相続税

円満相続には遺言の活用が有効!遺言の基礎について徹底解説

保険や不動産を活用した相続対策についてはこれまでの記事でも説明をして来ましたが、これらの方法は相続「税」対策と言えます。

 

相続対策と聞くと高額の税金を課せられる相続税をどうやって軽減するか、というイメージが強いかもしれませんがそれだけではありません。

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よーてん
本当の相続対策とは相続税を抑えることではなく、相続による資産承継をスムーズに行うための対策が大切です。

 

「争族」と言う言葉もあるぐらい相続の財産分与はトラブルに発展しやすい問題ですので、残された家族の事を想うのであれば税金対策よりも、スムーズに資産を承継する事の方が重要と言えるでしょう。

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スムーズに資産を承継するには様々な方法がありますが、その一つに遺言があります。

 

遺言を上手く活用することで、自分に何かあったとしても家族のトラブルを防ぐことができます。今回の記事では遺言の効果や種類、活用方法について解説していくので、相続対策に興味のある方はぜひお読み下さい。

 

遺言とは?遺言でできること

遺言を上手く活用することで、無用な親族間のトラブルを防ぐ事ができます。

 

こう聞くと遺言はとても有能なツールに聞こえますが、遺言とはどのような物で何ができるのでしょうか。

 

よーてん
まずは遺言とは何か、について見ていきましょう。

 

遺言は亡くなった方の最後の意思表示

遺言とは人が死後を想定して書く文書で、その文書に書いた意思表示の効果を発生させる目的で書かれる物のことです。

遺言に書く内容は様々ですが財産の分け方に関する事や、生前お世話になった方への感謝の気持ちなどを伝えることができます。

 

つまり遺言とは自分が死んだ後でも自分の気持ちを親族やお世話になった方に伝えることができる方法ですね!

 

遺言があれば相続手続きもスムーズに行えるので、残された家族にとっても遺言がある方が故人の気持ちを尊重することが可能となります。

 

財産に名前を付けて残してあげられる

遺言の内容は人によって様々ですが、やはり大部分を占めるのが財産の分け方に関する内容です。

相続トラブルの多くが遺産分割に関するケースが多いので、遺言でどの財産を誰に残してあげるかを指定する事で遺産分割をスムーズに行うことができます。

 

具体的に遺言に書ける内容は細かく決まっていて、一般的な内容は下記のようなものですね。

  • 推定相続人の廃除
  • 相続財産の指定
  • 遺産分割方法の指定
  • 寄付や遺贈の指定
  • 遺言執行者の指定

 

よーてん
このように遺言には、自分の持っている財産を誰に残してあげたいか、名前を付けて残してあげられることが一番の特徴です。

 

思いを伝えることもできる

遺言には財産に関する内容の他に、「付言ふげん事項」と言うメッセージを残すことができます。

「家族仲良く暮らしてほしい」や、「お母さんを頼む」のような思いを自由にかけるので家族や大切な方へと、気持ちを伝えられるのです。

 

また付言事項では、「家を守って欲しいから長男には自宅を、結婚した長女には現金を」のように財産の分け方の理由などを付け加えておくこともできるため、財産の分け方でトラブルが予想される場合などは、気持ちや理由を残しておくと良いでしょう。

 

相続財産の分け方を中心に書くことが多い遺言ですが、付言事項という思いや気持ちを添えることで遺言の内容もより家族へと伝わりやすくなります。

 

よーてん
残された家族のためを思って作成する遺言なので、付言事項はできるだけ書いておいて方がいいですね!

 

遺書との違いは?法的拘束力の有無

自分が死んだ際に大切な方に向けてメッセージを残す文書には、遺言だけでなく遺書もあります。

遺言と遺書はどちらも同じような効果がありますが、実は遺書には遺言と違って法的拘束力がありません

形式法的効力意味合い
遺書形式に決まりはないない私的文書扱い
遺言法律で形式が決まっているある公的文書扱い

 

また上記のように書式の形式にも違いがあり、遺言は法律で定められた形式で書かなければ効力がありませんが、遺書の場合は自由な形式で記入することができます。

 

遺書に比べると、遺言は形式が決まっている分、その内容に法的拘束力があるのが大きな違いと言えるでしょう。

 

遺言は3種類ある|各メリット・デメリット

よーてん
円滑な相続に欠かせない遺言ですが、一口に遺言と言っても実は種類があるんです。

 

遺言には作成方法によって

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

の3種類に分かれ、それぞれ下記のような特徴があります。

3種類の遺言(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)の概要一覧表

 

それぞれの遺言の特徴やデメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

①自筆証書遺言

まずは自筆証書遺言から見ていきます。

自筆証書遺言は名前の通り、遺言を自分で記入して作成する遺言書です。紙やペンなどにも決まりは無く、いつでも自分で自由に作成ができるので一番お手軽に作成できて費用負担も少ないのがメリットです。

 

しかし自筆証書遺言は相続人が家庭裁判所に遺言書を提出して、内容の確認と保存をしてもらう「検認」という作業が必要になります。

 

またいつでも自由に作成出来る反面、形式不備による無効や相続人による改竄や紛失など、トラブルになりやすいというデメリットも理解しておきましょう。

 

②公正証書遺言

次に紹介するのが、公正証書遺言です。

公正証書遺言は、公証役場に行って証人2名と公証人立ち合いのもとに作成する遺言で、3種類の遺言の中では一番確実に遺言を残すことができます。

作成した遺言も公証役場できちんと保管してくれるので相続人も分かりやすく、遺言としての効力を発揮しやすいのがメリットです。

 

しかし効力が確実な反面、手間と費用がかかるのがデメリットに。

作成の際には証人2名と公証役場に出向く必要がありますので、証人を誰かにお願いする必要もあります。証人になる人には決まりはありませんが、未成年者や相続人はなる事ができません。

 

つまり家族以外の誰かに依頼する必要があるので、人選にも手間がかかります。また財産の総額に応じて、下記のように手数料が必要になるので、費用負担が大きくなってしまうのも公正証書遺言のデメリットと言えるでしょう。

公正証書遺言の作成にかかる手数料一覧表

日本公証人連合会|法律行為に関する証書作成の基本手数料

 

③秘密証書遺言

秘密証書遺言は自分で作成した遺言を、証人2名と公証人の立ち合いのもと遺言の確認を行う方法です。

公正証書遺言との違いは、遺言の内容までは確認しない事で、遺言の内容を秘密にできることがメリットでしょうか。

 

しかし遺言の内容までは確認しないことから形式不備などによる無効も多いうえ、作成の手間や費用は公正証書遺言と変わりません。

 

そのため秘密証書遺言を利用する方は少なく、あまりメリットの多い遺言では無いのが実際のところですね。

 

どんな場合に遺言が必要?活用事例を紹介

遺言は自分の思いを伝えることで、相続トラブルを回避してスムーズな遺産分割を行うための方法の一つです。

そのため相続に不安のある方であれば積極的に活用すべきと言えますが、遺言を作成するには費用や手間がかかるのも事実です。

 

よーてん
そのため誰もが必ずしも遺言が必要かと言うとそうではなく、やはり相続に不安のある方が遺言を書くべきと言えるでしょう。

 

遺言を書いておいた方が良いかどうかは一概に判断できませんが、ここでは実際に遺言を活用した事例を紹介していきます。遺言を書くべき事例の一つとして、参考にして貰えたら嬉しいです。

 

子供がいない場合

相続による資産承継と言えばお子様たちに引き継いでいくケースが多いですが、最近ではお子様がいないご夫婦もとても多いです。

 

お子様がいない場合は、配偶者や兄弟姉妹が法定相続人のため、財産の分け方としては難しいケースが多くなってしまいます・・・。

 

例えば下記のような状況で相続が発生すると、法定相続人は配偶者・弟・妹です。そのため財産は配偶者・弟・妹の3名で分けることになりますが、弟や妹よりも配偶者に全てを残したいと考える方も多いでしょう。

子供がいない場合の法定相続人は兄弟が該当する

 

このような場合、遺言で全ての財産を配偶者に残してあげることを書いておけば、自分の思った通りの遺産分割をできる可能性が高まります。

 

相続人が最低限受け取れる権利である遺留分も兄弟姉妹にはありませんので、スムーズに配偶者に遺産を遺してあげられでしょう。遺留分については別の記事で簡単に解説しています。

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保有不動産が多い場合

承継する資産の占める割合に不動産が多い場合も、遺言を書いた方が良いでしょう。

現預金などの金融資産と違って、不動産は複数に分割しにくい資産だからです。持ち分を共有にするという方法もありますが、将来建て替えや売却をする際にトラブルとなるケースも多いのであまりおすすめできません。

 

そのため不動産は物件毎に誰に引き継ぐかを決めていくのが理想的な方法ですが、物件によって価格の違いが大きいために慎重に分け方を決める必要があります。

 

具体例を挙げてみましょう。例えば、相続財産が上記のような状況で、相続人が配偶者と子一人(独立済)だったとします。

資産内容評価額
自宅5,000万円
アパート1億円
現預金1億円

 

法定相続割合では全てを半分ずつ分けることになりますが、故人の立場になればそれでは不安でしょう。配偶者の今後の生活を確保することを考えれば自宅と現預金を配偶者にして、経済的にも自立できている子供にはアパートを引き継がせたいと考えられます。

 

このように財産に占める割合に不動産が多い場合は、分け方も慎重になる場合が多いです。

 

よーてん
一つ一つの財産の価格も高額になるので、遺言で残し方を決めておく事でトラブル防止へと繋がりますね!

 

相続税対策として不動産は非常に有効ですので、動産や土地が多い方は是非、遺言で残し方や思いを伝えるようにしてください。

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法定相続人以外に残したい場合

長男の嫁など、法定相続人以外に財産を残してあげたい場合にも遺言は有効です。

家族関係は様々なので、自分が闘病で辛い思いをしている時に献身的に介護をしてくれた嫁に感謝をしているという方も多いでしょう。

 

しかしいくら子供の嫁とは言え、法定相続人では無いので何もしなければ相続財産の受取はありません。ましてや次男や三男の嫁がいるようなケースでは、受け取る側からしたら不公平感が生まれてしまう可能性があります。

 

このような場合も遺言であらかじめ財産の分け方を決めておくことで、残したい相手に名前を付けて残してあげることができます。

 

相続人間のトラブルを避けるためにも、付言事項でその理由や思いをしっかりと伝えてあげましょう。

 

遺言の活用のまとめ

遺言の活用

相続対策にはたくさんの行うべきことがあり、どうしても税金などの圧縮に目がいってしまいがちですが、それだけではありません。

 

相続税を圧縮することも大切ですが、それ以上に円満に相続手続きが行えるように準備しておくことも相続対策の一つです。

 

円満な相続のために有効な方法の一つが、今回紹介した遺言です。遺言は財産の分け方だけでなく、自分の思いをメッセージとして伝えることができるので、しっかりと残しておくことで親族同士のトラブルを防ぐ効果があります。

 

遺書と違って法的拘束力があるのが遺言の特徴なので、その分作成の際には手間や費用がかかります。しかし、今回の記事で紹介しているようなケースでは、しっかりと遺言を作成しておくことでトラブル防止へと繋がるのです。

 

よーてん
相続対策の一環として遺言の作成を検討している方は、ぜひ今回の記事を参考にしていただければ嬉いです!

 

もちろん、併せて相続税対策もやっておきましょうね。不安があれば我々税理士に相談してください。

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  • この記事を書いた人

よーてん

【保有資格】税理士/基本情報技術者/日商簿記1級 他
【経歴】大学卒業後、IT会社で営業職経験後に税理士事務所に入所。2018年には税理士の官報合格を経て現在に至る。
普段は税理士業を主としていますが、2020年より本サイトでWEB活動も始動!
プロフィール・運営者詳細
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