
「在宅専門薬局ってどんな薬局?一般的な調剤薬局との違いを知りたい」
「在宅医療にもっと関わりたいけれど、今の薬局の在宅業務には不満がある」
「どうすれば在宅に力を入れている薬局を見分けられるのかな?」
通院が難しい患者様のご自宅や介護施設を訪問する在宅医療は、患者様と密に関わることができる、薬剤師にとって重要な業務です。
忙しい外来業務に加えて在宅訪問を行うことは、現場の薬剤師にとって大きな負担です。
近年では、在宅医療の提供に特化することで、薬剤師が在宅に専念できる体制を整えている調剤薬局が増えてきました。
この記事では、在宅医療に特化した薬局(在宅専門薬局)の特徴と魅力、大変なこと、そして探し方をお伝えしますねーーー!
この記事の結論
- 在宅専門薬局は正式な定義はないものの、外来より在宅訪問を中心に行う調剤薬局のこと
- 外来の受付が少なく在宅に専念しやすい一方、無菌調剤・麻薬管理・多職種連携など高い専門性が求められる
- 大変なのは業務の多さ・急変時の臨時対応・営業や書類作成。負担の大きさは薬局ごとの体制で大きく変わる
- 探し方は①上司に相談 ②会社HP ③厚生局の届出状況 ④見学 ⑤転職エージェントの5つ
ちなみに、高年収を目指す場合にも在宅医療は切っても切り離せません。
-
-
薬剤師が年収700万円以上を目指すには?調剤薬局で高年収を狙える3つのポジションと求人の探し方
続きを見る
在宅専門薬局とは?在宅業務に特化して患者様をサポート!
『在宅専門薬局』は正式に定義された名称ではありませんが、在宅業務に強みを持ち、積極的に訪問・薬学的管理を行っている調剤薬局のことです。「在宅特化型薬局」と呼ばれることもあります。
一般的な病院の門前薬局とは異なり、外来よりも在宅を中心とした業務を行います。
2024年度(令和6年度)の調剤報酬改定では在宅関連の点数が大きく見直され、在宅医療を提供する体制を整えている薬局が評価されるようになりました。

厚生労働省|令和6年度診療報酬改定説明資料等について > 令和6年度診療報酬改定の概要 (調剤)
その反面、外来業務と並行して複数件の在宅を行うことは非常に難しいものです。
時間の制約や、薬局が施設基準を満たしていないために、薬剤師が思うように在宅医療に力を入れられないという現実もあります。
在宅専門薬局であれば、薬剤師が在宅業務に集中でき、患者様のサポートに専念できるでしょう。
在宅専門薬局と一般的な薬局の違いとは?
在宅専門薬局の業務内容は、外来中心の薬局とは大きく異なります。
まずは主な違いを表で確認してみましょう。
| 項目 | 在宅専門薬局 | 一般的な薬局 |
| 業務の中心 | 個人宅・施設への訪問、薬学的管理 | 外来処方箋の調剤・服薬指導 |
| 外来の受付 | 受付時間が短い、または処方箋枚数が少ない | 門前医療機関の診療時間に合わせて対応 |
| 主な設備・許可 | 無菌調剤設備、麻薬小売業者免許、高度管理医療機器販売業の許可など | 一般的な調剤設備(薬局による) |
| 担当する患者様 | 終末期の患者様、医療的ケア児、施設入居者など | 通院できる外来患者様 |
| 連携する職種 | 医師、訪問看護師、ケアマネジャー、施設職員、ご家族 | 主に処方医 |
ここからは、それぞれの違いを詳しく解説します。
外来の受付時間が短く、在宅業務とのメリハリがあって働きやすい
多くの在宅専門薬局では、外来の受付時間を短くすることで在宅業務に専念する時間を確保しています。
中には、門前が訪問診療専門のクリニックで、外来で受け付ける院外処方箋の枚数が非常に少ない薬局も。
在宅1件あたりの所要時間は、訪問先の場所や患者様の状態によってさまざまです。
1日で数件の在宅をこなそうとすると、準備から移動の時間も含めて半日ほどのまとまった時間が必要です。在宅専門薬局は時間を区切って働けるため、在宅に専念したい薬剤師にとって非常に働きやすい環境といえます。
無菌調剤を行う体制を整え、終末期や医療的ケア児の患者様に対応できる
在宅専門薬局では、終末期医療を受ける患者様や、医療的ケア児の患者様を担当することがあります。
終末期医療では、余命が限られている患者様が自分らしく過ごせるよう、疼痛コントロールや栄養管理を行うことが必要です。そのために、PCAポンプなどの自己調節鎮痛に用いる注射剤や輸液を調剤・管理することが求められます。
医療的ケア児とは、日常生活や社会生活を送るうえで、人工呼吸器による呼吸管理や痰の吸引、経管栄養などの医療的ケアが日常的に欠かせない子どものことです。
小児用量やハイリスク薬に注意しながら、内服薬を経管投与できるよう調剤したり、栄養剤を交付したりすることが欠かせません。
このような特別な配慮が必要な患者様のために、在宅専門薬局では麻薬小売業者免許や高度管理医療機器等販売業の許可を取得したうえで、無菌調剤を行う体制を整えているケースが多いです。

独立行政法人国立病院機構災害医療センター|製剤室
薬剤師は、一般的な薬局では扱う機会の少ない麻薬や注射剤・栄養剤、関連法規についての知識を身につける必要があるでしょう。
患者様のご家族とも密に関わり、他の医療従事者と連携する機会が多い
在宅医療では、患者様の状態が重いほど、介護者の負担も大きくなります。
患者様本人だけでなく、ご家族の生活にも目を向けることが重要です。
介護や服薬の負担をどう減らせるか、ご家族にヒアリングしながら業務を進める必要がありますが、本人やご家族の生活を支えられれば、薬剤師として大きな達成感を得られるでしょう。
そのためには、他の医療従事者との連携が欠かせません。
在宅専門薬局では、多職種カンファレンスへの参加や、医師の往診同行を積極的に推進し、関係構築に努めています。薬剤師も、ただの薬の配達役で終わらず、最適な処方や減薬を提案して役割を発揮する必要があります。

在宅専門薬局で大変なこと3つ!薬剤師の責任も充実感も大きい!
やりがいが大きく、知識・経験が積めて稼げる在宅専門薬局ですが、普段の業務で大変なことは何でしょうか?
3つの観点から挙げてみました。
薬の調剤や管理など、在宅で求められる業務が多い
ひとくちに在宅といっても、1件あたりの重要度も時間もさまざまです。
状態が安定している患者様であれば、数種類の薬の管理だけで済む場合もあるでしょう。

しかし、終末期医療を受けている方や医療的ケア児など、特別な配慮が必要な患者様の場合は、薬剤の管理に非常に気を遣います。麻薬の取り扱いはその最たるものです。
患者様の状態を把握したうえで、対応を検討することも重要ですよね。
嚥下が難しい場合の剤形変更や粉砕の提案、褥瘡対策、介護用品の販売・配達など、在宅で薬剤師に求められる仕事は多岐にわたります。大変な業務ではありますが、それだけ薬のプロとしての手腕を発揮できるのが在宅専門薬局の魅力です。
急変時には臨時対応を依頼されることがある
急な外来対応や長時間の夜診に振り回されることが少ない在宅専門薬局。
しかし、担当する患者様の急変に伴い、臨時対応を求められる場合があります。必要な薬剤が在庫にない場合は、医薬品卸に急配を依頼したり、他の薬局に分譲をお願いしたりと、対応に追われることになるでしょう。
常に24時間対応を求められるわけではなく、薬局の開局時間内で対応することがほとんどです。ただし、開局時間外に緊急の依頼を受ける可能性があることは、頭に入れておく必要があります。
そのため、クリニックや施設、訪問看護ステーションと急変時の対応を事前に決めておくなど、医療従事者全体で連携してこの問題に対処している在宅専門薬局もあります。
営業や書類の準備などの関連業務に追われる
在宅専門薬局では、近隣の医療機関や介護施設への営業も重要です。
医師や施設職員との関係構築は欠かせません。飲み間違いや飲み忘れの多い外来患者様に在宅訪問を提案することも、営業活動の一つです。
在宅に関連する書類の準備も薬剤師の仕事です。在宅を始めるときには、契約書や重要事項説明書、薬学的管理指導計画書などを作成する必要があります。

アウトドア薬局|【薬局の在宅訪問】薬学的管理計画を徹底解説!様式ダウンロード可
また、訪問後には、居宅療養管理指導の報告書(医療保険の場合は在宅患者訪問薬剤管理指導の報告書)を主治医やケアマネジャーに提出しなければなりません。
在宅専門薬局では、こうした書類の作成時間が膨大になりがちです。
薬剤師が必ず作成しなければならない書類以外は、医療事務と協力して進める必要があるでしょう。中には在宅専門の部署やセンターを設け、営業や書類作成を集約することで、現場の薬剤師の負担を軽減している企業もあります。
調剤報酬が多岐にわたり、必要な書類も多い在宅医療ですが、Xでご活躍中のタイガー薬剤師先生(@PharmacistTiger)の書籍『在宅医療のいろは: ストーリーで学ぶ訪問薬剤師業務』なら、そのあたりもスッキリしますよ♪おすすめです。

在宅医療に積極的に取り組んでいる薬局の探し方5つ!

在宅訪問ができる薬局はたくさんありますが、実際の取り組み内容は薬局によって大きく異なります。
在宅業務に力を入れている薬局で働きたいと思ったら、どうやって探せばよいでしょうか?探し方を5つ紹介します。
在宅に強い薬局の探し方5つ
- 直属の上司に希望の勤務先を相談する
- 会社のホームページで確認する
- 地方厚生局で施設基準の届出状況を確認する
- 実際に見学に行く
- 薬剤師向け転職サービスに相談する
①直属の上司に希望の勤務先について相談する
複数店舗を持つグループ薬局に勤務している場合は、「在宅医療を積極的に行っている薬局で働きたい」と上司に相談してみましょう。
今の店舗では在宅に関われなくても、他店舗への異動で理想の働き方が実現できるかもしれません。
とはいえ、在宅に力を入れている店舗が通勤圏内にない場合や、異動の希望が通らないこともあります。そんなときは、転職も視野に入れて探してみましょう。
②会社のホームページで確認する
気になる薬局があれば、その会社のホームページを見てみましょう。
会社が掲げる在宅医療への思いや、実際の取り組みが記載されていることがほとんどです。
中には、在宅医療を行っている店舗数や、無菌調剤設備を整えている店舗数を紹介しているホームページもあります。会社の在宅に対する熱意や取り組みの度合いを推測できるでしょう。

③施設基準の届出状況を確認する
薬局が各種施設基準を届け出ているかどうかは、地方厚生局のホームページで確認できます。勤務したい地域の厚生局のホームページを見てみましょう。
例:関東信越厚生局|保険医療機関・保険薬局の施設基準の届出受理状況及び保険外併用療養費医療機関一覧
『保険医療機関・保険薬局の施設基準の届出受理状況』の一覧には、薬局ごとの各種加算の届出状況と届出日が記載されているため、在宅への取り組み度合いを推察できます。
一覧では、無菌製剤処理加算は「薬菌」のように略称で記載されています。在宅関連の加算の略称は一覧の凡例で確認し、興味を持った薬局について調べてみるのがおすすめです。

④実際に見学に行く
最も確実な方法は、実際にその薬局を見学させてもらうことです。
希望する業務内容かどうかがわかり、働くスタッフの様子も把握できます。その薬局や会社について下調べをしたうえで、
『在宅医療に特化した薬局への就職を希望しているため、薬局を見学させてほしい』
と相談するのがおすすめです。
見学・面接で確認したいポイント
- 個人在宅と施設在宅の割合、1日あたりの訪問件数
- 無菌調剤設備の有無と、実際の調製件数
- 麻薬・注射剤の取り扱い状況
- 時間外・休日の緊急対応の体制(当番制か、手当はあるか)
- 書類作成や営業を事務・本部がどこまで担うか
- 訪問時の移動手段(社用車・自転車など)
⑤薬剤師向け転職サービスに相談して探してもらう
仕事が忙しく、情報収集や見学の時間が取れないときもあります。そんなときに利用したいのが、薬剤師向けの転職サービスです。
-
-
薬剤師の転職サイトおすすめ3選|薬剤師2名が実際に利用・取材して比較
続きを見る
自分一人で在宅専門薬局を探すのは難しいものですが、転職サービスを利用すれば、在宅業務に力を入れている薬局を紹介してもらえます。
その薬局の在宅の状況に加え、勤務する薬剤師の残業時間や実際の収入などを総合的に知るチャンスです。
自分で見学のアポイントを取るのはハードルが高いですが、転職サービスを活用すればスムーズに調整してくれます。
例えば、後述する薬進キャリアサポートでは、過去にこんな要望が叶った転職実例もあります!
- 現在在宅特化店舗で働いていて、在宅は好きだけど転職したい…
- 大型店舗で勤務してみたい
- 施設在宅や個人在宅に携わりたい
- 在宅の体験だけでもやってみたい
- 現職の在宅業務に不満がある
- 外来なしで在宅特化に行きたい
直近の在宅特化薬局求人例


実際に、薬進キャリアサポートを利用して、希望通りの在宅特化薬局に転職できた薬剤師もいらっしゃいますよ!
-
-
【薬剤師の転職体験談】施設・在宅特化の「しろくま薬局(RISE)」で仕事と趣味のバレエを両立!
続きを見る
在宅医療に挑戦するなら若いうちに!
在宅医療への取り組み方は、薬局によって大きく異なります。在宅に興味があっても、今の職場では思うように取り組めないこともあるでしょう。
しかし、在宅のニーズは今後も高まるうえに、在宅関連の調剤報酬は評価が高く、薬局の経営面でも避けては通れません。
在宅専門薬局は、イレギュラーな外来業務が少なく、仕事とプライベートを両立しやすい環境です。薬剤師としての職能を存分に活かせる、やりがいのある職場といえるでしょう。
その分、無菌調剤や麻薬など、学ぶことも多くあります。興味が湧いた方は、若いうちの早めの挑戦がおすすめです。
在宅専門薬局に転職したいと考えている薬剤師は、ぜひ『薬進キャリアサポート』にご相談ください。
現在の勤務状況と転職先の希望をしっかりお伺いし、在宅医療を専門に行っている薬局の紹介や、転職のサポートを行います。転職を押し付けることはないため、在宅に興味がある方は一度ご相談ください!
実際に利用されたInstagramの方からも嬉しいお言葉が届いています!!他の利用者さんの声も掲載されていますよ♪
ブログ紹介記事
>>Study Days.|薬剤師の転職に一押しのエージェント(プレゼントあり!)
今なら、『薬剤師のためのお金の教科書(通称、薬マネ)』または、臨床で差がつく書籍『新薬情報オフライン』のプレゼントキャンペーンも実施中です!
\ 在宅に強い薬局へ転職したい!/
在宅専門薬局に関するよくある質問
在宅専門薬局に関するよくある質問をまとめてみました。
在宅専門薬局とはどんな薬局ですか?
在宅未経験の薬剤師でも在宅専門薬局に転職できますか?
在宅専門薬局は夜間や休日の対応がありますか?
在宅に力を入れている薬局はどうやって見分けられますか?
在宅専門薬局で働くと年収は上がりますか?
まとめ|在宅専門薬局で薬剤師の職能を発揮しよう
在宅専門薬局は、外来業務に追われずに在宅に専念でき、無菌調剤や麻薬管理、多職種連携など薬剤師としての専門性を大きく伸ばせる職場です。
一方で、臨時対応や書類作成など大変な面もあり、負担の大きさは薬局の体制によって大きく変わります。厚生局の届出状況や見学で実態を確認し、自分に合った薬局を選びましょう。
参考書籍・文献
- 厚生労働省|令和6年度診療報酬改定の概要(調剤)
- NOT DOING, BUT BEING「在宅訪問薬剤師」奮闘記 日本調剤株式会社在宅訪問薬剤師ブログ書籍化プロジェクト(著)(幻冬舎メディアコンサルティング)
- 薬局薬剤師のための在宅医療基礎講座 タイガー薬剤師(著)(個人出版)
- 在宅医療のいろは: ストーリーで学ぶ訪問薬剤師業務 丸一 泰雅(タイガー薬剤師) (著) 南山堂
- 医療的ケア児に対する薬学的ケアの実態及び薬剤師の役割の考察 川名三知代(他)Journal of the Japan Pharmaceutical Association 74 (11), 1315-1324, 2022-11
お知らせ
本サイトから薬剤師とお金の本を出版しました!
-
-
【薬マネ】薬剤師のためのお金の強化書の評判・口コミと内容を著者が解説|NISA・iDeCo・節税・副業を1冊で
薬剤師に必要なお金の知識が、1冊で体系的に学べる
