病態・薬治

病態・薬治:感染症(17問)

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問1 Helicobacter pyloriの一次除菌においてよく用いられる組み合わせとして適切なものはどれか。

①ランソプラゾール、アモキシシリン、クラリスロマイシン

②アミカシン、オメプラゾール、キタサマイシン

③メトロニダゾール、ランソプラゾール、アモキシシリン

正解は①でした!

【解説】

胃粘膜にHelicobacter pyloriが共存していると潰瘍やびらんができやすく、かつ治癒しにくい。

一般に①のPPIとアモキシシリンとクラリスロマイシンの三剤併用療法を7日間続ける。

②は関係ない組み合わせであり、

 

③は二次除菌でよく用いられる組み合わせである。

 

問2 赤痢菌(Shigella)による感染症の第一選択薬となるものはどれか。

①β-ラクタム系

②ニューキノロン系

③アミノグリコシド系

正解は②でした!

【解説】

赤痢菌感染による主な症状は腹痛、粘血便、悪寒、発熱などであり、補液などの対症療法のほかニューキノロン系の薬が第一選択薬として用いられる。

ニューキノロン系の作用機序についてはこちらの記事参照

 

 

問3 コレラによる感染症に用いられる薬剤はどれか。

①テトラサイクリン系

②オキサゾリジノン系

③アミノグリコシド系

正解は①でした!

【解説】

コレラ感染症では、腸管で産生される毒素(コレラエンテロトキシン)により激しい米のとぎ汁様下痢、嘔吐が頻発し、脱水症状を起こす。

脱水に対しては輸液を行う。

薬剤はテトラサイクリン系を第一選択薬とする。またニューキノロン系薬剤も有効である。

 

問4 慢性副鼻腔炎で用いられる薬物治療として正しいものはどれか。

①マクロライド系抗生物質の大量短期療法

②マクロライド系抗生物質の少量長期療法

③マクロライド系抗生物質の大量長期療法

正解は②でした!

【解説】

慢性副鼻腔炎は急性副鼻腔炎を繰り返すものをはじめ、複雑にさまざまな要因が関与し慢性化した副鼻腔の炎症である。

蓄膿症ともいわれる。

治療にはマクロライド系抗生物質の少量長期療法が有効である。

 

問5 次の病原体のうち主な感染経路が飛沫感染なものはどれか。

①結核菌

②水痘ウイルス

③インフルエンザウイルス

正解は③でした!

【解説】

結核菌、水痘ウイルス、麻疹ウイルスは空気感染(飛沫核感染)によって感染する。

インフルエンザウイルスは会話、くしゃみ、咳などで伝播する。

また、直径5μm以上のものを飛沫、5μm以下のものを飛沫核という。

 

問6 ヘルペスウイルス感染症治療薬として正しいものはどれか。

①アシクロビル

②エンテカビル

③ラルテグラビル

正解は①でした!

【解説】

アシクロビルは三リン酸化体となり、DNAポリメラーゼを阻害する。

アシクロビルは単純疱疹や帯状疱疹の治療に用いられる。類薬にはファムシクロビルがある。

エンテカビルはHBVの治療薬、ラルテグラビルはHIVの治療薬である。

 

 

問7 M2イオンチャネルを阻害しウイルスの脱殻を抑制する機序を持つ抗インフルエンザ薬はどれか。

①アマンタジン

②オセルタミビル

③ラニナミビル

正解は①でした!

【解説】

アマンタジンはM2イオンチャネルを阻害することでウイルスの脱殻を抑制する。適応はA型インフルエンザウイルスである。

オセルタミビルとラニナミビルはノイラミニダーゼを阻害することで気道上皮細胞からの感染性ウイルスの遊離を阻害する。

 

 




問8 以下のうちHCV抗ウイルス薬はどれか。

①ラミブジン

②エンテカビル

③リバビリン

正解は③でした!

【解説】

ラミブジンとエンテカビルは抗HBV薬であり、DNAポリメラーゼに対する競合的拮抗作用によりB型慢性肝炎の治療に用いられる。

リバビリンは三リン酸化体となり、RNA依存性RNAポリメラーゼによるグアノシン三リン酸のRNAへの取り組みを阻害する。

 

問9 AIDS治療薬のうち、インテグラーゼ阻害薬はどれか。

①ラミブジン

②リトナビル

③ラルテグラビルカリウム

正解は③でした!

【解説】

ラミブジンはヌクレオシド系の逆転写酵素阻害薬であり、感染細胞内で三リン酸化体となり、HIV逆転写酵素を阻害する。

リトナビルはHIVプロテアーゼ阻害薬であり、HIV前駆ポリタンパク質の切断を阻止する。類薬にはダルナビルがある。

ラルテグラビルはHIVインテグラーゼ阻害薬であり、HIVゲノムの宿主細胞ゲノムへの共有適合的挿入又は組込みを阻害する。類薬にはドルテグラビルがある。

 

 

問10 真菌細胞壁の主要構成成分の1,3-β-D-グルカンの生合成を阻害するのはどれか。

①ミカファンギン

②テルビナフィン

③フルシトシン

正解は①でした!

【解説】

ミカファンギンは真菌細胞壁の主要構成成分の1,3-β-D-グルカンの生合成を阻害する。

テルビナフィンはスクワレンエポキシダーゼを阻害することで細胞膜の合成を阻害する。

フルシトシンは真菌内でフルオロウラシルに変換され、核酸合成阻害作用を示す。

 

問11 線虫による感染症の治療薬として適切なものはどれか。

①メベンダゾール

②フルオロウラシル

③ブテナフィン

正解は①でした!

【解説】

メベンダゾールは微小管阻害作用やグルコース取り込み阻害作用などで抗線虫作用を示す。

フルオロウラシルは抗がん剤であり、ブテナフィンは抗真菌薬である。

 

問12 主な感染経路がネコの糞の汚染物である原虫はどれか。

①赤痢アメーバ

②トキソプラズマ

③マラリア

正解は②でした!

【解説】

トキソプラズマは主にネコの糞の汚染物や豚肉などの生食などによって感染し、死産・早産・流産の原因となる先天性トキソプラズマ症や、発熱、リンパ節腫大、脳脊髄膜炎などの原因となる後天性トキソプラズマ症を引き起こす。

治療は対症療法しかない。

赤痢アメーバは汚染飲食物などから感染し、マラリアはハマダラカ(蚊)を介して感染する。

 

問13 イトラコナゾール錠はいつ服用するか。

①食前

②食後

③食直後

正解は③でした!

【解説】

イトラコナゾールは難溶性の薬剤であり、酸性溶液中では溶解性が増す。したがって胃酸の分泌が多くなる食直後に服用することと添付文書に記載されている。

なお、食前や食間に服用すると吸収率が40%程度低下するとされている。

 

問14 ポリエン系抗真菌薬はどれか。

①アムホテリシンB

②テルビナフィン

③フルコナゾール

正解は①でした!

【解説】

アムホテリシンBやナイスタチンなどはポリエン系抗真菌薬であり、エルゴステロール(真菌細胞膜構成成分)と結合し、細胞膜機能障害を起こす。

アムホテリシンBの代表的な副作用に低K血症があるのでおさえておこう。

 




問15 ニューモシスチス肺炎の治療に用いられる薬剤はどれか。

①ST合剤

②ガンシクロビル

③フルコナゾール

正解は①でした!

【解説】

ST合剤はサルファ剤であるスルファメトキサゾールとトリメトプリムを5対1で配合した薬剤である。

2種類の葉酸合成阻害薬を用いることで相乗効果を得ている。

ガンシクロビルはサイトメガロウイルス感染症の治療薬であり、フルコナゾールはカンジダ症の治療薬である。

サイトメガロウイルス感染症に使用する薬剤にはレテルモビルもある。

 

問16 結核菌細胞壁成分のミコール酸生合成を阻害する薬剤はどれか。

①イソニアジド

②リファンピシン

③ストレプトマイシン

正解は①でした!

【解説】

イソニアジドは結核菌細胞壁成分のミコール酸生合成を阻害する。

リファンピシンはDNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する。

ストレプトマイシンは70Sリボソームの30Sサブユニットに結合しタンパク質の合成を阻害する。

結核による感染症ではではこれらの薬剤を併用する。

 

問17 間質性肺炎を惹起するため小柴胡湯との併用は禁忌とされる肝炎治療薬はどれか。

①インターフェロンα

②ラミブジン

③リバビリン

正解は①でした!

【解説】

インターフェロン製剤はC型慢性肝炎、活動性のB型慢性肝炎に使用されるが、小柴胡湯との併用は禁忌である。

ラミブジンはDNAポリメラーゼに対する競合的拮抗作用によりB型慢性肝炎の治療に用いられる。

リバビリンは三リン酸化体となり、RNA依存性RNAポリメラーゼによるグアノシン三リン酸のRNAへの取り組みを阻害する。

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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