化学系薬学

有機化学:芳香族化合物(13問)

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問1 次の化合物のうち、芳香族性を示さないものを一つ選べ。

正解は③でした!

【解説】

選択肢の化合物は全て(4n+2)π電子を有する。

しかし、化合物3は環の中央にある水素2個がぶつかり合うため、平面をとることができない。

したがって、ヒュッケル則(環を構成する原子がすべてp軌道をもち、そのπ電子が同一平面でかつ4n+2個ある場合、芳香族性を示す)を満たしておらず、化合物3は芳香族性を示さない。

 

問2 次の化合物のうち、最も塩基性の弱いものを一つ選べ。

①ピロール

②ピリジン

③アニリン

正解は①でした!

【解説】

ピロールの窒素上にある非共有電子対は、環の芳香族6π系に組み込まれているため、塩基性を示さない。

 

問3 次の反応式が進行する置換基Eを一つ選べ。

①NO2

②NH2

③CH3

正解は③でした!

【解説】

強い電子求引性基であるニトロ基は、芳香環の反応性を下げ過ぎるため、Friedel-Crafts反応が進行しない。

一方、アミノ基は触媒に用いられるLewis酸と錯体を形成することで反応しなくなる。

 

問4 次の反応による生成物Aとして、正しいものを一つ選べ。

正解は②でした!

【解説】

濃硫酸と濃硝酸を用いた条件では、芳香環のニトロ化が進行する。

濃硝酸は求電子剤であるニトロニウムイオンの濃度を高めることで、反応速度を速めている。

また、反応物であるトルエンは電子供与性基であるメチル基が置換しており、反応はortho, para選択的に進行する。

 

問5 次の反応式のうち、生成物が適切でないものを一つ選べ。

正解は②でした!

【解説】

式1のアニリンでは、アミノ基が強いortho, para配向性であるため、触媒なしで臭素水と反応してトリブロモ体が得られる。

式2のトルエンもortho, para配向性であり、生成物がmeta位に置換されていることから誤り

式3のニトロベンゼンはmeta配向性であり、正しい。

 

問6 次の反応式が進行する置換基Eとして、適切でないものを一つ選べ。

①CN

②CO2H

③CF3

④Cl

正解は④でした!

【解説】

クロロ基はorth, para配向性のため、meta位で反応は進行しない。




問7 次の反応式のうち、生成物が適切でないものを一つ選べ。

正解は③でした!

【解説】

芳香環をより強く活性化する置換基が、次に入ってくる置換基の位置を決定する。

したがって、式1はアミド基の方がメチル基よりも活性化が強いので、アミド基に対してortho位で反応する。

式2ではブロモ基で挟まれた位置は、立体的に混み合っているので空いている場所で反応が進む。

式3は誤りであり、より活性化が強いメチル基に対してortho, para位で反応が進行する。

 

問8 次の反応式が進行する置換基Eを一つ選べ。

NO2

②NH2

③CH3

正解は①でした!

【解説】

ハロゲン化アリールは通常、求核置換反応を受けない。

しかし、強い電子求引性基が置換している場合、求核置換反応が進行する。

この際、電子求引性基は、ハロゲンのortho、para位に付いている必要がある。

反応は、付加-脱離機構で進行し、Meisenheimer錯体を経由して生成物に至る。

 

問9 次の反応による生成物Aとして、正しいものを一つ選べ。

正解は②でした!

【解説】

この反応は、脱離-付加機構で進行し、ベンザイン中間体を経由して生成物に至る。

生成物として化合物1と2が考えられるが、アミドの付加でより安定なカルボアニオンを経由する化合物2が生成物となる。

 

問10 次の反応式が進行する置換基Eを一つ選べ。

 

NO2

②N2Cl

③CF3

④Br

正解は②でした!

【解説】

芳香族ジアゾニウム塩を酸の水溶液で加熱するとフェノールが得られる。

 

問11 次の反応の主な生成物が有する換基Eを一つ選べ。

NO2

②OH

③Cl

④H

正解は③でした!

【解説】

芳香族ジアゾニウム塩をハロゲン化銅と反応させると、対応するハロゲン化アリールが得られる。

これらの反応はSandmeyer反応として知られている。

 




問12 フェノール、アニリン、安息香酸が混合したエーテル溶液に対し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、水層を分離した。得られた水層を酸で処理して得られるものとして、適切なものを1つ選べ。

①フェノール

②アニリン

③安息香酸

正解は③でした!

【解説】

カルボン酸である安息香酸は、炭酸よりも酸性度が高い。

したがって、安息香酸は安息香酸ナトリウムとなり、水層へ移る。

安息香酸ナトリウムを酸で処理することで、再び安息香酸へ戻る。

 

問13 フェノール、アニリン、安息香酸が混合したエーテル溶液に対し、希塩酸を加え、水層を分離した。得られた水層を塩基で処理して得られるものとして、適切なものを1つ選べ。

①フェノール

②アニリン

③安息香酸

正解は②でした!

【解説】

アニリンは希塩酸と反応し、アニリン塩酸塩となる。

アニリン塩酸塩は水に溶け、有機層から水層へ移る。

分離した水層に塩基を作用させると、アニリンが得られる。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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