薬理

薬理学:受容体、依存(18問)

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問1 Gsタンパク質共役型受容体の刺激では何の活性化が起こるか。

①アデニル酸シクラーゼ

②ホスホジエステラーゼ

③ホスホリパーゼC

正解は①でした!

【解説】

Gsタンパク質共役型受容体の刺激では、
アデニル酸シクラーゼの活性化 → cAMP(サイクリックAMP)の産生促進
の機構が進んでいきます。「シクラーゼ」という言葉自体に、「サイクリック〇〇を作る」という意味が含まれています。

 

cAMP増加による主な反応には、心機能の促進(β1刺激)、平滑筋の弛緩(β2刺激)などがあります。

Gsのsは、促進の「s」、シクラーゼの「s」と覚えておきましょう。

 

問2 Giタンパク質共役型受容体の刺激では何の抑制が起こるか。

①アデニル酸シクラーゼ

②ホスホジエステラーゼ

③ホスホリパーゼC

正解は①でした!

【解説】

Gsタンパク質共役型受容体の刺激では、

アデニル酸シクラーゼの「抑制」 → cAMPの産生抑制(減少)

を引き起こします。

 

Giのiは「インヒビット(抑制する)」の意味が含まれています。

cAMP減少による主な反応には、心機能抑制(M2刺激)、ノルアドレナリン遊離抑制(α2刺激)、アセチルコリン遊離抑制(D2刺激)などがあります。

 

問3 具体的なGiタンパク質共役型受容体は、どのグループの受容体か。

①α受容体、M受容体、D受容体、GABAB受容体、μ受容体

②α受容体、M受容体、M受容体、H受容体、AT受容体

③β受容体、β受容体、β受容体、H受容体

正解は①でした!

【解説】

以下に正しい組み合わせを示します。

【Giタンパク質共役型受容体】・・・α受容体、M受容体、D受容体、GABAB受容体、μ受容体、5-HT受容体

【Gqタンパク質共役型受容体】・・・α受容体、M受容体、M受容体、H受容体、AT受容体、5-HT受容体

【Gsタンパク質共役型受容体】・・・β受容体、β受容体、β受容体、H受容体、5-HT受容体

 

問4 Gqタンパク質共役型受容体の刺激では何の活性化が起こるか。

①アデニル酸シクラーゼ

②ホスホジエステラーゼ

③ホスホリパーゼC

正解は③でした!

【解説】

Gqタンパク質共役型受容体の刺激では、

ホスホリパーゼCの活性化 → PIPの分解物として、ジアシルグリセロール(DG)とイノシトール三リン酸(IP)の生成

を引き起こします。

 

この機構が進むことで起こる反応には、血管収縮(α刺激)、平滑筋刺激(M刺激)、胃酸分泌(M刺激)などがあります。

Gqタンパク質共役型受容体の刺激では、「アデニル酸シクラーゼ」は全く関係ないというようにも覚えておきましょう!

 

問5 受容体拮抗薬の説明として正しいのはどれか。

①競合的拮抗薬は、高濃度の作動薬の投与を行っても、受容体から解離しない

②非競合的拮抗様式の中に、「非可逆的」「アロステリック拮抗」「生理的拮抗」が含まれる

③受容体拮抗薬は、遮断薬、ブロッカー、及びアゴニストと呼ばれる

正解は②でした!

【解説】

①誤。競合的拮抗薬は、高濃度の作動薬の投与を行うと、受容体から解離し「作動薬の効果」が上昇していく

②正。非競合的拮抗様式の中に、「非可逆的」「アロステリック拮抗」「生理的拮抗」が含まれます。非競合的というのは、広義の言葉です。

③誤。受容体拮抗薬の別名は、遮断薬、ブロッカー、及びア ンタ ゴニスト、ですね。

 




問6 インスリン受容体はどれに分類されるか。

①イオンチャネル内蔵型

②Giタンパク質共役型

③チロシンキナーゼ関連型(酵素関連型)

正解は③でした!

【解説】

インスリン受容体は、チロシンキナーゼ関連型(酵素関連型)です!

受容体刺激後、すぐにチロシンキナーゼの活性化が起こり、単糖の血中から細胞内への取り込み作用(血糖降下作用)を示します。

 

問7 Clチャネル内蔵型受容体ではないものはどれか。

①グリシン受容体

②GABAA受容体

③GABAB受容体

正解は③でした!

【解説】

GABAA受容体、グリシン受容体の2つがClチャネル内蔵型受容体であるということは基本中の基本中の基本です!

受容体の刺激により、チャネルが開口、Clイオンの流入からの過分極を引き起こします。

 

なお、過分極とは、細胞内にマイナスのイオンが増加する(orプラスのイオンが減少する)様子のことであり、細胞はリラックスや傾眠など「抑制的な反応」を引き起こす。

 

問8 セロトニン受容体の中で、Gタンパク質共役型ではないものはどれか。

①5-HT受容体

②5-HT受容体

③5-HT受容体

④5-HT受容体

正解は③でした!

【解説】

以下に正しい組み合わせを示します。

5-HT受容体・・・Gタンパク質共役型

5-HT受容体・・・Gタンパク質共役型

5-HT受容体・・・Naなどプラスイオンのチャネル内蔵型受容体

5-HT受容体・・・Gタンパク質共役型

 

問9 自律神経節にて、節前線維から節後線維への神経伝達を行う受容体はどれか。

①グルタミン酸NMDA受容体

②ニコチン性アセチルコリン受容体(NN受容体)

③グリシン受容体

正解は②でした!

【解説】

ニコチン性アセチルコリン受容体(NN受容体)は、Naチャネル内蔵型受容体であり、自律神経節にて、節前線維から節後線維への神経伝達を担っている。

 

細胞内に、積極的にNaなどのプラスイオンが流入していく様子は脱分極と呼ばれ、神経興奮や筋収縮など、「興奮的な反応」を引き起こす。

 

問10 刺激により、Ca2+を透過させる受容体はどれか。

①グルタミン酸NMDA受容体

②ニコチン性アセチルコリン受容体(NN受容体)

③グリシン受容体

正解は①でした!

【解説】

グルタミン酸NMDA受容体は、Ca2+チャネル内蔵型受容体であり、神経興奮などの反応を担っている。




問11 Naに対し、高い透過性を示すイオンチャネル内蔵型受容体はどれか。

①グルタミン酸NMDA受容体

②ニコチン性アセチルコリン受容体(NN受容体)

③グリシン受容体

正解は②でした!

【解説】

ニコチン性アセチルコリン受容体(NN受容体)は、Naチャネル内蔵型受容体であり、自律神経節にて、節前線維から節後線維への神経伝達を担っている。

 

また、骨格筋細胞存在するにニコチン性アセチルコリン受容体(NM受容体)もNaチャネル内蔵型受容体であり、刺激により筋収縮反応を引き起こす。

 

問12 平滑筋において、筋小胞体からのCa2+の遊離を促進し、平滑筋収縮反応を起こす受容体はどれか。

①Gqタンパク質共役型受容体刺激

②Gsタンパク質共役型受容体刺激

③Clチャネル内蔵型受容体

正解は①でした!

【解説】

問題文は、Gqタンパク質共役型受容体刺激による平滑筋収縮反応の説明です。

また、Gsタンパク質共役型受容体刺激の具体例としては、β受容体への刺激があり、平滑筋に対しては弛緩反応を引き起こす。

 

問13 Giタンパク質共役型受容体刺激による反応として正しいのはどれか。

①細胞内へのNa流入による脱分極

②細胞内へのCa2+流入による脱分極

③細胞外へのK流出による過分極

正解は③でした!

【解説】

Giタンパク質共役型受容体=インヒビットの抑制的な受容体です。

つまり、受容体の刺激により、なんらかの抑制的な反応が起こると考えます。

抑制的な反応 → 過分極、と結び付け答えを導きましょう!

 

問14 ナトリウム利尿ペプチド受容体刺激による反応として正しいのはどれか。

①アデニル酸シクラーゼ活性化

②グアニル酸シクラーゼ活性化

③ホスホリパーゼC活性化

正解は②でした!

【解説】

ナトリウム利尿ペプチド受容体刺激作用ではグアニル酸シクラーゼの活性化が起こります。

〇〇シクラーゼの活性化では、c(サイクリック)何かが出来ていましたね。

 

グアニル酸シクラーゼの活性化により、cGMPが増加します。

また、「cGMPの増加=血管拡張」と理解しておくと良いでしょう!

 

問15 1回膜貫通型ではない受容体はどれか。

①インスリン受容体

②血管内皮増殖因子(VEGF)受容体

③アセチルコリンM受容体

正解は③でした!

【解説】

インスリン受容体及びVEGF受容体は、チロシンキナーゼ関連型(酵素関連型)で、細胞膜1回貫通型に属します!

ちなみに、Gタンパク質共役型は(q,s,i)全て細胞膜7回貫通型の受容体です。

 




問16 細胞膜受容体に結合し、作用するものはどれか。

①コルチゾール(ヒドロコルチゾン)

②チロキシン

③サイトカイン

正解は③でした!

【解説】

サイトカイン(インターロイキン、TNF-αなど)は細胞膜受容体に作用する。

また、コルチゾールや性ホルモンなどステロイド構造を含むものや、チロキシンなどの甲状腺ホルモン、ビタミンDは、脂溶性が高いため細胞内の受容体に作用するものとしておさえておきましょう!

 

問17 薬物依存に関する記述のうち、正しいのはどれか。

①大麻(テトラヒドロカンナビノール)、コカイン、覚醒剤(アンフェタミン、メタンフェタミン)は、精神依存は起こすが身体依存はほとんど起こさない

②煙草(ニコチン)、アルコール類は、精神依存は起こすが身体依存は起こさない

③薬の服用を中止したときに、振戦、頻脈、嘔気などの症状が出現するものを精神依存という

正解は①でした!

【解説】

①正。大麻、コカイン、覚醒剤は、精神依存は起こすが身体依存はほとんど起こさない!

②誤。煙草(ニコチン)、アルコール類は、精神・身体依存を共に起こします。煙草やお酒は怖いんです!

③誤。薬の服用を中止したときの、振戦、頻脈、嘔気などの症状を退薬症候(禁断症状)といい、依存の中でも退薬症候が現れるものを身体依存といいます。

 

問18 喫煙・禁煙に関する記述のうち、正しいのはどれか。

①ニコチンは、中枢ドパミン神経系を抑制する

②禁煙補助薬バレニクリンは、ニコチン性アセチルコリン受容体の部分刺激薬であり、ニコチン依存症の喫煙者による退薬症候を軽減する

③ニコチンは耐性を生じないため、煙草を吸う場合に初期のニコチン含量では徐々に満足できなくなることがある

正解は②でした!

【解説】

①誤。ニコチンは、中枢ドパミン神経系を興奮させます。それが快感につながっています。

②正。禁煙補助薬バレニクリンは、ニコチンによる刺激を完全に遮断せずに、あえて刺激作用を残すことで退薬症候を抑えながら禁煙に取り組むことができます。私の父もバレニクリンで禁煙に成功しました。

③誤。逆の記述です。耐性を生じるからこそ、同じ量では満足できず、煙草のニコチン含量を上げたくなる人が出てくるのです。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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