり、dGTPと競合してDNAポリメラーゼを阻害する。

 

問2 抗ウイルス薬のジドブジンが阻害する酵素はどれか。

①CCR5

②逆転写酵素

③インテグラーゼ

正解は②でした!

【解説】

①誤。CCR5はHIVが細胞に侵入する際に利用する受容体である。CCR5を阻害する薬物にはマラビロクがある。

②正。ジドブジンはヌクレオチド系の逆転写酵素を阻害薬である。

③誤。インテグラーゼはHIVのゲノムをヒトのゲノムに組み込む酵素である。インテグラーゼを阻害する薬物にはラルテグラビルやドルテグラビルがある。

 

問3 アシクロビルに関する記述のうち正しい記述はどれか。

①生体内でバルガンシクロビルに変換される

②作用発現にリン酸化は不要である

③活性体となりdGTPと競合する

正解は③でした!

【解説】

①誤。バルガンシクロビルは生体内で代謝を受けてガンシクロビルに変換される。アシクロビルのプロドラッグ製剤にはバラシクロビルがある。

②誤。アシクロビルは細胞内でリン酸化を受けてdGTPと競合する。

③正。②の解説参照。まず、ウイルス由来のキナーゼでリン酸化された後、細胞性のキナーゼでリン酸化を受ける。

 

問4 逆転写酵素を阻害するのはどれか。

①エファビレンツ

②サキナビル

③ラルテグラビル

正解は①でした!

【解説】

①正。エファビレンツは非ヌクレオチド系の逆転写酵素阻害薬であり、逆転写酵素の疎水ポケットに結合することで非競合的に阻害する。

②誤。サキナビルはプロテアーゼ阻害薬であり、HIVタンパク質の成熟を抑制する。

③誤。ラルテグラビルはインテグラーゼを阻害して、HIVゲノムがヒトゲノムに組み込まれる段階を抑制する。

 

問5 抗ウイルス治療薬に関する記述のうち正しいものはどれか。

①ラミブジンは逆転写酵素を阻害してHIV治療に使用される

②リバビリンはインターフェロンと併用すると重篤な副作用が発生する

③バラシクロビルは体内でバルガンシクロビルに変換される

正解は①でした!

【解説】

①正。ラミブジンは逆転者酵素を阻害することで、HIV増殖を抑制し、治療に使用される。

②誤。リバビリンはRNAポリメラーゼ阻害薬であり、インターフェロンとの併用で抗ウイルス効果が増強する。インターフェロンと併用すると重篤な副作用が発生するのは小柴胡湯である。

③誤。バラシクロビルは体内でアシクロビルに変換される。バルガンシクロビルはアシクロビルのプロドラッグである。どちらも活性本体となった後、三リン酸化されたのちDNAポリメラーゼ阻害作用により、抗ウイルス作用を示す。

 




問6 細胞内でリン酸化を受けて、DNAポリメラーゼ阻害作用を示すのはどれか。

①ザナミビル

②ビダラビン

③インターフェロン

正解は②でした!

【解説】

①誤。ザナミビルはノイラミニダーゼ阻害薬であり、インフルエンザウイルスが宿主細胞から遊離するのを阻害する。

②正。ビダラビンは、三リン酸化体となり、ヘルペスウイルスのDNAポリメラーゼを阻害する。

③誤。インターフェロン製剤は2`,5`-オリゴアデニル酸合成酵素を誘導しRNAを分解する作用と免疫調節作用により抗ウイルス作用を示す。C型肝炎の治療の主流であったが、現在ではHCVに有効な新薬が開発され、インターフェロンを併用しなくても治療が可能になった。

 

問7 抗ウイルス治療薬のうち正しい記述はどれか。

①ガンシクロビルはRNAポリメラーゼを阻害する

②ネビラピンはインテグラーゼを阻害する

③マラビロクはCCR5を阻害する

正解は③でした!

【解説】

①誤。ガンシクロビルは体内で三リン酸化体となり、サイトメガロウイススのDNAポリメラーゼを阻害する。

②誤。ネビラピンは非ヌクレオチド系の逆転写酵素阻害薬であり、HIVの増殖を抑制する。

③正。マラビロクはCCケモカインレセプター5(CCR5)を阻害して、HIVの細胞内への侵入を阻害する。

 

問8 アマンタジンに関する記述のうち、正しいものはどれか。

①ノイラミニダーゼを阻害する

②A型インフルエンザのみに有効である

③細胞へのウイルスの侵入を抑制する

正解は②でした!

【解説】

①誤。アマンタジンはMイオンチャネルを阻害してインフルエンザウイルスの脱殻を阻害し、ウイルス増殖を抑制する

②正。アマンタジンはA型インフルエンザのみに有効であり、B型インフルエンザには有効ではない。ノイラミニダーゼ阻害薬はAおよびB型のインフルエンザに有効である。

③誤。解説①参照。アマンタジンはインフルエンザの脱殻を抑制して抗ウイルス作用を示す。

 

問9 ノイラミニダーゼを阻害するのはどれか。

①オセルタミビル

②インジナビル

③テレプレビル

正解は①でした!

【解説】

①正。オセルタミビルはノイラミニダーゼを阻害して、感染細胞からウイルスが遊離するのを抑制する。

②誤。インジナビルはHIVプロテアーゼ阻害薬であり、タンパク質の切断を抑制してウイルス粒子の産生を阻害する。

③誤。テラプレビルはNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬であり、HCV由来のタンパク質の成熟を阻害し、HCVの増殖を抑制する。

 

問10 HIVのプロテアーゼ阻害はどれか。

①リトナビル

②ラルテグラビル

③アバカビル

正解は①でした!

【解説】

①正。リトナビルはHIVタンパク質を阻害してウイルス粒子の生成を阻害する。

②誤。ラルテグラビルはインテグラーゼを阻害してHIVゲノムがヒトゲノムに組み込まれるのを阻害する。

③誤。アバカビルはヌクレオチド系の逆転写酵素阻害薬であり、HIVの増殖を抑制する。

 




問11 抗ウイルス薬に関する記述のうち正しいものはどれか。

①オセルタミビルはB型インフルエンザに有効である

②リバビリンはプロテアーゼを阻害する

③ジダノシンは非ヌクレオチド系逆転写酵素阻害薬である

正解は①でした!

【解説】

①正。オセルタミビルはA型およびB型のインフルエンザウイルスに有効である。なお、アマンタジンはA型インフルエンザのみに有効である。

②誤。リバビリンはRNAポリメラーゼを阻害して、HCVの増殖を抑制する。

③誤。ジダノシンはヌクレオチド系の逆転写酵素阻害薬である。非ヌクレオチド系にはエファビレンツ、ネビラピンがある。

 

問12 NS5A複製複合体を阻害する抗HCV薬はどれか。

①ソホスブビル

②アスナプレビル

③ダクラタスビル

正解は③でした!

【解説】

①誤。ソホスブビルはNS5Bポリメラーゼを阻害して、ウイルスRNAの伸長を抑制し抗HCV作用を発揮する。

②誤。アスナプレビルはNS3/4Aプロテアーゼを阻害して、ウイルスタンパクの切断を抑制しHCVの増殖を抑制する。

③正。ダクラタスビルはNS5A複合体を阻害して、HCVの複製、細胞内シグナルの伝達を阻害する。

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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