★成績優秀者限定の就活|薬学生プレミア
問1 上室性頻脈性不整脈の原因として正しいものはどれか。
① 房室ブロック
② 心房細動
③ QT延長症候群
正解は②でした!
【解説】
不整脈とは、刺激の形成異常や伝導障害により心臓の拍動に異常が生じている状態です。心拍数の正常範囲は60~100回/分で、60回/分以下を徐脈、100回/分以上を頻脈といいます。
①房室ブロックや洞房ブロックのように~ブロックとくれば、徐脈性不整脈です。一方、頻脈性不整脈は期外収縮や頻拍、粗動などであり、上室性(心房性)と心室性の2つに分けられます。上室性頻脈性不整脈は②心房細動(心房の痙攣)や心房粗動などの心房に関連し、心室性頻脈性不整脈は心室性期外収縮や③QT延長症候群など心室に関連があります。
③QT延長症候群とは心収縮後の再分極の遅延、つまり心電図上のQT時間(心室の興奮持続時間)が延長している疾患です。心室に異常があると考えられるため心室性頻脈性不整脈に分類できます。
問2 リエントリー機序で発症する疾患はどれか。
① 心房粗動
② 房室ブロック
③ 洞性徐脈
正解は①でした!
【解説】
リエントリーとは、心筋内に生じた異常な興奮の旋回によって持続的に頻脈を生じる現象です。②房室ブロックや③洞性徐脈などの徐脈性不整脈はリエントリーでは生じません。
問3 次のうちP波が消失している疾患はどれか。
① WPW(Wolff-Parkinson-White)症候群
② 上室性期外収縮
③ 心房細動
正解は③でした!
【解説】
不整脈の診断は心電図上で行い、一般に心房性不整脈ではP波に、心室性不整脈ではQRS波に異常が出現します。③心房細動とは、心房が無秩序に細かく震える不整脈のことです。心房が無秩序に興奮するためP波(心房収縮を示す)は消失しており、f波(細動波)と呼ばれる細かい波が不規則に出現します。R-R間隔も不規則となり、脈は絶対的不整脈(脈が全く不規則な状態)を呈します。
①WPW症候群とは、早期心室興奮症候群とも言われ、先天的にKent束と呼ばれる副伝導路をもっています。心電図では、R波(心室収縮)の立ち上がりにδ波(早期興奮波)と呼ばれる特殊な波形が出現します。
②上室性期外収縮では、正常よりも早い異型性P波が出現します。
問4 徐脈性不整脈に用いられる抗不整脈薬はどれか。
① イソプレナリン
② ベラパミル
③ ジギタリス製剤
正解は①でした!
【解説】
抗不整脈薬はVaughan Williams(ボーン・ウィリアムス)分類によりⅠ~Ⅳ群に分類されます。臨床では新しい分類としてSicilian Gambit(シシリアン・ギャビット)分類もよく用いられています。
①イソプレナリンはβ刺激薬であり、心臓のβ1受容体を刺激して心収縮力を上昇(陽性変力作用)したり心拍数を増加(陽性変時作用)させる働きがあるため、ブロックなどの徐脈性不整脈に有効です。他には、抗コリン薬のアトロピンも用いられています。②ベラパミルなどのⅣ群の抗不整脈薬や③ジギタリス製剤は、上室性頻脈性不整脈には有効ですが、徐脈性不整脈に投与すると症状を増悪させる恐れがあります。
問5 心室性不整脈にのみ適応がある抗不整脈薬はどれか。
① キニジン
② メキシレチン
③ フレカイニド
正解は②でした!
【解説】
Vaughan Williams(ボーン・ウィリアムス)分類のⅠb群の抗不整脈薬である②メキシレチンは、心室性不整脈のみに適応をもちます。
②メキシレチンはⅠb群に属し、Na+チャネルを遮断、K+チャネルを開口します。
- Na+チャネル遮断→第0相(立ち上がり)、プラトー相のNa+チャネル遮断
- K+チャネル開口→第3相(再分極相)が早まる
これより不応期(≒活動電位持続時間)が短縮し、プラトー相が長い心室側に強く作用します。Ⅰb群は一般的に心室性不整脈に適応となります。(不応期とQT間隔、活動電位持続時間は比例関係にあるため、ここでは≒として考えています。)
①キニジンはⅠa群、③フレカイニドはⅠc群であるので、上室性と心室性のいずれにも適応です。
問6 心電図上QT間隔の延長を誘発する恐れのある抗不整脈薬はどれか。
① アミオダロン
② プロプラノロール
③ ベラパミル
正解は①でした!
【解説】
①アミオダロンはVaughan Williams(ボーン・ウィリアムス)分類のⅢ群に属します。K+チャネルの遮断→心筋の第3相(再分極相)の抑制→不応期の延長に作用し、QT間隔(心室の興奮持続時間)を延長させる恐れがあると考えられます。QT間隔が延長すると、トルサドポアンという特徴的な多型性心室頻拍が出現し、心室細動を起こして失神や突然死の原因なりうるため危険です。
アミオダロンはK+チャネルだけでなく、Na+チャネル・Ca2+チャネル・β受容体もマルチに遮断します。Ⅰ群・Ⅲ群の薬物は、時間関係全てK+チャネル閉口 (遮断)で延長、開口で短縮となります。
②プロプラノロールはⅡ群の抗不整脈薬で、心臓のβ1受容体を遮断し、心収縮力を抑制(陰性変力作用)、心拍数を減少(陰性変時作用)させる作用があります。作用は緩和ですが、催不整脈が弱く使いやすい薬剤です。プロプラノロールは気管支のβ2受容体も遮断し気管支が収縮してしまうので、気管支喘息患者には禁忌となるため注意が必要です。
③ベラパミルはⅣ群に分類され、Ca2+チャネルを遮断→洞房結節などの活動電位の0相(立ち上がり)を抑制→不応期の延長 に作用します。Ⅳ群は洞房結節や房室結節などに働くため、上室性(心房性)不整脈に適応…と繋げて覚えましょう。①と同じく不応期は延長させても、これは上室(心房)への働きによるものなのでQT間隔の延長には関与しないと考えられます。
問7 不整脈に対する薬物治療において、第一選択薬として使用可能なものはどれか。
① キニジン
② ジソピラミド
③ ピルシカイニド
正解は①でした!
【解説】
①キニジンはⅠa群であり、Na+チャネルとK+チャネルを遮断します。
- Na+チャネル遮断→心筋の活動電位の第0相(立ち上がり)の抑制、
- K+チャネルを遮断→第3相(再分極相)の抑制
これより不応期(≒活動電位持続時間)を延長し、上室性、心室性のいずれにも適応となります。
②ジソピラミドはキニジンと同じくⅠa群に属しますが、抗コリン作用が強く前立腺肥大症や緑内障の患者には禁忌となります。③ピルシカイニドはⅠc群であり、Na+チャネルを遮断しますが、不応期は不変です。③ピルシカイニドなどのⅠc群や②ジソピラミドは、頻脈性不整脈で他の薬が使用できないか又は無効の場合のみ使用可能とされています。
また、Ⅲ群全般も他剤が使用できない又は無効の場合のみ使用可能とされています。
問8 心不全の患者の病態・検査値の異常として正しいのはどれか。
① 交感神経が抑制されている。
② リモデリングを生じている。
③ 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が低値を示す。
正解は②でした!
【解説】
心不全とは、心仕事量(需要)の増大と心収縮力(供給)の低下によって引き起こされる疾患です。身体への血液供給量不足を改善するための様々な代償機構が働いていない急性心不全と、病態が長期に渡ることで代償機構が働いている慢性心不全に分類できます。(代償とは、生理的に欠けたものを補う働きです。)
①心不全により心拍出量が低下すると血圧が低下し、交感神経は賦活化(活性化)します。
②リモデリング(心筋肥大)とは、長期に及ぶ心負荷への代償として心筋の繊維構造がより負荷に耐え得るよう変化することです。これにはRRA系(レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系)において働くアンギオテンシンⅡによる影響が大きく、心不全では心拍出量の低下によりRRA系が亢進するため、リモデリングが生じます。
③脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)とは、これらの代償機構により心室から分泌される血管拡張因子であり、心不全では高値を示します。
問9 左心不全に見られやすい症状はどれか。
① 心タンポナーデ
② チアノーゼ
③ 頸静脈怒張
正解は②でした!
【解説】
左心不全では全身への血液の供給が障害されるため、左心の手前の肺静脈がうっ血し、起坐呼吸、②チアノーゼ、肺水腫などの症状が見られます。(心不全では、寝た状態より起き上がった状態の方が呼吸が楽なため、起座位で呼吸をします。)
一方、右心不全では肺への血液供給が障害されるため、右心の手前の大静脈がうっ血し、③頸静脈怒張、肝肥大、浮腫などが生じます。(怒張とは、血管が膨れ上がっている状態です。)ほとんどの場合は左心不全から生じ、全身への血流低下により代償機構としてRAA系が亢進しやすく、更なる心不全の悪化の原因となります。
また、①心タンポナーデ(心膜液の貯留による心臓の拍出障害)や大動脈解離は緊急性を要する疾患であり、急性心不全の原因となります。
問10 次のうち、主に前負荷を増大させるのはどれか。
① 静脈還流量の増加
② 高血圧
③ 心筋梗塞
正解は①でした!
【解説】
前負荷とは1回に拍出される血液量によって心筋に加わる負荷量であり、心室容積(拡張末期容積)に相当します。後負荷とは心臓の収縮時に心筋に加わる負荷量をあらわします。③心筋梗塞は急性心不全の1つであり、前負荷・後負荷ともに急激に低下します。(静脈還流量とは、全身から静脈に再び流れて戻ってきた血液量のことを示します。)
問11 ジギタリス製剤の薬理作用として誤っているものはどれか。
① 心収縮力増大作用
② 心拍数増加作用
③ 催吐作用
正解は②でした!
【解説】
①正。ジギタリス製剤は、心筋のNa+,K+-ATPaseを阻害することで細胞内のNa+濃度を上昇(K+濃度は低下)させ、Na+,Ca2+交換系を抑制して細胞内のCa2+濃度を上昇させることで心収縮力を増大させる働きがあります。(=陽性変力作用)
②誤。ジギタリス製剤は、迷走神経刺激作用と房室伝導抑制作用を有しているため、心拍数を減少させる働きがあります。(=陰性変時作用)
③正。ジギタリス製剤は、延髄CTZ(化学受容器引金帯)の刺激による催吐作用があります。
他、選択肢以外にもジギタリス製剤は、房室結節の伝導速度を遅延することによる刺激伝導系抑制作用(=陰性変動作用)や、強心作用による二次的な利尿作用があります。
問12 併用によりジゴキシンの作用を増強する薬剤はどれか。
① シナカルセト
② フロセミド
③ スピロノラクトン
正解は②でした!
【解説】
ジゴキシンは、心筋のNa+,K+-ATPaseを阻害することで細胞内のNa+濃度を上昇(K+濃度は低下)させ、Na+,Ca2+交換系を抑制して細胞内のCa2+濃度を上昇させることで心収縮力を増大させる働きがあります。低カリウム血症によりジゴキシンの作用は減弱し、高カルシウム血症によりジゴキシンの作用は増強します。
①シナカルセトは、副甲状腺ホルモン(パラトルモン、PTH)分泌抑制剤です。パラトルモン(PTH)は破骨細胞を活性化させ、血中のCa2+濃度を上昇させる働きがあるため、この分泌を抑制するシナカルセトは血中のCa2+濃度を低下させジゴキシンの作用を増強すると考えられます。
②フロセミドはループ利尿薬であり、ヘンレループのNa+-K+-2Cl-共輸送系を抑制してNa+とK+とCl-の再吸収を抑制するため、血中K+濃度は低下させます。よって、フロセミドとの併用でジゴキシンの作用は増強します。
③スピロノラクトンは抗アルドステロン薬です。遠位尿細管や集合管においてアルドステロンと拮抗してNa+-K+交換系を抑制し、Na+の再吸収とK+の排泄を抑制して血中K+濃度を上昇させ、ジゴキシンの作用を減弱させると考えられます。
問13 アデニル酸シクラーゼを直接活性化して心筋細胞内のcAMPを増加させる心不全の治療薬はどれか。
① コルホルシンダロパート
② ピモベンダン
③ ミルリノン
正解は①でした!
【解説】
①コルホルシンダロパートは、アデニル酸シクラーゼ(AC)を直接活性化し、細胞内cAMP濃度を上昇させて心筋の収縮力を増大させます。
②ピモベンダンはPDEⅢ阻害作用によりcAMP濃度を上昇させ、かつトロポニンのCa2+に対する感受性を上昇させ、心筋細胞の収縮力を回復させる作用も有します。
③ミルリノンは、ホスホジエステラーゼ(PDE)Ⅲを阻害して心筋細胞内のcAMPを増加させ、心収縮力を増大させます。(PDEⅢとは、心筋や血管平滑筋に多く存在しているcAMP分解酵素です。)
他、PDEを阻害するアミノフィリン(キサンチン誘導体)、心臓のβ1受容体を刺激するドブタミン、デノパミンなども心不全の治療薬として用いられています。
問14 慢性心不全の予後を悪化させる薬剤はどれか。
① カルペリチド
② カルベジロール
③ ニフェジピン
正解は③でした!
【解説】
③ニフェジピンは、短時間型のCa2+チャネル遮断薬であり、狭心症などに適応があります。短時間に血圧が大きく変動するので反射性頻脈を誘発する恐れがあり、慢性心不全の予後を悪化させると懸念されています。
①カルペリチドは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)製剤です。膜結合型グアニル酸シクラーゼ(GC)を活性化してcGMP濃度を上昇させ、血管拡張と利尿を促進させることにより前負荷・後負荷を軽減させ、予後を改善します。
②カルベジロールは、αβ受容体遮断薬であり、α遮断により血管を拡張(後負荷軽減)し、β遮断により心負荷を軽減します。カルベジロールは慢性心不全の予後を改善しますが、過剰な心負荷軽減を避けるために投与は少量から開始します。
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