若手現役時代はメーカーや卸などのハードな職場でバリバリ働いていた薬剤師でも、ミドルエイジを迎えて定年を考え出した際、「調剤薬局で働いてみたいな・・・」と考える方は多くいらっしゃいます。
40代~50代で調剤未経験でキャリアを積んできた薬剤師が調剤薬局に転職するのは可能なのでしょうか?はたまた、無理な話なのでしょうか?
結論から言うと、調剤未経験でも転職可能です。ただし、調剤薬局に転職する際の注意点や、転職を成功させるためのコツ・勉強面でのアドバイスがありますよ~。
この記事で伝えたい事(結論)
- 薬剤師はまだまだ人手不足のため、中高年でも転職可能
- 調剤未経験の場合、中小薬局が選択肢となる
- 今後のキャリア・ライフプランを明確にすべし
- 転職エージェントサイトは複数利用しよう
- 薬の勉強は今日の治療薬や薬単などを1冊しっかり読み込もう
ちなみに今60歳が間近な薬剤師はこちらの定年後の記事の方が参考になると思います。要チェック!
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薬剤師の定年後の働き方4選:60歳以上OKな求人・再就職先はコレ!
薬剤師は高齢になっても転職できる
通常の転職市場ならば定年後の求人はほぼ皆無で転職は非常に困難を極めるでしょう。
しかし、薬剤師は定年前後の転職が容易な職業といえます。現時点なら薬剤師免許があれば、調剤薬局への転職は可能です。
薬剤師は他の職業に比べて求人が多い
2020年12月の、厚生労働省「職業別一般職業紹介状況(常用:含パート)」によると、医師・薬剤師を含めた有効求人倍率は2.05。この数値が高いほど、求職者より求人の数が多く、求職者にとって有利です。
ちなみに、全職業をあわせた有効求人倍率の平均値は1.03なので、他の職業と比べても医師・薬剤師は求人が多く、人手不足の業界と言えるでしょう。
その分、ミドル・シニア世代が調剤薬局の求人を見つけることは容易です。
「え、でも今後は薬剤師供給過多になるのでは・・・?」と思ったあなた!
薬剤師過剰になるのは2030年頃なのでもっと先
あなたもご存じの通り、昨今は薬学部が増え(乱立?)し、将来的には薬剤師が過剰になると予測が立てられています。
「若い薬剤師はどんどん増えるし、今から転職しても入社できないんじゃないか・・・?」なんて思う必要はありません。
厚生労働省の調査では、院外処方箋の発行数増加や高齢化の進展により、今後10年間(2030年頃まで)の薬剤師の需要は伸び続けると予測されています。また、依然として地方では薬剤師不足が続いてます。
薬局に従事する薬剤師数(機械的な推計)
つまり、今から転職活動を開始すれば、高齢の薬剤師が働く土壌はまだまだ存在しているのです。
注意点としては2030年頃までという点。本記事の論点でもある40歳・50歳代のあなたが定年を迎える頃、果たして調剤薬局の求人はあるのでしょうか?
未経験でも調剤薬局に転職できるけど、早めの準備が必要
「企業に勤めているけれど、60歳以降もこの仕事を続けるのは体力的に辛い。」
「定年後は給料も下がるし不安。調剤未経験で、調剤薬局に転職できるかな?」
なんて声もしばしば聞きますよねー。
結論から言うと調剤未経験でも調剤薬局に転職することは可能です。ただし、40代より50代、50代より60代のほうが、未経験での転職は難しくなるでしょう。
また、薬局の規模にも左右されますので、順番にみていきましょう!大手は無理なので諦めてください。
大規模の調剤薬局チェーンへの転職は難しい
まずは、全国に展開している大規模調剤薬局チェーンです。この場合、未経験での転職はほぼ無理。
大企業の場合、どうしても若い人材を優先的に採用する事が多いのですが、その理由は、報酬(年収)の算出方法にあります。
大規模な調剤薬局であれば、雇用年数が長く年齢を経るにつれて金額が増える方式を採用していることが理由の一つです。つまり、社会人経験年数だけが長い調剤未経験の中途入社に対しても高額の報酬を払うことになってしまうため、どうしても採用に対して消極的になってしまいます。
そこで、大手調剤薬局チェーンで働く薬局長に、採用について話を伺ってみました。
企業全体の平均年齢は37歳。企業の昇給制度がきちんと整備されている反面、年功序列がはっきりしていて、高齢の未経験薬剤師を採用する例があまり無いとのことでしたね…。
小・中規模の薬局と違い、他エリアからのヘルプを要請すれば、人員不足に陥ることはあまりありません。そのため、採用する人材は即戦力であることが求められます。
ただ未経験であっても、薬剤師の求人というよりは、前職の経歴を活かして本部でのマネジメント職を採用することはあるそうです。
中・小規模の調剤薬局は未経験でも働くことができる
未経験者が狙う求人は、ズバリ中・小規模の調剤薬局です。人材が不足しており、ミドルエイジ・中高年の調剤未経験薬剤師であっても積極的に採用してくれる薬局は結構あります。
また、大規模な薬局に比べ、未経験であっても新たなチャレンジがしやすいのも特徴でしょう。
定年後の話になってしまいますが、実際に私が勤務している調剤薬局では、大手製薬会社で60歳まで勤務したのち、未経験で調剤薬局に転職してきた人がいます。製薬会社では、MA/MSL職として勤務し、55歳の役職定年まで管理職をされていました。
その方に再就職を選択した理由を伺ったところ、
「自由な時間が増えすぎることが嫌で、定年後にも働ける場所が欲しかった」
とのことでした。
社会との接点が失われて、元の生活リズムが崩れてしまうことを無くしたかったそうです。すでに66歳ですが、現場での調剤・投薬・店舗管理といった薬局の仕事に従事する傍ら、定年前のマネジメント経験を活かして人材育成・人事管理も担当しています。元の企業で働いていた時よりも時間の融通が利き、無理せず働くことができていると話されていましたよ~!
また、定年まで勤めた後、パート・アルバイト雇用で調剤薬局に従事するシニアの方もいます。
このように現在では60歳であっても求人は比較的豊富です。しかし、この状態が続くのは2030年頃まで。
なにはともあれ、定年後に調剤薬局で活躍したい場合は、ミドルエイジの頃から調剤を早めに経験しておくことがおすすめですね。早めに自分のキャリアを考え、選択することが大事です。
まずは副業で調剤を経験しておくのもいいかもしれませんね。
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薬剤師が副業をするなら?所得別のおすすめ3選を実体験から解説
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調剤薬局へ転職するときに気をつけたい!4つの注意点
さて、ここからは調剤薬局へ転職をする際に、気をつけたいことを4つ紹介します。当たり前のことかもしれませんが、改めて認識しておきましょう!
定年前後の生活と、自分の望むキャリアを明確に
調剤薬局の転職を考える場合、転職を通じてどんな生活を達成したいか、明確にしておくことが大事です。
- 「もっと年をとっても通えるよう、調剤薬局への通勤時間は短いほうがいい」
- 「定年になる前に地元の田舎に戻って、薬剤師として地域医療に貢献したい」
- 「企業では時間の制約が厳しいので、調剤薬局でゆったりと働きたい」
など、さまざまな希望があるはず。
行き当たりばったりの転職ははっきり言って失敗します。あなたの望むキャリアプラン・人生プランを明確にした上で、求人情報と擦り合わせをしていきましょう。
そのためのお手伝いとして転職エージェントサイトの利用は必須です。
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薬剤師の転職サイト3選を選ぶなら?|評判とエージェントの質を比較
複数の転職エージェントサイトを利用する
通常転職なら転職エージェントサイトは1つで十分だと思っています。
しかし、調剤未経験なら複数登録することを強くおススメします。なぜなら、サービスごとに保有している求人が異なるためです。
一つの転職サービスに限って求人を探していたところ、より魅力的な求人をのがしてしまった・・・なんてことも起こりえます。
そうならないよう、複数のサービスに登録し、多くの情報が得られる体制を整えましょう。転職アドバイザーもサービスごとに異なるので、自分の定年後の姿について相談してみることも重要です。
とは言っても、まずは1つ選ぶとすればファルマスタッフでしょう。なんと言っても求人数と手厚さのバランスが丁度よい。
「調剤未経験」かつ「調剤薬局」で検索しても求人数は圧倒的な1万件超!
ファルマスタッフ|「緒剤未経験」&「調剤薬局」で検索
調剤未経験で転職を考えるならまずは第一候補として登録しておくべきサイトです。
迷ったらココ!求人数はピカイチ!
次点は薬剤師トップエージェントですかね。求人数はファルマスタッフに劣るものの、交渉力や提案力はファルマスタッフを上回ります。
薬剤師トップエージェントは、あなたの要望をかなり密に汲み取ってくれるため、ミスマッチの可能性は低くなります。特に調剤未経験者は強い味方となってくれること間違いなし!
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薬剤師の転職サイト3選を選ぶなら?|評判とエージェントの質を比較
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というわけで、
の両方に登録することをおススメしますよ~♪
転職先の情報を積極的に入手しよう
転職先の調剤薬局を決定する前に、就業先の門前の診療科、処方箋枚数、雰囲気などの情報を手に入れ、検討することが大切です。
例えば、診療科が小児科だった場合、子供の散薬・水薬の調剤は非常に繊細で神経を使います。
同じ仕事内容であっても、診療科によって働くことに伴うストレスは大きく変わるのです。
また、1日あたりの処方箋枚数も重要。あまりに忙しい薬局では、日々の仕事についていくことが難しいと感じるかもしれません。業務の不明点を気がねなく質問できるよう、薬局の雰囲気も大事です。
こういった情報は、転職エージェントサイトのアドバイザーに相談することで容易に手に入りますので、総合的に判断して調剤薬局への転職に向けて活動しましょう。
就活や転職で病院や薬局に見学に行くことがあると思いますが、実際に職場の雰囲気を見て少しでも違和感を感じたら…そこの職場は合わない可能性が高いです。薬局長さんがいい人でも他のスタッフさんの対応が悪かったら中に入って働いたら大変です…なので見学は積極的に!おすすめです!
— まいすりーん (@MSTR2019) August 31, 2021
もちろん、ファルマスタッフも薬剤師トップエージェントも見学会を快く仲介してくれますよ~!
ちなみに薬キャリAGENT・リクナビ薬剤師・ジョブデポ薬剤師などは見学会が無いため、未経験での利用はおススメできません。未経験の求人も少ないしね・・・。
謙虚な気持ちで転職に望む
いつまでも、以前の職場の給料や地位にこだわってしまう人は、調剤薬局の転職に苦労する傾向があります。また、調剤薬局に特有の業務内容や保険知識など、新しく学ぶ知識もたくさんあるはずです。
今までの経験のなかで調剤薬局にとってプラスになる点をしっかりアピールしながらも、「ゼロから挑戦する」という謙虚な気持ちで、新しい勤め先を探しましょう。
プライドばっかり高いと煙たがられますからね・・・。
未経験で調剤薬局に転職する場合の勉強方法とは?
調剤未経験で調剤薬局への転職にチャレンジする場合、一番気がかかりなのは、「薬に対する知識が薄れてしまい、仕事についていけるかどうか」ではないでしょうか。
毎年新薬が発売され、全く聞いたことがない薬に出会う機会もあるはずです。
調剤薬局での業務をスタートする前に、まずはスキマ時間を利用して薬の勉強をすすめておくのはいかがでしょうか。
書店に行けば数多くの書籍が発売されていますが、おすすめは「今日の治療薬」や「治療薬マニュアル」といった、薬の情報が総合的に掲載されている書籍です。
薬の分類・疾患ごとに解説がついており、解説には薬の使い方・薬効薬理・最新のトレンドといった知識が網羅されているので、あれこれ手を出すよりは、テキストを1冊読みこむことをおすすめします。
転職先の診療科がわかっている場合は、そのページを読み込んでおくだけでも、転職後に慌てずに済むはずです。
詳しくは以下の記事で紹介しています♪
薬単と病単の概要
不安な方は、転職エージェントサイトのアドバイザーさんを通じて、入社前にどんな学習をしておくと良いのかを相談してみるのも良いでしょう。
薬剤師トップエージェントなら、薬剤師のためのお金の強化書『薬マネ』もしくは、臨床で差がつく書籍『新薬情報オフライン』のプレゼントキャンペーンも実施中です!
まとめ:調剤薬局の転職は早めの準備を!
本記事のまとめ
- 薬剤師はまだまだ人手不足のため、中高年でも転職可能
- 調剤未経験の場合、中小薬局が選択肢となる
- 今後のキャリア・ライフプランを明確にすべし
- 転職エージェントサイトは複数利用しよう
- 薬の勉強は今日の治療薬や薬単などを1冊しっかり読み込もう
今回はミドルエイジ・中高年の調剤未経験薬剤師が調剤薬局に転職する際の注意点について解説しました~!
高齢の薬剤師が活躍できる土壌はまだまだあり、転職に対しても追い風が吹いています。調剤未経験で調剤薬局に転職したい方は、早めに調剤を経験できる職場に移行することも考えてみましょう。
長く働くということは、社会との接点を作り続けること。
社会に貢献できる期間が長くなるからこそ、働きやすい職場・業務内容を選ぶことが大切です。
将来は調剤薬局で働きたい!と思っている人は、まずは将来のキャリアを思い描くことから始めてみてはいかがでしょうか。「未経験で迷惑かもしれない・・・」と思わずに、気軽にアドバイザーに相談すれば、不安が解消されますよ♪
調剤未経験の求人が豊富で実績の多いファルマスタッフならきっとあなたにピッタリの職場を提示してくれます!そして選択肢をより増やすためにも薬剤師トップエージェントと合わせてご活用くださいね^^
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参考資料
- 定年前後の「やってはいけない」郡山史郎著 青春出版社
- 失敗しない定年延長「残念なシニア」をつくらないために 石黒太郎著 光文社新書平
- 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
- 平成30年度労働力調査結果(総務省統計局 )Ⅱ-A-第4表