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2026年8月24日、「ナルコレプシータイプ1」を対象疾患とするオーゼイフル錠(オベポレクストン)が承認されました!
武田薬品工業|ニュースリリース
基本情報
| 製品名 | オーゼイフル錠0.5mg/1mg/2mg |
| 一般名 | オベポレクストン |
| 製品名の由来 | 海外に準じた |
| 製薬会社 | 武田薬品工業(株) |
| 効能・効果 | ナルコレプシータイプ1 |
| 用法・用量 | 通常、成人には1mgを1日2回経口投与する。 起床時に1回目の投与を行い、3時間から5時間後に2回目の投与を行う。 なお、忍容性に問題がなく、十分な効果が認められない場合に限り、2mgを1日2回に増量することができる。 |
| 収載時の薬価 | 0.5mg:22,773.30円 1mg:22,792.50円 2mg:22,838.80円 |
| 発売日 | 2026年10月15日 |
オーゼイフルは、国内初のオレキシン受容体2作動薬ですね!
オレキシンは覚醒に関与しているため、不眠症領域では過剰な働きを抑えるためにオレキシン受容体拮抗薬がいくつか登場しています。
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今回はナルコレプシーの概要と共に、オーゼイフル(オベポレクストン)の作用機序・エビデンスについて解説します。
ナルコレプシーとは
ナルコレプシーは、日中の耐えがたい眠気(睡眠発作)を主症状とする睡眠障害(過眠症)の代表的疾患です。
主な症状は以下の通りで、青年期から若年成人期にかけて現れ、その後は生涯続くと言われています。1)
- 日中の過度の眠気(重度)
- 情動脱力発作(突然の一時的な筋力低下の発作)
- 入眠時または覚醒時の幻覚
- 睡眠麻痺
- 夜間の睡眠障害(頻繁な覚醒など)
ナルコレプシーは大きく2つのタイプに分類されます。
- タイプ1:強い感情(大笑い、怒りなど)をきっかけに全身の力が抜ける情動脱力発作(カタプレキシー)を伴い、髄液中のオレキシンが著しく低下している。
- タイプ2:カタプレキシーを伴わず、オレキシン濃度も正常範囲内。

ナルコレプシーの原因とオレキシンの働き
脳内には、覚醒を維持し、睡眠と覚醒のサイクルを安定させる「オレキシン」と呼ばれる神経伝達物質が存在しています。
しかしながら、ナルコレプシータイプ1の患者さんでは、自己免疫などの原因により視床下部にあるオレキシン産生神経細胞が破壊され、オレキシンが著しく欠乏してしまっています。

オレキシンが不足することで、オレキシン受容体の活性が抑制され、睡眠と覚醒の境界が不安定になり、日中の強い眠気(睡眠発作)や、起きているのにレム睡眠の状態が入り込んでしまう情動脱力発作(カタプレキシー)、入眠時幻覚、睡眠麻痺などの症状が引き起こされると考えられています。

治療
ナルコレプシーの治療は、主に以下のような対症療法が中心です。
- 日中の眠気に対する治療:モダフィニル、メチルフェニデート、ペモリンなどの精神刺激薬(中枢神経刺激薬)や覚醒促進薬
- カタプレキシーに対する治療:クロミプラミン、SNRI(適応外)、SSRI(適応外)
しかし、既存の薬物療法は症状を緩和する対症療法に過ぎず、効果が不十分であったり、依存性や副作用(精神的リスク、心血管系への影響など)の懸念があったりしました。
今回ご紹介するオーゼイフルは、ナルコレプシーの原因であるオレキシン欠乏に対して作用する薬剤ですね。新たな治療選択肢として期待されています。
同時期にはヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬のウエキクス(ピトリサント)も登場しました。
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オーゼイフル(オベポレクストン)の作用機序
オーゼイフルは、国内初の経口オレキシン受容体2選択的作動薬です。
オレキシン受容体には「オレキシン受容体1(OX1R)」と「オレキシン受容体2(OX2R)」の2種類がありますが、睡眠と覚醒の維持やカタプレキシーの抑制には、主にOX2Rが重要な役割を担っています。
オーゼイフルは、欠乏しているオレキシンの代わりにOX2Rを直接かつ選択的に刺激することで、覚醒状態を維持し、睡眠と覚醒のサイクルを正常化させると考えられていますね。


エビデンス紹介:FirstLight試験 / RadiantLight試験
根拠となった臨床試験は、以下の国際共同第Ⅲ相臨床試験です。
- FirstLight試験2-3)
- RadiantLight試験2)
代表として、FirstLight試験をご紹介します。
本試験は、カタプレキシーを伴うナルコレプシー(ナルコレプシータイプ1)患者さんを対象に、オーゼイフル(1mgまたは2mgの1日2回投与)群とプラセボ群を比較する国際共同第Ⅲ相臨床試験です。
本試験の主要評価項目は「平均睡眠潜時のベースラインから12週目までの変化」とされ、結果は以下の通りでした。
| オーゼイフル1mg群 | オーゼイフル2mg群 | プラセボ群 | |
| 平均睡眠潜時の ベースラインから12週目までの変化 | +12.5* | +15.9* | -1.3 |
*プラセボに対する差はいずれもp<0.001

なお、国際共同第Ⅱ相試験(TAK-861-2001)4)の結果はNEJMに掲載されていて、オーゼイフルはプラセボと比較して覚醒度、眠気、およびカタプレキシーの指標を有意に改善したと報告されています。
副作用
2%以上に認められる副作用として、不眠症(55.6%)、流涎過多、頻尿(54.0%)、尿意切迫(16.7%)などが報告されていました。
オレキシン受容体2は、膀胱制御を担う中枢の「橋排尿中枢」に多く発現しているため、ここが刺激されることで尿意切迫感・頻尿を生じると考えられています。3)
また、過去に過去に開発が進められていた他のオレキシン受容体2作動薬(TAK-994など)では、用量依存的な肝障害(肝毒性)が認められ、開発が中止されるという課題がありました。5)
しかし、オーゼイフルは化学構造の最適化によりこの問題を克服しているため、臨床試験において肝毒性の発現は特に認められていなかったようですね!
用法・用量
通常、成人には1mgを1日2回経口投与します。
起床時に1回目の投与を行い、3時間から5時間後に2回目の投与を行います。
なお、忍容性に問題がなく、十分な効果が認められない場合に限り、2mgを1日2回に増量することができます。

収載時の薬価
収載時(2026年10月14日)の薬価は以下の通りです。
- オーゼイフル錠0.5mg:22,773.30円
- オーゼイフル錠1mg:22,792.50円
- オーゼイフル錠2mg:22,838.80円
算定根拠等については、以下の記事で解説しています。
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【新薬:薬価収載】11製品(2026年10月14日)
続きを見る
まとめ・あとがき
オーゼイフルはこんな薬
- 国内初のオレキシン受容体2作動薬
- ナルコレプシータイプ1に対して効果が期待されている
- 1日2回経口投与
- 尿意切迫感・頻尿に注意が必要
これまでの対症療法とは異なり、不足しているオレキシンシグナルを直接補うという「補充療法」のようなアプローチは、日中の耐えがたい眠気やカタプレキシーに悩む多くの患者さんにとって、新たな治療選択肢として期待できるのではないでしょうか。
以上、今回はナルコレプシーの概要と共に、オーゼイフル(オベポレクストン)の作用機序・エビデンスについてご紹介しました!
引用論文・資料等
- MSDマニュアル|ナルコレプシー
- FirstLight試験およびRadiant Light試験:N Engl J Med 2026;395:1166-1179
- FirstLight試験:NCT06470828
- TAK-861-2001試験:N Engl J Med 2025;392:1905-1916
- TAK-994-1501試験/TAK-994-1504試験:N Engl J Med 2023;389:309-321
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