本記事では所得控除のうち「社会保険料控除」について紹介しています。
この記事で伝えたい事(結論)
- 社会保険料が全額所得控除できる
- サラリーマンに身近なのは国民年金保険料の追納
- 節税効果は抜群、保育園料を安くできる可能性もあり
- 申告方法は年末調整(←簡単!)か確定申告
所得控除って何でしたっけ!?
というあなたは下の記事から読み進めていってください。税金の計算について解説していますよ。
-
サラリーマンの節税の仕組みをFPが図解!所得控除と税額控除を使いこなそう
続きを見る
さて、社会保険料控除は社会保険(国民・厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険、等)に対して支払ったお金を全額控除できるといった制度のことです。全額ですよ、全額!
そんなサラリーマンでも社会保険料控除に関係することと言えば、
- 国民年金の「追納」
が該当するのではないでしょうか。
学生期間等で国民年金保険料の納付が免除されていた場合に、後日、国民年金保険料を支払った時に社会保険料控除が適用可能です!
今回の記事では社会保険料控除の概要と、国民年金の「追納」について解説していますので、ぜひご確認ください。思いがけないメリットが見つかるかもしれません。
社会保険料控除の概要と項目
社会保険料控除は、あなた本人、もしくは生計を一とする配偶者や親族が支払った社会保険料が全額所得控除される制度です。所得制限は一切ありません。
社会保険料控除は全部で14項目ほどありますが、サラリーマンに関係しているものは以下くらいだと思います。
- 健康保険料
- 年金保険料(国民年金保険+厚生年金保険)
- 雇用保険料
- 介護保険料
上記は基本的に毎月の給料から天引きされていますし、申告(年末調整や確定申告)をしなくても、あなたの勤め先が自動的に社会保険料控除を計算して適用しています。
ただし、この中で多くのサラリーマンに関係していて、かつご自身で申告する必要のあるものが「国民年金保険料」です。
このような免除されていた年金保険料を後から支払った場合、社会保険料控除が活用できるというわけです!!!
では簡単に国民年金と免除制度等について説明していきましょう。
国民年金と免除・猶予制度と未納:任意加入も確認
国民年金制度については以下のiDeCoの記事で詳しく図説付きで解説していますので、お時間がある時に読んでみてください。
-
【図解】iDeCoの節税効果やメリット・デメリットについて解説するで!
続きを見る
上記記事にも書いていますが、
- 国民年金(基礎年金)は20歳以上の全国民が対象
の公的年金制度です。
でも…20歳って言うと、大学生ですよね。。。
薬学生・看護学生でしたら必至に勉強してる時期でしす、バイトもそんなにできません。
その他にもバイトやパートだけで過ごしてて低所得の人や、会社が倒産したり、退職したりして一定期間無職の人も年金保険料を支払うのが辛いため、そんな人達のために「年金の支払いは免除してあげるよ~」というのが“年金の免除・猶予制度”です。主には以下の種類があります。
- 保険料免除・納付猶予制度:低所得の人
- 学生納付特例制度:学生の人
- 失業による特例免除:会社が倒産もしくは会社を退職した人
もちろんそれぞれに所得審査があるので、誰でも彼でも適応されるわけではありません。
【出典】国民年金機構|保険料を納めることが、経済的に難しいとき
「法定免除」については説明を割愛。
そして、この免除制度は自動的に適応されるわけではなく、きちんと申請が必要です。当然ですよね。
申請方法については国民年金機構のHPを確認してみてください。
>>【国民年金機構】国民年金保険料に関する手続き
たま~~~に勘違いして申請しなくても自動的に適応されてるっしょ!って思って申請せずに年金保険料支も払わずに2年が過ぎてしまうと・・・・、
未納
になってしまいます…。。ガ━━(゚Д゚;)━━━ン!!
国民年金の保険料は、納付期限から2年以内であれば納めることが可能。
実は年金を貰うためには「受給資格期間」というのがあって、これを満たさない限り年金は貰えないのです。
免除の場合は免除期間中、受給資格期間は算入(保険料払っていなくても、加入している期間としてはカウント)してくれているのでご安心ください。
でも免除の申請を忘れていて、未納になると受給資格期間は算入してくれません。
【出典】国民年金機構|保険料を納めることが、経済的に難しいとき
なので、免除申請を忘れてしまって知らずのうちに未納になってしまうと、本来年金が貰えるはずの年齢になっても年金が貰えない事態に陥ります・・・。こりゃ大変。
あとは、免除や未納があると、満額きちんと払っている人と比べて貰える年金額は少なくなってしまいます。
また、免除や未納があって60歳までに年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がない人のために、最後の救済措置が用意されています。
それが、「任意加入制度」です。
次のすべての条件を満たす人なら、60歳以降に任意加入することで取り戻すことが可能になります。
- 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
- 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
- 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方
- 厚生年金保険、共済組合等に加入していない方
- 日本国籍を有しない方で、在留資格が「特定活動(医療滞在または医療滞在者の付添人)」や「特定活動(観光・保養等を目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)」で滞在する方ではない方
【出典】国民年金機構|任意加入制度
未納と後納制度
その他にも、以前は未納の救済制度で「後納制度」というものがあり、過去5年分の未納の保険料を支払うことができました。
しかし、後納制度は2018年9月30日で終了してしまったため、未納の場合は任意加入で取り戻すしかありません。
【出典】日本年金機構|国民年金保険料の後納制度
そして、ここからが本記事のメインの「追納」です!
しっかりと免除を申請していて、未納になっていなかった場合、免除期間の分を「追納」として後から支払うことで、年金額への反映がしっかり行われます。
かつ、支払った年金保険料には社会保険料控除を適用することができますので、一石二鳥ですね!
ワンポイントアドバイス
免除期間があったか、またはどれくらいやったか、未納があるのか、については
「ねんきん定期便」
というのが毎年1回誕生月に届くので、これを見たら分かります。
まさか…中身見ずに捨ててたりしないですよね??
そんなんいちいち覚えてへんわ!という人でも、ネットで登録すれば年金の状況が確認できるため、かなり便利になりました。
追納をする場合、下記の「ねんきんネット」から申請書も印刷できます!かなーり便利なので、ぜひ登録してくださいねっ!
>>【日本年金機構】ねんきんネット
国民年金の追納と節税効果
年金の免除・猶予制度によって免除されていた年金保険料を後から支払う制度が「追納」です。
追納をしたい場合は以下の手順でできますよ。
- 申請用紙をダウンロード(>>方法は【国民年金機構】を参照)
- 最寄りの年金事務所で申請書を提出して申し込み(郵送可)
- 承認通知書と納付書の返却
- 納付書を最寄りのコンビニ・銀行等に持って行って支払う
ねんきんネットに登録していれば、ネット上で申請書が印刷できるので便利です。
そして申請書を最寄りの年金事務所の窓口もしくは郵送で申請するのですが、最寄りの年金事務所は以下から検索可能です。
最寄りの年金事務所:日本年金機構>全国の相談・手続き窓口
きちんと受理・承認されれば「追納申込承認通知書」と「納付書」が返送されます。
あとは最寄りのコンビニ・銀行・郵便局等に納付書を持って行って支払えば完了ですね!
続いて節税効果について解説します。
年度にもよりますが、おおよそ1年あたりの国民年金保険料は「18~20万円」です。今回は20万円/年を1年分支払ったと仮定しましょう。
- 学生納付特例制度であった1年間の年金保険料(20万円)を追納した
支払った年金保険料(20万円)は全額所得控除の対象です!
所得税の税率が10%(年収400〜600万円であれば、所得税率は10%であることが多い)の人でしたら、
- 「200,000円×10%=20,000円」
と所得税が年間20,000円お得になるわけですね!
また、住民税の税率は基本一律10%のため、
- 「200,000円×10%=20,000円」
と住民税も年間20,000円お得に!
追納の期限:10年以内なら好きなタイミングで節税効果を発揮できる
追納は10年以内の免除等期間に限られてるため、10年経過してしまうと追納は不可になります。
日本年金機構|国民年金保険料の追納制度
10年経過してしまったら?
追納の期限である10年を経過してしまった場合、追納はできません。
その場合は、前述の任意加入(60歳以降)で取り戻しましょう。
ただし、60歳以降は所得もそんなにないと思いますので、節税効果は低いです。なので、やるなら追納でやっておきたいところでしょう。
10年以内ならまとめて追納することで、その年の所得を大幅に下げて節税をすることが可能です!!!
例えば、学生時代の国民年金保険料3年分が免除されていた場合、免除額は約60万円です。管理薬剤師や管理職になって年収が大幅に上がりそうな年に追納しておくことで、所得税や住民税の増加を抑えることが可能になりますね。
節税効果以外にも、国民年金の追納によって保育料を安くできる可能性もあります!
詳しくは以下の記事で解説していますが、子供が産まれた年に追納しておくことで保育料を安くできる可能性が高いため、ぜひ確認しておいてください。
-
節税しながら保育料を安くする方法:所得控除で住民税を下げて節約
続きを見る
追納は損?得?どっち?
気になるのは追納することで、結局年金が増えるのかどうか、損得どっち?と考えてしまいますよねー。
細かい計算は割愛しますが、追納を1年分(約20万円)行うと、おおよそ将来貰える年金額が年2万円増えます。
追納で支払った20万円のうち、節税効果で4万円は返ってくるため、実質支払うのは16万円です。
16万円を支払うことで、将来貰える年金額が毎年2万円増えるので・・・・、
約8年(16万円÷2万円)
で元が取れる計算ですね(単純計算ですが)。
仮に65歳から年金を貰うとして、8年後だと73歳です。
平均寿命から考えると生きている確率の方が高いため、免除期間があって、手元の資金に余裕がある場合、私なら追納をおススメします!
ちなみに、国民年金制度は「老齢年金(所謂、毎年受給できる“年金”)」だけではなく、障害を負った際の「傷害年金」や、加入者が亡くなると遺族が受給できる「遺族年金」もあるため、障害保障・死亡保障まで完備された保険制度と言えるでしょう。
なので、私としては老齢年金だけの損得ではなく、障害・死亡保障まで考慮した上で、追納はお得な選択肢だと考えています。
申告方法は年末調整 or 確定申告:間に合わないなら領収証書でもOK
追納をした場合、その金額の証明書として「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」が年金機構から送られてきますので、これは絶対無くさずに保管しておいてください!!
上の画像の例にあるように「①納付済額:納付済保険料の証明額」の欄に書かれた金額が申告する金額です(例の場合だと122,240円)。
ちなみに、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発送時期は2つあります。
- 令和4年10月26日(水曜)から11月上旬にかけて順次:令和4年1月1日から令和4年9月30日までに納付済
- 令和5年2月上旬:令和4年10月1日から令和4年12月31日までに納付済
控除証明書の発送時期>>【国民年金機構】令和4年の社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発行について
と思うかもしれませんが、安心してください。
年末調整では、追納でお金を払った時に貰える「納付書・領収(納付受託)証書」というもので代用可能です
もしあなたが10月2日以降に追納してる場合、コレを無くさずに保管しておいてくださいね。
【参考】国民年金機構|10月1日以降に控除証明書の証明欄にある「(1)納付済額」や「(2)見込額」以上に国民年金保険料を納めたときは、どのように申告すればいいですか。
追納した年金保険料を所得控除するためには申告の必要があり、方法は2つです。
- 年末調整
- 確定申告
簡単なのは「年末調整」ですね。
例年11月頃、あなたの所属している会社から「給与所得者の保険料控除申告書」を記入して提出するように指示があると思います。最近ではWEBで完結するようなシステム(例:SmartHR)が導入されている場合もありますね。
紙の場合であっても書き方は簡単で、右下にある「社会保険料控除」の枠内に、先ほどの「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」もしくは「納付書・領収(納付受託)証書」の金額を記入してください。両方あるなら合算額です。
- 社会保険の種類:国民年金
- 保険料支払先の名称:日本年金機構
- 氏名と続柄:保険料を納付した人(基本は本人)
- 保険料の金額:「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」and/or「納付書・領収(納付受託)証書」の金額
しっかりと年末調整が完了していれば、12月末〜1月頃に勤め先から貰う「源泉徴収票」の「国民年金保険料等の金額」に反映されてるはずですね!
年末調整で申告を忘れてしまった場合でも、毎年2月~3月の時期に行われる「確定申告」をすれば適用できます。確定申告も最近はスマホ一つでできるので、かなり簡単になりました。
おおまかな確定申告の方法については、以下の記事で解説しているので、ご興味あれば読んでみてください(PCを使用して行う方法を解説)。
-
【2024年版】確定申告はネットで作成して郵送で完了!税務署に行かなくてOK
続きを見る
マイナポータル連携で自動入力も可能:令和5年(2023年)1月より
今までは年末調整・確定申告時には「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」の提出が必要でしたが、2023年1月以降は「マイナポータル連携」をしていれば、電子的に取得可能になりました!
マイナポータル連携特設ページ(マイナポータルを活用した控除証明書等のデータ取得と自動入力)
事前にマイナポータルにログインして連携の準備が必要ですが、一度連携しておくと以後のデータ取得は非常に簡便です。やり方については国税庁のHPをご確認ください。
まとめ
社会保険料控除のまとめ
- 社会保険料が全額所得控除できる
- サラリーマンに身近なのは国民年金保険料の追納
- 節税効果は抜群、保育園料を安くできる可能性もあり
- 申告方法は年末調整か確定申告(楽なのは年末調整)
節税効果が高く、将来貰える年金額もアップため、余剰金があるなら積極的にやるべきだと私は考えています。
その他にも保険を活用した節税・貯蓄法もありますので、併せて検討してみてくださいね。ライフプラン毎の保険相談なら無料の保険見直しラボがピカイチでした♪
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保険見直しラボの口コミ・評判は?実体験に基づくメリット・デメリットを解説
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