★成績優秀者限定の就活|薬学生プレミア
問1 鉄剤を服用中の患者に禁忌の薬剤を次の中から1つ選べ。
① ロペラミド
② タンニン酸アルブミン
③ センノシド
正解は②でした!
【解説】
鉄剤がタンニン酸アルブミンに吸着することで吸収が低下するため併用禁忌となっている。
ロペラミドやセンノシドはともに排便を調節する薬剤であるが鉄剤と併用禁忌ではない。
問2 ワルファリンとの相互作用のうち、血漿タンパク結合の点で影響が出る薬剤を1つ選べ。
① リチウム
② ロキソプロフェン
③ カバペンチン
正解は②でした!
【解説】
①誤。 リチウムは血漿タンパク質に結合しない薬物であるためワルファリンとの血漿タンパク結合率の点での相互作用は起こらない。
②正。 ロキソプロフェンの血漿タンパク結合率は97.0%でありロキソプロフェンがワルファリンの血漿タンパク質の遊離を促進することがあるため注意が必要である。また、ロキソプロフェン自体に血小板凝集抑制作用があるためワルファリンとの併用で出血傾向が強まることがある。
③誤。 ガバペンチンは血漿タンパク結合率が3%でありほとんどが遊離した状態で存在するためワルファリンとの血漿タンパク結合率の点での相互作用は起こらない。
問3 ワルファリンとの相互作用のうち代謝酵素を阻害する点で併用禁忌である薬剤を1つ選べ。
① イグラチモド
② クラリスロマイシン
③ ミコナゾール
正解は③でした!
【解説】
①誤。 ワルファリンとイグラチモドは併用禁忌であるが、その理由は代謝酵素の阻害ではなく作用を増強する恐れがあるという理由である。
②誤。 クラリスロマイシンはCYP2C9を阻害しワルファリンの代謝に影響を与えるが併用禁忌ではない。
③正。 ミコナゾールはCYP2C9を強力に阻害することからワルファリンの代謝が遅れ重篤な出血の副作用が出る恐れからワルファリンとは併用禁忌である。
問4 クラリスロマイシンとの相互作用のうち、代謝酵素を阻害する点で併用禁忌である薬剤を1つ選べ。
① スボレキサント
② ラメルテオン
③ ゾピクロン
正解は①でした!
【解説】
①正。 スボレキサントはCYP3A4を強力に阻害する薬剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル、インジナビル、テラプレビル、ボリコナゾール)と併用禁忌である。
②誤。 ラメルテオンは主にCYP1A2で代謝される。フルボキサミンとは併用禁忌である。CYP3A4でも一部代謝されるのでクラリスロマイシンとも併用注意であるが併用禁忌ではない。
③誤。 ゾピクロンも主にCYP3A4で代謝されるためクラリスロマイシンの併用で代謝が阻害されて作用が強くなる可能性があるが併用禁忌ではない。
問5 薬物代謝酵素を誘導する薬剤ではないものを次の中から1つ選べ。
① カルバマゼピン
② レベチラセタム
③ フェニトイン
正解は②でした!
【解説】
抗てんかん薬はシトクロムP450を誘導する薬剤が多い。
カルバマゼピンやフェニトイン、フェノバルビタールはその代表的薬剤である。
単剤でてんかん発作がコントロールできないこともありしばしば作用の異なる抗てんかん薬が併用されることもあるが、その都度相互作用には注意が必要である。
てんかん診療ガイドライン2018に相互作用一覧が掲載されているので、参考にしてもらいた。
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てんかん診療ガイドライン2018:第12章 薬物濃度モニター
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レベチラセタムはシトクロムP450を誘導しない薬剤である。
問6 Al, Fe, Ca, Mg, Znなどの金属イオンとキレートを形成する薬剤ではないものを1つ選べ。
① フェキソフェナジン
② アレンドロン酸
③ セフジニル
正解は①でした!
【解説】
①正。 フェキソフェナジンは金属イオンとキレートは形成しない。ただしAlやMgといった金属イオンと吸着するため吸収が低下することがある。AlやMgを含む制酸剤などとの併用には注意が必要である。
②誤。 ビスホスホネート系の薬剤と金属イオンのキレート形成は有名である。2価以上の金属イオンとはほとんどすべてキレートを形成してしまう。したがって服用の仕方も「起床時(空腹時)30分以上は横にならず水以外のものは摂取しない」といった特徴的な服用の仕方となっている。
③誤。 セフェム系の抗生剤の中でも特徴的な薬剤がセフジニルである。構造的にキレートを形成しやすい。鉄剤(Fe)と併用する際、セフジニル服用後3時間以上は間隔をあける。ZnやCuともキレートを形成する。本問とは直接関係ないが、その他の特徴として、単独服用で赤色便や赤色尿が出現する。
問7 他の薬剤と結合してしまい吸収を阻害する薬剤を1つ選べ。
① コレスチラミン
② フェニルブタゾン
③ リファンピシン
正解は①でした!
【解説】
①正。 コレスチラミンは陰イオン交換樹脂であり各種薬剤と結合して吸収を阻害する。作用を受ける薬剤の代表として酸性薬剤(ワルファリン、利尿剤、バルビツール酸系薬、スタチン系、NSAIDs、メトトレキサート、サルファ剤など)が挙げられる。他の薬剤とコレスチラミンを併用する際には4時間程度服用時間をずらす必要がある。
②誤。 フェニルブタゾンは他の薬剤と結合して吸収を阻害しない。血漿タンパク質に結合しやすく、他の薬剤の血漿タンパク質からの遊離を促進してしまう。薬剤の分布において相互作用を及ぼす薬剤の代表である。
③誤。 リファンピシンは他の薬剤と結合して吸収を阻害しない。リファンピシンはシトクロムP450やグルクロン酸転移酵素、P糖タンパク質なども誘導するため薬剤の代謝や排泄において相互作用が出る薬剤である。
問8 キニジンとジゴキシンの相互作用の理由として正しいものを1つ選べ。
① 薬物代謝酵素の阻害
② 溶解性の低下による吸収阻害
③ P 糖タンパク質の競合阻害
正解は③でした!
【解説】
キニジンとジゴキシンはともにP糖タンパク質の基質であり併用することで基質同士の競合阻害が起こり尿細管の細胞内からの排泄が遅延する。
これにより薬物の尿中排泄が低下し、血中濃度が上昇する。
その結果、不整脈の誘発の可能性がある。
問9 シメチジンとニフェジピンの相互作用の理由として正しいものを1つ選べ。
① 薬物代謝酵素の阻害
② 溶解性の低下による吸収阻害
③ P 糖タンパク質の競合阻害
正解は①でした!
【解説】
シメチジンはシトクロムP450のヘム鉄と結合し、酵素活性を低下させる。
CYP3A4で代謝される二フェジピンはシメチジンにより代謝が阻害され血中濃度が上昇する。
その結果血圧が過度に低下してしまう可能性がある。
問10 ボリコナゾールとトリアゾラムの相互作用の理由として正しいものを1つ選べ。
① 薬物代謝酵素の阻害
② 溶解性の低下による吸収阻害
③ P 糖タンパク質の競合阻害
正解は①でした!
【解説】
ボリコナゾールはシトクロムP450のヘム鉄と結合し、酵素活性を強力に低下させる。
CYP3A4で代謝されるトリアゾラムはボリコナゾールにより代謝が阻害され血中濃度が上昇する。
したがってトリアゾラムの作用が強く出るため持ち越し作用や覚醒不全といった副作用が起こる可能性が高くなるため併用禁忌である。
問11 プロベネシドとベンジルペニシリンの相互作用の理由として正しいものを1つ選べ。
① 血漿タンパク結合の競合阻害
② 近位尿細管からの分泌阻害
③ 薬物代謝酵素の競合阻害
正解は②でした!
【解説】
プロベネシドは有機アニオントランスポーター(OAT)の代表的な阻害剤でありNSAIDs、SU薬、ナテグリニド、メトトレキサート、抗菌薬(セフェム系・ペニシリン系・サルファ剤・キノロン系)、抗ウイルス剤(ジドブジン、アシクロビルなど)の尿細管細胞の輸送排泄を抑制することで尿細管分泌を阻害する。
これにより血中濃度が上昇する。
問12 イブプロフェンとアセタゾラミドの相互作用の理由として正しいものを1つ選べ。
① 尿細管からの再吸収阻害
② 近位尿細管からの分泌阻害
③ P 糖タンパク質の競合阻害
正解は①でした!
【解説】
遠位尿細管での再吸収は、受動拡散でありpH分配仮説が成立する。
イブプロフェンはNSAIDsであり酸性薬物である。
酸性薬物とアセタゾラミドのような尿のpHを上昇させる薬物を併用すると酸性薬物はイオン化する割合が増大し、尿細管からの再吸収が起こりにくくなる。
結果的にはイブプロフェンの尿中排泄が増加する。
問13 次の薬剤の組み合わせのうち併用禁忌でないものを1つ選べ。
① プロプラノロール − スマトリプタン
② アトルバスタチン − フェノフィブラート
③ タクロリムス − スピロノラクトン
正解は②でした!
【解説】
①禁忌。 プロプラノロールとスマトリプタンはともにモノアミンオキシダーゼ-A(MAO-A)で代謝される薬剤である。両者を併用するとMAO-Aの競合阻害が起こり両者の血中濃度が高まるため併用禁忌である。いずれの薬剤も片頭痛の治療に用いられるので同時に処方されていないか確認する必要がある。
②禁忌ではない。 以前は横紋筋融解症の発症誘発のリスクからスタチン系薬とフィブラート系薬は併用禁忌であったが、欧米では併用禁忌の制限はないこと、スタチン系薬だけではコントロールできない症例が多いことなどを理由に2018年に併用禁忌が解除された。ただし腎機能が低下している患者は横紋筋融解症のリスクが高まることから引き続き併用には注意が必要である。
③禁忌。 薬力学的相互作用の一例である。タクロリムスとスピロノラクトンを併用すると高カリウム血症が誘発されることから併用禁忌となっている。カリウム保持性利尿薬と免疫抑制薬(タクロリムス、シクロスポリン)は併用禁忌である。
問14 次の薬剤の組み合わせのうち併用禁忌でないものを1つ選べ。
① ボノプラザン − クラリスロマイシン
② リファンピシン − ボリコナゾール
③ ボセンタン − シクロスポリン
問15 次の薬剤の組み合わせのうち併用禁忌でないものを1つ選べ。
① フルルビプロフェン − ノルフロキサシン
② フェブキソスタット − アザチオプリン
③ イトラコナゾール − ロスバスタチン
正解は③でした!
【解説】
①禁忌。 薬力学的相互作用の一例である。NSAIDsとニューキノロン系抗生剤の相互作用のうち併用禁忌に該当する例である。併用により大発作痙攣、顔面チアノーゼ、意識消失などが起こるため併用禁忌である。
②禁忌。 フェブキソスタットとアザチオプリンはともにキサンチンオキシダーゼ(XOD)の基質である。併用により競合阻害が起こり両者の血中濃度が高まるため併用禁忌である。特にアザチオプリンの血中濃度が高まると骨髄毒性が起こりやすくなる。なお同じXOD阻害薬のアロプリノールとアザチオプリンは投与量減量の目安があり併用禁忌ではない。
③禁忌ではない。 イトラコナゾールとロスバスタチンは併用禁忌ではない。ロスバスタチンはわずかにCYP2C9, CYP2C19の代謝も受けるが大部分が胆汁から糞中に排泄されるためイトラコナゾール との相互作用は少ない。
問16 次の組合せのうち薬力学的相互作用であるものを1つ選べ。
① ジゴキシン と グルコン酸Ca による ジゴキシン の作用増強
② バルプロ酸 と メロペネム による けいれんの誘発
③ アロプリノール と テオフィリン による テオフィリン の中毒症状
正解は①でした!
【解説】
①正。 陽性変力・陰性変時作用増強の例である。グルコン酸Caのカルシウムが強心配糖体の作用を増強する。ジゴキシンとグルコン酸Caは併用禁忌である。
②誤。 バルプロ酸とカルバペネム系抗生剤は併用禁忌である。カルバペネム系抗生剤がバルプロ酸のグルクロン酸抱合体の生成促進、分解抑制を行うためバルプロ酸の血中濃度が低下しけいれんが誘発される。バルプロ酸の代謝に関わる相互作用であるので薬物動態学的相互作用と言える。
③誤。 アロプリノールもテオフィリンもキサンチンオキシダーゼの基質である。代謝酵素の競合阻害により相互作用が起こるため薬物動態学的相互作用と言える。
問17 次のうち薬力学的相互作用を起こす薬剤の組み合せでないものを1つ選べ。
① アミオダロン − モキシフロキサシン
② アプレピタント − ピモジド
③ アドレナリン − クエチアピン
正解は②でした!
【解説】
①誤。 併用によりQT延長作用が相加的に増強する。重篤な不整脈(TdP)から死に至る可能性があるため併用禁忌である。これは薬力学的相互作用の一例である。
②正。 アプレピタント、ピモジドともにCYP3A4で代謝される。代謝酵素の競合阻害から両者の血中濃度が上昇するため併用禁忌ある。これは薬物動態学的相互作用の一例である。
③誤。 クエチアピンはα遮断作用を持つがアドレナリンとの併用で相対的にβ刺激作用が増強し、昇圧作用が逆転する。低血圧からショックを起こす可能性があるので併用は原則禁忌である。(アナフィラキシーの緊急治療に使用する場合は禁忌には該当しない)これは薬力学的相互作用の一例である。
問18 ジアゼパム坐剤とアセトアミノフェン坐薬を同時に使用したい時、挿入の注意点について正しいものを1つ選べ。
正解は①でした!
【解説】
坐薬の基剤の性質と使用上の注意点について問う問題。
ジアゼパム坐剤は水溶性基剤、アセトアミノフェン坐剤は脂溶性基剤である。
基本的には水溶性基剤の坐剤を先に挿入し、30分以上の間隔をあけて脂溶性基剤の坐剤を挿入する。
ジアゼパムが脂溶性のアセトアミノフェン坐剤の基剤に溶け込んでしまい直腸内腔からの吸収が遅延することを避ける目的がある。
水溶性基剤である坐剤としてジアゼパム坐剤以外には、ドンペリドン坐剤・抱水クロラール坐剤・ブプレノルフィン坐剤が代表的である。
問19 カルシウム拮抗薬のニカルジピンは注射剤と錠剤とでグレープフルーツジュース(GFJ)との相互作用が出る場合と出ない場合がある。 GFJとの相互作用が出る剤形とその理由として適切な組合せを1つ選べ。
正解は②でした!
【解説】
①誤。 有機アニオントランスポーター阻害ではなく小腸粘膜のCYP3A4阻害によるものである。
②正。 GFJは小腸粘膜に発現しているCYP3A4を阻害する。GFJとの相互作用がない条件下では吸収される段階で薬剤が代謝を受け、ある程度吸収量が減少する。GFJの影響下では吸収量が増加してしまうためバイオアベイラビリティが上昇する形になる。薬剤が小腸を経由するのは注射剤ではなく錠剤を内服した場合である。
③誤。 注射剤を直接静脈内に投与すると、初回通過効果は回避できる。ただし小腸から吸収されるわけではないので、GFJとの相互作用は起こらない。
問20 下記の問いに答えよ。
1歳 体重 10 kg の 小児に以下のような処方が出た。
この小児が服薬する際に食品との飲み合わせを指導する必要がない薬剤を1つ選べ
<処方>
トスフロキサシ細粒15% 1日 0.8g:1日2回 朝夕食後 4日分
フェキソフェナジン ドライシロップ5% 1日 0.6g:1日2回 朝夕食後 4日分
カルボシステイン ドライシロップ 50% 1日 0.6g:1日3回 毎食後 4日分
① トスフロキサシン
② フェキソフェナジン
③ カルボシステイン
正解は③でした!
【解説】
①誤。 トスフロキサシンはニューキノロン系の抗生剤であり牛乳やヨーグルトに含まれるカルシウムイオンとキレートを形成し吸収が低下する恐れがあるので注意が必要である。
②誤。 果実ジュースが有機アニオントランスポーターを阻害しフェキソフェナジンの吸収を阻害する。その結果AUCとCmaxが60〜70%低下する。
③正。 カルボシステインは現在のところ食品との相互作用は報告されていない。用法も「1日3回」とだけであり食事に関係なく服用させることができる。
問21 下記の問いに答えよ。
本日初めて精神科を受診した患者に「フルボキサミンマレイン酸塩錠25mg 1日1錠 1日1回 寝る前 14日分」の処方が出た。
この患者のお薬手帳を確認したところ、整形外科にもかかっており以下の薬剤が処方されていた。
- セレコキシブ錠100mg
- レバミピド錠100mg
- チザニジン錠1mg
薬剤師としてフルボキサミンとの相互作用の観点から疑義照会を行う必要があるが、その対象薬剤を1つ選べ。
① セレコキシブ
② レバミピド
③ チザニジン
正解は③でした!
【解説】
フルボキサミンはCYP1A2で代謝される。
チザニジンも同酵素で代謝されるためCYP1A2の競合阻害が起こり両者の血中濃度が上昇するため併用禁忌である。
今回の場合、チザニジンはすでに服用されているので精神科の医師に疑義照会を行い、フルボキサミン以外の薬剤に変更できないか確認するのが良い。
成績優秀者ではなくとも就活は有利にできる!