★成績優秀者限定の就活|薬学生プレミア
問1 気管支喘息に用いられる次の薬剤のうち TDM を行うべき薬剤を1つ選べ。
① テオフィリン
② モンテルカスト
③ ツロブテロール
正解は①でした!
【解説】
テオフィリンは有効治療濃度の幅が狭くTDMを行うべき薬剤である。
モンテルカストは内服薬で特にTDMを必要としない。
ツロブテロールは貼付剤の製剤があるが年齢で投与量を決められるほど治療域は広い薬剤であるためTDMの必要はない。
問2 次の抗不整脈薬のうち TDM を必要としないものを1つ選べ。
① リドカイン
② プロプラノロール
③ ジソピラミド
正解は②でした!
【解説】
抗不整脈薬はほとんどがTDM対象の薬剤である。
プロプラノロールは不整脈だけでなく高血圧症や片頭痛にも用いられることがありTDMは必ずしも必要ではない。
問3 次の白血病治療薬のうち TDM を行うべき薬剤を1つ選べ。
① シタラビン
② ヒドロコルチゾン
③ メトトレキサート
正解は③でした!
【解説】
白血病治療薬にはビンクリスチン、シタラビン、ダウノルビシン、メトトレキサート、エトポシド、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾンなどが用いられる。
これらの中でTDMを必要とする薬剤はメトトレキサートのみである。
メトトレキサートは治療効果を上げるために治療量ギリギリの投与が行われる。
しかしながら投与量が多いと腎障害、肝障害、骨髄障害を起こすことがあるのでTDMを積極的に行うべきである。
採血のタイミングが特徴的であり、投与後24, 48, 72時間後に血中濃度を測定する。
問4 次の抗生剤のうち TDM を行うべき薬剤を1つ選べ。
① セフジトレンピポキシル
② クラリスロマイシン
③ バンコマイシン
正解は③でした!
【解説】
セフジトレンピボキシル、クラリスロマイシンはTDMを行う必要はない。
バンコマイシンは腎障害、聴覚障害など副作用回避の目的と、治療効果を確認する目的でTDMが行われる。
問5 次の心不全治療薬のうち TDM を行うべき薬剤を1つ選べ。
① ミルリノン
② ジゴキシン
③ ピモベンダン
正解は②でした!
【解説】
ミルリノンとピモベンダンはTDMの必要はない。
ジゴキシンは半減期が1.5日と長く体から排泄されにくいため副作用が起こらないように投与する必要がある。典型的な副作用は不整脈、嘔吐、頭痛などがある。
ジゴキシンはその中毒作用または副作用と病態の区別が難しい薬物である。
問6 TDM が必要な薬剤の特性の記述として誤っているものを1つ選べ。
① 血中濃度と治療効果・副作用の発現が相関する
② 治療域と副作用発現域が近い
③ 薬物の吸収・分布・代謝・排泄 に個人差が少ない
正解は③でした!
【解説】
TDMを行う理由としては様々なものが挙げられる。
その中で、体内動態の個人差が大きい薬剤もTDMの対象となり得る。
フェニトイン、リチウム、キニジン、テオフィリンなどの薬剤が該当する。
問7 臨床的にTDM を必要とする理由として次の記述の中からふさわしくないものを1つ選べ。
① 治療効果を確認するため
② すべての薬は血中濃度を調べる必要があるため
③ 中毒・副作用が疑われるため
正解は②でした!
【解説】
①:正。 例えば抗てんかん薬では、てんかん発作を起こさないための濃度に達しているかを確認する必要がある。バンコマイシンでは有効血中濃度に到達していないと感染を抑制させることができない。
②:誤。 血中濃度の測定は侵襲的であり倫理的にはできれば避けるべきである。必要がある薬剤のみTDMを行うべきである。
③:正。 血中濃度が高くなると副作用や中毒が起こりやすくなる。血中濃度が高くなり中毒症状を起こす場合はTDMを行い、血中濃度を確認した上で適切な血中濃度になるように投与量を再度評価し直す必要がある。
問8 次のうちTDM を行う理由と薬剤が正しい組合せを1つ選べ。
① 投与量と血中濃度の関係が非線形を示す − テイコプラニン
② 有効血中濃度の幅が 5 μg/mL 程度 である − バルプロ酸
③ 繰返し投与により薬物動態変化が予想される − カルバマゼピン
正解は③でした!
【解説】
①:誤。 テイコプラニンは線形性を示す薬剤である。非線形を示す薬剤にはフェニトインやサリチル酸が挙げられる。
②:誤。 バルプロ酸の有効血中濃度は50〜100μg/mLである。したがって有効血中濃度の幅は50μg/mLである。
③:正。 カルバマゼピンを単回投与後の未変化体の血中半減期は約 36 時間であるが、反復投与した場合には薬物代謝酵素の自己誘導が起こるため半減期が 16〜24 時間となる。
薬物動態が自らの特性によって変化する例である。
問9 ジゴキシンの TDM の記述として正しいものを1つ選べ。
① 副作用に不整脈があるため血中濃度を測定する必要がある
② 治療域 は 4.0 〜 8.0 ng/mL である
③ 1-コンパートメントモデルに従う薬剤である
正解は①でした!
【解説】
①:正。 ジゴキシンは半減期が1.5日と長く、体から排泄されにくいため副作用が起こらないように投与する必要がある。典型的な副作用は不整脈、嘔吐、頭痛などがある。ジゴキシンはその中毒作用または副作用と病態の区別が難しい薬物である。
②:誤。 ジゴキシンの有効血中濃度は0.5〜2.0 ng/mLであり2.0 ng/mLを上回ると中毒症状が出る可能性が高まる。問にある濃度では完全に中毒域であり生命の危険が考えられる。②は禁忌選択肢に該当してもおかしくない。
③:誤。 ジゴキシンは分布相と消失相に別れた2-コンパートメントモデルに従う薬剤である。組織(主に心筋)に分布するのに約6時間を要し、その後半減期が1.5日と極めてゆっくりと消失する特徴を持つ薬剤である。採血のポイントは通常7日目以降の定常状態で行う。
問10 アミノグリコシド系抗生剤の TDM の記述として正しいものを1つ選べ。
① 消化管からも吸収されるため点滴静注以外にも経口投与が行われる
② 原則としてピーク値とトラフ値を測定するが、その理由として 前者は抗菌効果が時間依存性であるため、後者は副作用防止のため である
③ トラフ値が一定濃度以上を維持すると、腎臓や聴覚器官に障害が出る
正解は③でした!
【解説】
①:誤。 アミノグリコシド系抗生剤は消化管からほとんど吸収されない薬剤であるため消化管内の殺菌を目的とする場合を除いて全て静脈内投与である。
②:誤。 アミノグリコシド系抗生剤は基本的にピーク値とトラフ値を測定する。ピーク値を測定する意義は抗菌効果が濃度依存性であるため。トラフ値を測定する意義は副作用発現防止である。
③:正。 トラフ値が高いということは組織内に高い濃度で薬剤が存在しているということでもある。尿細管に抗生剤が高い濃度で存在すると腎障害を起こす。聴覚器官に高濃度で存在すると聴覚障害を起こす。
問11 テオフィリンの TDM について正しい記述を1つ選べ。
① 有効血中濃度 は 10〜20 μg/mLである
② 肝クリアランスに個人差はなく一定である
③ 患者が喫煙している場合、投与量を減量する必要がある
正解は①でした!
【解説】
①:正。 有効血中濃度 は 10〜20 μg/mLである。ただし実際の臨床では、副作用を防止するためにさらに低濃度の5〜15 μg/mLでコントロールされることが多い。
②:誤。 テオフィリンは肝クリアランスに個人差が大きい薬剤である。特に年齢によるクリアランスが大きく図のように変動する。
③:誤。 テオフィリンはCYP1A2で代謝されるが喫煙はCYP1A2を誘導する。したがって喫煙によりテオフィリンのクリアランスは上昇するため投与量は喫煙していない場合に比べて増量する必要がある。
問12 シクロスポリンとタクロリムスに関する記述として誤っているものを1つ選べ。
① いずれの薬剤もCYP3A4で代謝される
② TDM における有効血中濃度はシクロスポリンの方が高い
③ シクロスポリンはP糖タンパク質により輸送されるが、タクロリムスは輸送されない
正解は③でした!
【解説】
①:正。 シクロスポリンもタクロリムスもCYP3A4で代謝される。
②:正。 シクロスポリンの有効血中濃度は100〜400 ng/mLである。一方タクロリムスの有効血中濃度は5〜20 ng/mLである。したがって有効血中濃度はシクロスポリンの方が高い。
③:誤。 シクロスポリンもタクロリムスもいずれもP糖タンパク質の基質である。P糖タンパク質の競合が起こるとP糖タンパク質による排泄輸送が阻害されるため濃度が増加する。
問13 抗MRSA薬は基本的にTDMを行うがその記述として正しいものを1つ選べ。
① アミノグリコシド系抗生剤のうちゲンタマイシンが用いられることがある
② バンコマイシンは経口投与することもできるがその場合もTDM を行う必要がある
③ テイコプラニンは有効血中濃度に早く到達させるためローディングドーズを行う
正解は③でした!
【解説】
①:誤。 アミノグリコシド系抗生剤のうちMRSAに対して用いられるものはアルべカシンのみである。
②:誤。 バンコマイシンは消化管からほとんど吸収されないので基本的には静脈内投与である。バンコマイシンの経口投与は消化管内の感染の場合に行われるがその際にTDMは実施しない。
③:正。 テイコプラニンは腎機能が正常の場合半減期が46〜56時間程度であり通常の1日1回の投与では有効血中濃度に到達させるのに時間がかかりすぎる。そのため腎機能に関わらずローディングドーズ(初回頻回投与)を行い有効血中濃度に達したことを確認してから腎機能に応じて投与する。
問14 次の濃度では中毒域に達している薬剤と濃度の組合せを1つ選べ。
① リチウム - 8 mEq/L
② ジゴキシン - 1.0 ng/mL
③ フェノバルビタール - 20 μg/mL
正解は①でした!
【解説】
各々の薬剤のおおよその有効血中濃度は覚えておくべきである。
①:中毒域。 リチウムの有効血中濃度は0.4〜1.2 mEq/Lであり2.0 mEq/Lを上回ると中毒域である。
②:有効域。 ジゴキシンの有効血中濃度は0.5〜2.0 ng/mLであり2.0 ng/mLを上回ると中毒症状が出る可能性が高まる。
③:有効域。 フェノバルビタールの有効血中濃度は15〜35 μg/mLであり35 μg/mLを上回ると中毒症状が出る可能性が高まる。
問15 バンコマイシンを投与されていて定常状態に達していた患者の腎機能が低下した。この場合、バンコマイシンの投与量はどうすべきか次の中から1つ選べ。
① 投与量を増やす
② 投与量は変える必要はない
③ 投与量を減らす
正解は③でした!
【解説】
薬剤師として投与設計ができる必要がある。患者の状態が変化することは臨床上では大いにあり得ることであり、そうした際にどうすべきか判断できる必要がある。
バンコマイシンは腎排泄型の薬剤である。何らかの理由で腎機能が低下した場合、バンコマイシンのクリアランスが低下する。これによりバンコマイシンの排泄が低下するため血中濃度が上昇する。
したがって有効血中濃度を維持するためには投与量は腎機能が低下する前と比べて減量する必要がある。
問16 採血試料の扱いに関して、薬剤名と注意点が正しい組合せを1つ選べ。
① シクロスポリン − 採血試料としては血漿成分を用いる
② フェニトイン − 試料が少ない場合、血清分離剤へ吸着するため血中濃度を低く見積もることがある
③ アミノグリコシド系抗生剤 − 抗凝固剤にはヘパリンを用いる
正解は②でした!
【解説】
①:誤。 シクロスポリンは血漿のみならず血球にも分布するため、採血試料としては全血を用いないと正確な濃度がわからない。
②:正。 フェニトインは採血試料が少ない場合、血清分離剤に吸着される。吸着された分が減ってしまうため実際の血中濃度よりも低い濃度が算出される。
③:誤。 アミノグリコシド系抗生剤は抗凝固剤のヘパリンと複合体を形成し、測定法によっては実際の血中濃度よりも低い値が算出されることがある。そのため抗凝固剤にはヘパリン以外のものを使用する。
成績優秀者ではなくとも就活は有利にできる!