薬理

薬理学:中枢神経系②(19問)

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問1 ペルゴリド、タリペキソール、ブロモクリプチンの作用機序はどれか。

①ドパミンD受容体刺激

②MAOB阻害

③ドパミン遊離促進

正解は①でした!

【解説】

ペルゴリド、タリペキソール、ブロモクリプチンは代表的なドパミンD受容体刺激薬です。その他、カベルゴリンやロチゴチンの処方も現場ではよく見かけますよ。

特に、ロチゴチンは貼付薬として使用されており、一定の血中濃度を維持できるので、安定した効果が得られやすいという特徴があります。

 

問2 セレギリンの作用機序はどれか。

①COMT阻害

②MAOB阻害

③ドパミン遊離促進

正解は②でした!

【解説】

セレギリンは、代表的なMAOB阻害薬であり、覚醒剤原料にも指定されています。ドパミンの代謝を抑制し中枢内でのドパミン濃度を高め、パーキンソン病に対する治療効果を現します。

また、近年発売されたラサギリンは、同様の作用機序を持ちながら覚醒剤原料には指定されておらず、ラサギリンの方がセレギリンよりも扱いやすい薬といえます。

 

①COMT阻害薬にあたるものとしては、エンタカポンがあり、こちらもドパミンの代謝を抑制し、中枢内でのドパミン濃度を高め、パーキンソン病に対する治療効果を現します。

 

問3 アマンタジンの説明として誤っているものはどれか。

①中枢にてドパミンの遊離を促進する

②A型インフルエンザウイルスの脱殻を阻害する

③統合失調症の治療に用いられる

正解は③でした!

【解説】

アマンタジンは中枢内ドパミン遊離促進による抗パーキンソン病作用、脱殻抑制によるA型インフルエンザに対する作用を示します。また、ドパミン遊離促進作用により、脳梗塞後の自発性の低下に対しても使用することができます。

統合失調症に対しては、ドパミンD受容体を遮断する薬剤が用いられる。

インフルエンザ治療とアマンダジンについてはこちらの記事でも解説しています。

 

問4 アルツハイマー型認知症の治療薬において、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を持たないものはどれか。

①ドネペジル

②リバスチグミン

③ガランタミン

④メマンチン

正解は④でした!

【解説】問6解説参照。

 

問5 グルタミン酸NMDA受容体遮断作用を持つ、アルツハイマー型認知症の治療薬はどれか。

①ドネペジル

②リバスチグミン

③ガランタミン

④メマンチン

正解は④でした!

【解説】問6解説参照。

 




問6 ブチリルコリンエステラーゼ阻害作用及びアセチルコリンエステラーゼ阻害作用を示す、アルツハイマー型認知症の治療薬はどれか。

①ドネペジル

②リバスチグミン

③ガランタミン

④メマンチン

正解は②でした!

【解説】※問4~6の解説でもあります。

①ドネペジル…アセチルコリンエステラーゼ阻害薬。中枢内のアセチルコリン濃度を上昇させることで、アルツハイマー型やレビー小体型認知症の進行を抑制します。

②リバスチグミン…アセチルコリンエステラーゼだけでなく、ブチリルコリンエステラーゼ阻害作用も示します。

③ガランタミン…アセチルコリンエステラーゼ阻害作用だけでなく、中枢内ニコチン受容体に対してのアロステリック効果も示します。

④メマンチン…NMDA受容体遮断作用により、上記薬剤たちとは異なる機序で、アルツハイマー型認知症の治療に用いることができる。中枢内のノイズの減少により、治療効果を示す。

コリンエステラーゼ阻害薬との併用が可能です。

 

問7 クロルプロマジン、ハロペリドールなどを使用し、中脳腹側被蓋野-大脳辺縁系(側坐核)のドパミンD2受容体が遮断された場合に、期待される効果はどれか。

①プロラクチン分泌抑制

②統合失調症の陽性症状の改善

③催吐作用

正解は②でした!

【解説】

中脳腹側被蓋野-大脳辺縁系のドパミンD2受容体遮断により、統合失調症の陽性症状(幻覚、幻聴など)の改善が期待できる。

その他、D2受容体遮断には、プロラクチン分泌促進や制吐、胃腸運動促進などの作用がある。

 

問8 セロトニン5-HT2受容体遮断作用を持ち、統合失調症の陰性症状を改善することが可能である薬剤のグループはどれか。

①クロルプロマジン、ハロペリドール、スピペロン、スルピリド

②リスペリドン、ペロスピロン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール

③ドンペリドン、メトクロプラミド、イトプリド

正解は②でした!

【解説】

①~③は、全てD2受容体遮断薬です。以下では、②の詳細について、解説します。

・リスペリドン、ペロスピロン…セロトニン、ドパミンアンタゴニスト(SDA)と呼ばれ、ドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT2受容体遮断作用を持っています。

・オランザピン、クエチアピン…ドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT2受容体を含む多くの受容体を遮断します。MARTAと呼ばれるグループの薬剤です。

アリピプラゾール…ドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT2受容体遮断作用を持つ。ドパミンD2受容体に対しては、遮断が過度となった場合には、受容体刺激作用に転じることができる。ドパミン部分刺激薬や、ドパミンシステムスタビライザー(DSS)などと呼ばれています。

 

問9 クロルプロマジンの副作用として現れることがある「抗利尿ホルモン不適合分泌症候群」の症状として正しいものはどれか。

①高張尿

②高ナトリウム血症

③多尿

正解は①でした!

【解説】

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群は、抗利尿ホルモンである「バソプレシン分泌され過ぎ症候群」です。要は、おしっこが全然出ません。

少量の尿に、ありったけの老廃物を詰め込まないといけないので、尿の濃度は必然的に濃くなり、高張尿となります。(高張=高浸透圧=高濃度、とお考え下さい♪)

 

問10 高血糖の副作用のため、糖尿病患者に禁忌であるものはどれか。

①リスペリドン

②ペロスピロン

③オランザピン

正解は③でした!

【解説】ドパミンD2受容体遮断薬には、それなりに血糖上昇作用があるのですが、著しい血糖上昇作用により警告まででているのはMARTAであるオランザピン、クエチアピンの2つです。

 




問11 低用量では消化性潰瘍に用いるが、高用量では統合失調症に用いるものはどれか。

①ハロペリドール

②スピペロン

③スルピリド

正解は②でした!

【解説】

選択肢は全てD2受容体遮断薬ですが、設問の条件に当てはまる薬剤は、スルピリドのみ。

 

問12 タンドスピロンの抗不安作用における作用機序はどれか。

①5-HT1A受容体刺激

②5-HT受容体遮断

③5-HT受容体遮断

正解は①でした!

【解説】

5-HT1A受容体は、Giタンパク質共役型の受容体であり、刺激により中枢内セロトニン濃度を低下させ、抗不安薬としての効果を示す。

 

問13 三環系抗うつ薬(イミプラミンなど)の、問題となり得る副作用はどれか。

①高カリウム血症

②抗コリン作用

③低血糖

正解は②でした!

【解説】

イミプラミン、クロミプラミンなどの三環系抗うつ薬の代表的な副作用に、抗コリン作用があります。排尿の抑制、眼圧の上昇、口渇などの原因になります。

 

問14 四環系抗うつ薬であるミアンセリンの作用機序はどれか。

①ノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込み阻害

②ノルアドレナリンの再取り込み阻害

③アドレナリンα受容体遮断によるノルアドレナリン放出促進

正解は③でした!

【解説】

ミアンセリンやセチプチリンは、四環系抗うつ薬であり、アドレナリンα受容体遮断によるノルアドレナリン放出促進により抗うつ作用を示します。

 

問15 四環系抗うつ薬であるマプロチリンの作用機序はどれか。

①ノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込み阻害

②ノルアドレナリンの再取り込み阻害

③アドレナリンα受容体遮断によるノルアドレナリン放出促進

正解は②でした!

【解説】

マプロチリンは、四環系抗うつ薬であり、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで抗うつ作用を示します(セロトニンに対する働きは弱い)。

また、四環系抗うつ薬であるミアンセリンやセチプチリンとは、全く作用機序が異なるため、注意して暗記することが必要です!!




問16 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)である薬剤群はどれか。

①フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン

②ミルナシプラン、デュロキセチン

③アモキサピン、ノルトリプチリン

正解は①でした!

【解説】

①正。フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン…選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)。

②誤。ミルナシプラン、デュロキセチン…セロトニン、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)。

③誤。アモキサピン、ノルトリプチリン…三環系抗うつ薬。その他の三環系抗うつ薬には、イミプラミンやデシプラミンがあります。

 

問17 ミルタザピンの作用機序として誤っているものはどれか。

①α受容体遮断により、ノルアドレナリン及びセロトニンの放出促進

②5-HT、5-HT受容体への遮断、5-HT受容体への刺激作用

③ノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込み阻害

正解は③でした!

【解説】

ミルタザピンは、ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)と呼ばれ、

  • α受容体遮断により、ノルアドレナリン及びセロトニンの放出促進
  • 5-HT、5-HT受容体への遮断、5-HT受容体への刺激作用

などにより、抗うつ作用を示します。

他の抗うつ薬で見られるような、再取り込み阻害作用は「持たない」抗うつ薬です。

 

問18 ファスジルの作用機序はどれか。

①Rhoキナーゼ阻害により、血管を拡張させる

②D受容体遮断作用により、脳梗塞後の精神興奮・せん妄を改善させる

③ドパミン放出促進により、脳梗塞後の意欲低下を改善させる

正解は①でした!

【解説】

①正。

②誤。文章は、チアプリドの記述。

③誤。文章は、アマンタジンの記述。

 

問19 エダラボンの作用機序はどれか。

①ヒスタミン類似の作用により、内耳の循環を改善させる

②脳に対してフリーラジカル除去効果を発揮する

③ノルアドレナリン再取り込み阻害作用によりAD/HD(注意欠陥/多動性障害)に用いられる

正解は②でした!

【解説】

①誤。文章は、ベタヒスチンの記述。

②正。

③誤。文章はアトモキセチンの記述。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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