「結婚して、妊娠して、子供が生まれたらどんどん忙しくなるはず」
「今の職場で働き続けて、本当に大丈夫なのかな?」
「子育しながら仕事と両立しやすい職場ってあるのかな?」
結婚、妊娠、出産といったライフイベントは女性の生活に大きな変化を与える出来事です。
仕事をリタイアすることなく、子育てをしながら薬剤師として長く働き続けたい!と思う女性は多いのではないでしょうか。私もその一人です。
しかし、妊娠や子育てに対するサポートが少ない職場では、仕事と家庭の両立は非常に困難なのが現状です。特に多忙な薬局では困難になりがち。
今回は女性薬剤師が『結婚・妊娠・出産』といったライフイベントに対応しつつ、仕事と家庭を両立するための働き方について解説します!
妊娠・出産後の働き方に悩んでいる人は、ぜひこの記事を読んで、今後のキャリアについて考えてみてくださいね♪
こんな会社は要注意!?仕事と家庭の両立がしにくい職場は?
まずは仕事と家庭の両立が困難な職場の代表例を紹介しましょう!これは私の周りの体験談でもあります。
通勤時間が長い職場
結婚して妊娠すると、今までの通勤時間が負担になります。
妊娠中は急な体調の変化も起こりやすく、「可能な限り働きたいのにうまく動けない」とジレンマを抱えることも。
出産した後も、家事や子供のお世話をするため、今まで以上に時間がかかります。長時間の通勤はストレスのもとですからね…。
今現在、自宅と勤務先が離れている場合は、妊娠・出産後を見据えて勤務先を再考することがおすすめです。
プライベートの時間が確保できない職場
家族が増えると、「配偶者や子供との時間をもっと増やしたい!」と思うものです。
プライベートはゆっくり家族と向き合いたいのに、残業や土日の出勤によりうまくいかない薬剤師さんもいます。
残業で子供のお迎えが遅れてしまったり、家事の時間がなくなってしまったりしないよう、プライベートの時間を大切にできる職場に勤務したいですね。
妊娠中・子育て中のトラブルに寛容ではない職場
妊娠中は、つわりによる急な悪心や倦怠感が起こりやすくなります。
体調が悪いときに休みにくい職場であれば、プライベートと両立しながら働くことは難しいでしょう。
出産後も、子供の急な発熱や体調不良により、早退を余儀なくされることがあります。
そんな妊娠中や出産後のトラブルには、職場のメンバー同士でフォローしあうことが必要ですね。
しかし、職場の雰囲気が寛容でなければ、トラブルが起こるたびに罪悪感を覚えてしまうことも。
職場での居心地が悪くなってしまうと、長く働き続けることも苦痛になります。居心地の良い職場にぜひ身を置いておきましょう!
転勤が多く、子育てに集中できない職場
グループ薬局に勤務する薬剤師や、製薬企業のMRは転勤を前提とした働き方を求められることがあります。
転勤で生活環境が何度も変わると、落ち着いて子育てをすることは難しいものです。
共働きであれば、転勤のたびに保育園を探す必要があり、家族にとって負担になるでしょう。また子ども自身も、新たな環境でイチから友人関係を構築する必要があり、知らないうちにストレスをためてしまうことも考えられます。
製薬企業のMR以外(例:内勤職、MSLなど)は基本転勤はありませんし、リモートワークも積極的に取り入れているため、結構働きやすい職場ですよ。
-
薬剤師も在宅ワークの時代!オンライン服薬指導・ライターにチャレンジ
続きを見る
以上、四つのケースを紹介しました。「今の職場では、家庭と仕事のバランスをうまく取れないかもしれない・・・」と思った方は、早めに今の働き方の見直しをしましょう!
女性の出産・育児を支える制度は早めに知っておこう
次に、女性薬剤師のキャリアを支える様々な制度について見ていきましょう!
厚生労働省 都道府県労働局|働きながらお母さんになるあなたへ
産前産後休業(産休)とは
出産する人はだれでも取得することができる出産のための休業制度です。
取得できる期間は、産前6週間〜産後8週間までですが、2人以上を同時に妊娠している場合は、産前14週間前から取得することができます。
産前休暇は希望制なので、取得は必須ではありません。私の薬局では、臨月ギリギリまで働いていた薬剤師さんもいましたよ。
ただ、出産後の6~8週間は、必ず仕事を休むよう法律で定められています。
そして、産休期間中には健康保険から出産手当金が支払われます!休んでいても貰えるのでお得ですよね~!
金額は産休1日につき「給与1日分(標準報酬日額)」の3分の2が支払われます。
育児休業(育休)とは
子供が1歳(最長で2歳)になるまでの間、育児のために休業することができる制度です。
よく勘違いしている人もいるのですが、育休が取得できるのは正社員だけではありません。パートの薬剤師はもちろん、派遣薬剤師も取得が可能です。
日雇いや単発の派遣など、一部の雇用条件では、育休の取得が認められない場合もあります。
正社員の場合、取得の条件は主に以下ですが、パートや派遣(有期雇用労働者)だと実際にはもう少し細かいので職場に確認してみましょう。
- 入社後1年以上が経過し、現在も雇用されていること
- 子供が1歳を迎えた後も、同じ職場で働くことを見込まれること
- 1週間の所定労働日数が2日以上であること
育休期間中は雇用保険から育児休業給付金が支払われますよ~!
育児休業給付金の支給額
- 当初半年間:「休む前の給与1日分*」×支給日数(通常30日)×67%
- 半年経過後(最長2歳まで):「休む前の給与1日分*」×支給日数(通常30日)×50%
*休業開始時賃金日額:育児休業開始前(産休取得の場合は原則として産休開始前)6か月間の賃金を 180(30日×6か月)で割った額
しかも、産休・育休中は、社会保険料(厚生年金保険料や健康保険料など)の支払いが免除されます。
通常、勤めている会社から年金事務所や健康保険組合に申請する必要がありますので、産休前に必ず確認して申請しておくようにしましょう。免除でも通常通りの健康保険の給付を受けることができ、免除された期間分も将来受け取る年金額に反映されますのでご安心ください。
-
育休と社会保険料免除の仕組みを図解:月末がお得なのは給与?賞与?
続きを見る
その他、児童手当や保育料については別記事で解説していますので、併せて見てみてね~。
出産育児一時金
これは出産にかかる費用の負担を軽減するために設けられた制度で、一人の子供につき50万円の出産育児一時金が健康保険から支給されます。
出産費用の平均額は約46万円(厚労省|出産育児一時金について)ですので、概ね還ってくるイメージですね!
一旦は窓口で出産費用を支払い、後日申請することで受け取れます。また、「直接支払制度」の対象病院でしたら、窓口負担を直接50万円差し引くことも可能ですよ~。
出産にはお金がかかりますが、あわててお金を貯めなければいけないと焦る必要はありません。一時金を含めた上で、出産・子育ての計画を立てましょう。
なお、自治体によっては独自の上乗せ給付を行っている場合もありますので、ご自身の自治体にも確認しておきましょう(例:横浜市が出産費用9万円まで助成へ)。
医療費は出産後にも色々とかかってしまいます。従って、出産の年は医療費控除が適用できる可能性が高いので、領収書等は保管しておきましょう!医療費控除については別記事で解説していま~す。
-
医療費控除ってなんや?対象と節税効果を解説するで
続きを見る
妊娠中・出産後の薬剤師におすすめの働き方・復職先は?
ライフイベントに応じて柔軟に働き方を選ぶことができる点が、薬剤師の利点です。
ここでは、薬剤師のおすすめの働き方について、順番に見ていきましょう。
調剤薬局薬剤師
まずは、調剤薬局の薬剤師です。
店舗数が多いため、自分の希望する条件にあった職場を見つけやすいことがポイント。自宅から近い薬局に就職できれば、通勤の負担を減らすことができます。
育休復帰後は、時短勤務(例:10時~16時勤務)ができる職場がほとんどです。生活に合わせて勤務時間を調節し、無理なく長く働くことができます。
また、正社員でない場合でも調剤薬局ならパートや派遣薬剤師といった比較的自由な働き方という選択肢もあります。最近では短期の派遣求人も増えてきました。
最近では高時給の派遣求人も復活していますね。
4時間16000円の派遣終わった😙楽すぎてサイコウでした。
— ティカ (@YKsedori) September 10, 2022
東京23区在住の薬剤師
契約更新ごとに勤務時間や就業先を見直すことができるため、働き方が固定化されない点がメリットの一つ。時間に融通をきかせやすく、家事や子育てとの両立はしやすいでしょう。
子供の成長に合わせて勤務地や時間を調節して、プライベートと給料のバランスをとりやすいですよ。
共働きなら夫の扶養内で働くのもOKだと思います!以下の記事では税制上・社会保険上の扶養内と薬剤師の働き方について解説しています♪
-
薬剤師の扶養内パートの働き方と条件は?|年収の壁は社保と税制で考えよう
続きを見る
ドラッグストア薬剤師
店舗数が多く、現在も拡大傾向のドラッグストア。人員を確保するために、近隣店舗と協力しながら、急な休みに対応できる体制を整えていることがほとんどです。
子育て中のトラブルがあった際も、対応してもらえることが多いでしょう。
従業員に対して、社員割引などの福利厚生を提供しているドラッグストアもあります。特に大手のドラッグストアは福利厚生や復職後の職場整備がキチンと行き渡っている印象です。
病院薬剤師
勤務地が家から近い場合は、病院薬剤師も一つの選択肢になります。利点は土日休みであることと、定時が17時〜18時と早く帰宅することが可能な点です。
また、中には働く医療スタッフのために、託児所が併設されている病院もあります。最近増えてきましたね~。
ただし、子育て中であっても夜勤が求められる場合は注意が必要です。病院で働きたい場合は、「子供が大きくなるまでは朝から夕方までの勤務で固定してもらいたい」などの希望をしっかり伝えましょう。
企業の内勤職
実は企業の内勤職ってワーママさんにとっては非常に働きやすい職場なんです。
調剤はしないため、選択肢から外されている薬剤師も多いかもしれませんが、意外と薬剤師の求人は豊富!
例えば、製薬企業の内勤職としては
- GVP部門
- メディカル部門(MSL:メディカル・サイエンス・リエゾン)
- 学術部門
- 薬事部門
- 開発部門
- QC部門
- 品質管理部門
- 物流管理部門
- コンプライアンス部門
- メディカルライティング部門
などなど、薬剤師の専門性を活かした働き方も充実しているのも製薬企業の特徴ですね。
製薬企業、卸、メディア・出版社と幅広い働き方があって、最近では在宅ワーク(リモートワーク)も積極的に取り入れているため、体力的には働きやすい環境が用意されています。
-
薬剤師が調剤以外で転職するならどんな仕事があるの?起業の道もあり
続きを見る
子育てをする上で今の職場に不安があるなら、視野を広げる意味でも一度求人を覗いてみてください♪リクナビ薬剤師なら調剤以外の求人も豊富に取り扱っていますよ~。
どの働き方であっても、希望する就業先の情報をしっかり収集することがおすすめです。気になる働き方があれば、気軽に転職エージェントに相談してみましょう!
仕事と家庭を両立させやすい職場のポイント
育児しながら働きやすい職場を見つけるためには下調べや転職エージェントサイトの利用が必要不可欠です。
ただ闇雲に求人を検索したり、年収だけで見てしまうと職場の実情・内情は把握し切れないため、本当に働きやすい職場かどうか見えづらくなってしまいます。
産休・育休の取得実績がある職場
産休・育休の取得数は、働きやすさの指標になると考えられます。
取得実績が高ければ、社内にも子育てを経験した薬剤師が多く在籍しています。妊娠中・子育て中のトラブルにも寛容だと考えられますよね。
お互いに子育ての楽しさ・難しさを分かち合いながら、気軽に相談できる職場であれば、長く働きやすいでしょう
産休・育休の取得数が多い会社を見分ける基準として、『くるみんマーク』と呼ばれる認定があります。産休・育休の取得人数割合が一定数以上、残業時間が少ない、短時間勤務制度を導入しているなど、様々な子育て支援を行っている会社だけが取得できる認定です。
『くるみんマーク』は求人やホームページに掲載していることが多いため、ぜひ参考にしてみてください。
例えば、転職エージェントサイトでもこのようにくるみんマークの取得が掲示されているケースがありますよ~♪
ファーネットキャリアの求人情報より
無理なく休むことができ、身体の負担が少ない職場
妊娠中も自分のペースで働くことを考えると、無理なく休むことができ、身体に負担がかからない職場がおすすめです。
調剤薬局のケースですが、勤務時間に中休みがなく、患者さんが来局したら休憩を中断しなければならない職場もあります。きちんと所定の時間休むことができるか、確認しておきましょう。
休憩時間だけではなく、転職エージェントに薬局内の設備について確認することも重要です。
- 投薬時は座って投薬できるかどうか
- 調剤室の広さは十分か
- 粉砕や半錠・散剤の調剤は他の薬剤師に任せることができるか
などなど、細かい部分ですが、仕事の満足度に直結します。
転職エージェントに質問して情報を収集することがおすすめです。また、薬剤師トップエージェントなら見学会も実施してくれるため、事前に店舗の様子や働いている薬剤師の話が聞けるのもポイントですね!
就活や転職で病院や薬局に見学に行くことがあると思いますが、実際に職場の雰囲気を見て少しでも違和感を感じたら…そこの職場は合わない可能性が高いです。薬局長さんがいい人でも他のスタッフさんの対応が悪かったら中に入って働いたら大変です…なので見学は積極的に!おすすめです!
— まいすりーん (@MSTR2019) August 31, 2021
立地が家と近く、利便性のよい職場
妊娠中・出産後も働き続けるためには、家と職場の距離を確認しておくことも重要です。
交通機関があって通勤しやすいかどうか、周囲に保育園があるかどうかなど、家庭と仕事の両立を考える上で、暮らしやすさは大切な条件ですよね。
通勤に時間がかからない職場であれば、子育て中の急なトラブルがあっても対応しやすいでしょう。普段の生活にゆとりがあれば、仕事や子育てもストレスを溜めこまずに過ごすことができます。
余裕をもって家族と過ごすために、就業先の環境を確認しておきましょう。
病院からパートの薬局薬剤師に転職したママ薬剤師の体験談
1歳になる男の子の子育てをしながら、府内の病院に勤めていた薬剤師Mさん。
子育て中は早番のみの勤務で、毎日定時に帰宅することができる点に満足していました。しかしながら、病院は慢性的な人手不足で、休暇が取得しにくい雰囲気だったようです…。
子育てへの理解も、十分ではなかったんですね。。。
月に何度かは子どもが急に熱を出して保育園に迎えに行くこともあったそうです。その度に担当病棟の薬を他の薬剤師に作ってもらう必要があり、Mさんは仕事を依頼することがストレスになっていたとのこと。
そこで、転職サイトを利用し、より仕事と子育てを両立しやすい職場に転職することにされました。
「休暇を取りやすい」「スタッフに子育て経験者が多い」といった条件を提示し、クリニック門前の調剤薬局に転職。転職後は、正社員の時短勤務で働くことになりました。
前職の病院とは違い、調剤薬局は女性が多い職場です。
子育てに対して理解があり、急なトラブルがあった際も、快く休むことが可能になったそうです!!ただし、休んだ次の日は周囲への感謝を欠かさないよう気をつけているとのこと。大事ですよね。
「病院の仕事はやり甲斐があったけれど、長くは働けなかったと思う。もう少し早めに、仕事を変える決断をしても良かった」と話してくれました。
あなたの職場が子育てに適しているのかどうか、早めに確認しておきましょう。
自分のキャリアプランを考えながら、薬剤師として働こう
今回は、女性薬剤師が結婚・妊娠・出産などのライフプランに対し、仕事と家事を両立しながら働く方法について解説しました。
大きなライフイベントのたびに、「今の職場で大丈夫かな?」と何度も悩むのは大きなストレスですよね…。
早いうちから、自分に合った職場を選び、無理なく働くことが重要だと思っています。子育ては大変ですが、今しかできない貴重な体験です。ぜひ、理想の働き方を考えてみてくださいね。
おすすめの転職エージェントサイトは、「薬剤師トップエージェント」一択です。理由はミスマッチが極限まで少ないから。子育て環境をしっかりと整備している中小の調剤薬局に強いのも特徴です。
今なら、『薬剤師のためのお金の教科書(通称、薬マネ)』または、臨床で差がつく書籍『新薬情報オフライン』のプレゼントキャンペーンも実施中です!
その他、仕事と家庭の両立がしやすい派遣薬剤師の選択肢を視野に入れているならファルマスタッフ、製薬企業の選択肢も見てみたいならリクナビ薬剤師も併用して利用してみましょう。
-
派遣薬剤師ならファルマスタッフ|実体験を徹底解説!求人数・交渉力は圧倒的
より詳しい比較や特徴については以下の記事で解説しているので、よかったら見てみてね~♪あなたの理想の働き方が見つかることを切に祈っています。