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問1 急性腎不全の分類のうち、薬剤が原因で腎臓自体が障害され腎機能が低下した状態として正しいものを次の中から1つ選べ。
① 腎前性腎不全
② 腎実性腎不全
③ 腎後性腎不全
正解は②でした!
【解説】
①誤。 ショックや脱水などにより腎血流量が急激に低下し腎機能が低下する状態を腎前性腎不全と分類する。
②正。 腎臓自体に障害が起こり、腎機能が低下した状態を腎実性腎不全と分類する。シクロスポリンやNSAIDs、アミノグリコシド系抗菌薬による急性尿細管壊死による腎障害が例として挙げられる。
③誤。 腎臓自体の機能は正常であるが、尿路に異常が起こることで尿が鬱滞して排泄されなくなることで腎機能が低下する状態を腎後性腎不全と分類する。尿路結石症や前立腺肥大症などが原因で起こることが多い。
問2 急性腎障害の症状として、正しいものを次の中から1つ選べ。
① 尿量は減る。
② 低カリウム血症となる。
③ 代謝性アルカローシスとなる。
正解は①でした!
【解説】
①正。 腎機能が低下しているため尿が産生されなくなる。乏尿や無尿になることがあり、尿毒症症状が出る。体液量が増えることで血圧の上昇、浮腫などを伴う。
②誤。 腎臓から通常排泄されるはずのカリウムが排泄されなくなるため、血清カリウム値は上昇し、高カリウム血症となる。
③誤。 腎臓からのプロトンの排泄が低下するため、血清プロトン濃度が上昇する。結果として代謝性アシドーシスを呈する。
問3 急性腎不全の治療として正しい組合せを次の中から1つ選べ。
① 腎前性 - 降圧薬の投与
② 腎実性 - 腎保護としてARB薬(アンジオテンシン受容体阻害薬)の投与
③ 腎後性 - 尿管カテーテルの挿入
正解は③でした!
【解説】
①誤。 腎前性腎不全では通常ショック状態や脱水を呈しているため血圧・腎血流量は低い状態にある。降圧薬を投与するとさらに血圧・腎血流量の低下をきたす。通常は昇圧薬を投与する。
②誤。 腎実性腎不全では、原因となっている薬剤の中止と体内の水・電解質・酸塩基平衡の管理が行われる。薬物の投与がさらなる腎機能の低下を誘発しかねないため通常はARB薬の投与を行わない。
③正。 腎臓から尿道口までの尿路に原因があり尿が排泄されなくなる状態が腎後性腎不全である。尿管カテーテルにより尿の排泄を促進すると腎後性腎不全は改善する。
問4 急性腎障害の治療に用いられる薬剤のうち誤っているものを次の中から1つ選べ。
① スピロノラクトン
② 炭酸水素ナトリウム
③ ファモチジン
正解は①でした!
【解説】
①誤。 スピロノラクトンは急性腎障害には用いられない。血清カリウムの上昇を誘発し、高カリウム血症となることがあるためである。浮腫や体液貯留に対してはフロセミドなどの利尿剤が用いられる。
②正。 炭酸水素ナトリウムは代謝性アシドーシスの是正に用いられる。
③正。 続発するストレスによる胃酸分泌過多からの消化管出血の治療・予防としてファモチジンが用いられることがある。
問5 慢性腎臓病の病期分類におけるeGFR区分において、eGFR=45mL/min/1.73㎡の状態での病期として正しいものを次の中から1つ選べ。
① G2
② G3a
③ G3b
正解は②でした!
【解説】
CKD診療ガイド2012による分類が2019年現在のところ用いられている。
eGFR区分で45mL/min/1.73㎡は図よりG3aである事がわかる。
図は「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」から引用
問6 慢性腎不全の症状・所見について、誤っている記述を次の中から1つ選べ。
① 血圧上昇
② 高カリウム血症
③ 高カルシウム血症
正解は③でした!
【解説】
①正。 糸球体濾過が低下し、尿量が少なくなる事で体液量が増加するため血圧は上昇する。
②正。 腎機能の低下に伴いカリウム排泄が遅延するため血清カリウム値は高まる。
③誤。 リンの排泄遅延から高リン血症を引き起こす。リンとカルシウムが結合、リン酸カルシウムの組織における析出(血管石灰化)が起こるためカルシウムが消費されて低カルシウム血症となる。また腎臓でのビタミンDの活性化能が低下し、カルシウムの消化管からの吸収が低下する事で低カルシウム血症を引き起こす。
問7 慢性腎不全の合併症状・所見について正しいものを次の中から1つ選べ。
① 低アルブミン血症
② 高張尿
③ 悪性貧血
正解は①でした!
【解説】
①正。 慢性腎不全では糸球体から大分子の透過性が更新し、通常では濾過されないアルブミンが糸球体基底膜を透過し尿中に排泄される。血清のアルブミンが低下するため低アルブミン血症となる。
②誤。 慢性腎不全ではヘンレ系蹄が障害され尿濃縮能・尿希釈能が低下するため尿は等張となる。
③誤。 慢性腎不全では腎臓からのエリスロポエチンの分泌が低下するため赤血球の産生が低下する。腎性貧血を引き起こす。悪性貧血は、胃粘膜の萎縮により、内因子の分泌不全によりビタミンB12が吸収されなくなることで起こる貧血である。胃を摘出した際にも同様の症状が見られる事がある。
問8 慢性腎臓病の診断・検査について有用とされるものではないものを次の中から1つ選べ。
① 血清クレアチニン値
② 血清β2-ミクログロブリン値
③ eGFR値
正解は②でした!
【解説】
①正。 血清クレアチニン値は慢性腎臓病の診断に有用である。腎機能の低下に伴いクレアチニンが腎臓から排泄されなくなり血清クレアチニンは上昇する。
②誤。 「尿中」β2-ミクログロブリン値の誤りである。腎機能の低下に伴いβ2-ミクログロブリンが糸球体を通過し尿中に排泄されるため尿中β2-ミクログロブリン値は上昇する。
③正。 糸球体濾過能であるeGFRは慢性腎臓病の診断には有用である。CKD診療ガイドではeGFRを用いて慢性腎臓病の病期を決定している。
問9 慢性腎不全の治療で用いられる薬剤とその特徴について誤っている組み合わせを次の中から1つ選べ。
① フロセミド - 浮腫の軽減
② アロプリノール - 高尿酸血症の治療
③ 球形吸着炭 - 高リン酸血症の治療
正解は③でした!
【解説】
①正。 正しい組み合わせである。慢性腎不全では体液が貯留するため浮腫を呈する事がしばしば見られる。過剰な体液を排泄するためにループ利尿薬のフロセミドが用いられる。なお高カリウム血症の懸念からカリウム保持性利尿薬は用いない。サイアザイド系利尿薬(単剤)は利尿効果が弱く、慢性腎不全には有効ではない事が多いがループ利尿薬による利尿ブレーキを解消する目的でループ利尿薬に併用されることはある。
サイアザイド系利尿薬が無効とされる理由:糸球体で濾過されてくるNa+を100%とすると、近位尿細管でその60%、ヘンレ係蹄で30%、が再吸収されており、サイアザイド系利尿薬の標的である遠位尿細管では7%が再吸収されている。進行した腎不全(GFR<30)においては、濾過されてくるNa+がすでに30%に減少しているため、その7%を阻害しても利尿効果として2.1%にしか達しないためである。
②正。 正しい組み合わせである。慢性腎不全では尿酸の尿中排泄が遅延し、高尿酸血症となる。高尿酸血症を改善させるためにアロプリノールが用いられる。
③誤。 誤った組み合わせである。球形吸着炭は体内で産生された尿毒症性毒素、およびその代謝物を吸着して排泄するための治療薬であり、高リン酸血症の改善薬ではない。高リン酸血症治療薬には炭酸ランタンや沈降炭酸カルシウム、セベラマーが用いられる。
問10 慢性腎不全の合併症に用いられる薬剤とその効果・効能のうち誤っている組み合わせを次の中から1つ選べ。
① シナカルセト - 高パラトルモン血症
② ポリスチレンスルホン酸ナトリウム - 高リン酸血症
③ エリスロポエチン - 腎性貧血
正解は②でした!
【解説】
①正。 正しい組み合わせである。シナカルセトは二次性副甲状腺機能亢進症治療薬であり高パラトルモン血症に付随するカルシウム低下、リンの増加を改善する。
②誤。 誤った組み合わせである。ポリスチレンスルホン酸ナトリウムはイオン交換樹脂であり消化管でK+を吸着し吸収を抑制することで高カリウム血症の治療に用いられる。
③正。 正しい組み合わせである。慢性腎不全ではエリスロポエチンの分泌が低下し、腎性貧血を呈する。エリスロポエチンを補うことで赤血球の産生を促進し腎性貧血を改善させる。
問11 透析膜(AN69)と併用するとショックを起こす事があるため併用禁忌に指定されている薬剤を次の中から1つ選べ。
① ニフェジピン
② プラバスタチン
③ エナラプリル
正解は③でした!
【解説】
AN 69:アクリロニトリルメタスルホン酸ナトリウム膜とACE阻害薬を併用するとショックを起こす事がある(機序不明)ため、この透析膜を用いている患者にはACE阻害薬(例えばエナラプリル)は禁忌である。
問12 ネフローゼ症候群の診断基準のうち必須事項でない項目はどれか。次の中から1つ選べ。
① 高度タンパク尿
② 浮腫
③ 低タンパク血症
正解は②でした!
【解説】
①誤。 高度タンパク尿はネフローゼ症候群の診断基準の必須事項である。3.5g/日以上で高度タンパク尿となる。
②正。 低タンパク血症により血漿膠質浸透圧低下により血管外へ水分が移動する。細胞内に水分が貯留し浮腫となる。結果的に起こる現象であり診断基準の必須事項とはなっていない。
③誤。 低タンパク血症(血清総タンパク:6.0g/dL以下、血清アルブミン:3.0g/dL以下)はネフローゼ症候群の診断基準の必須項目である。
問13 ネフローゼ症候群の分類とその説明のうち適切な組み合わせはどれか。次の中から1つ選べ。
① 微小変化型 - 小児のネフローゼ症候群に多く、ステロイドが奏功しにくい。
② 膜性腎症 - 成人のネフローゼ症候群に多く、糸球体基底膜への免疫複合体沈着が認められる。
③ 巣状分節糸球体硬化症 - 腎組織の一部に巣状に結節状所見が見られる。ステロイドの治療が奏功し、予後は良好である。
正解は②でした!
【解説】
①誤。 微小変化型は小児ネフローゼ症候群の8割程度を占める。約9割がステロイド反応性であり予後は良好である事が多い。ただしステロイドの減量で7割程度が再発する。
②正。 記述の通り。免疫複合体が関与する。
③誤。 巣状分節糸球体硬化症は治療抵抗性を示す例が多い。半数近くは透析を必要とする。
問14 ネフローゼ症候群の治療のうち誤っているものを次の中から1つ選べ。
① 安静
② 食事療法
③ 運動療法
正解は③でした!
【解説】
①正。 安静が第一の治療である。
②正。 食事療法として、塩分制限や低タンパク食といった制限食の摂取を行う。
③誤。 ネフローゼ症候群では安静にする事が第一であり運動してはならない。
問15 ネフローゼ症候群の薬物治療において、使用される薬剤として誤っているものを次の中から1つ選べ。
① フェノフィブラート
② ジピリダモール
③ シクロホスファミド
正解は①でした!
【解説】
①誤。 フェノフィブラートはネフローゼ症候群には用いられない。ネフローゼ症候群では、高タンパク尿・低アルブミン血症から、肝臓でのアルブミン合成が亢進する。アルブミン合成亢進の副反応としてリポタンパク質の合成が亢進する。結果的にLDLコレステロールが増加する。そのためスタチン系の薬剤が用いられる。
高トリグリセリド血症になるわけではないためフェノフィブラートは用いない。
②正。 ジピリダモールはネフローゼ症候群に用いられる。ジピリダモールは通常、抗血小板薬として用いられるが、高用量ではタンパク尿減少作用がある。この作用を利用して治療が行われる。
③正。 シクロホスファミドはネフローゼ症候群に用いられる事がある。ステロイド抵抗性のネフローゼ症候群に対して、強力に免疫を抑制するシクロホスファミドが用いられる。
問16 急性糸球体腎炎についての記述のうち正しいものを次の中から1つ選べ。
① 原因は大腸菌である事が多い。
② 上気道感染の2〜3週間後に続発する。
③ 好発年齢は20代の成人である。
正解は②でした!
【解説】
①誤。 原因はA群β溶血性連鎖球菌である。
②正。 A群β溶血性連鎖球菌感染後2〜3週間後に感冒症状を伴って発症する。
③誤。 好発年齢は小児である。
問17 急性糸球体腎炎の特徴についての記述のうち誤っているものを次の中から1つ選べ。
① 血尿・浮腫・高血圧が三主徴である。
② 血中ASO値やASK値の上昇が見られる。
③ 薬物治療は必須であり利尿剤や降圧薬が用いられる
正解は③でした!
【解説】
①正。 記述の通り。
②正。 記述の通り。ASOやASKはA群溶血性連鎖球菌の菌体成分であるstreptolysin-Oやstreptokinaseに対する抗体である。
③誤。 安静、塩分・タンパク制限により自然治癒する事が多く薬物治療を行わなくても良い場合が多い。
問18 糖尿病性腎症についての記述のうち正しいものを次の中から1つ選べ。
① 慢性維持透析の原因疾患の第1位である。
② 微量アルブミン尿は病期が進行した場合に認められる。
③ 糖尿病と診断されてまもなく腎症を発症する。
正解は①でした!
【解説】
①正。 我が国の慢性維持透析の原因疾患としては糖尿病性腎症が最も多い。慢性糸球体腎症、腎硬化症が糖尿病性腎症に続く。
出典:日本透析医学会「図説 わが国の慢性透析療法の現況 2015年12月31日現在」
②誤。 微量アルブミン尿は糖尿病性腎症の早期より発現する。
③誤。 糖尿病性腎症は糖尿病の経過中5〜10年後に、尿蛋白、浮腫、高血圧を伴う事で診断される事が多い。
問19 尿路感染症についての記述のうち正しいものを次の中から1つ選べ。
① 原因は黄色ブドウ球菌や肺炎球菌である事が多い。
② 腎盂腎炎を発症した場合は、高熱・腰痛・倦怠感などが現れる。
③ 治療にはアミノグリコシド系抗菌薬が用いられる事が多い。
正解は②でした!
【解説】
①誤。 尿路感染症の起炎菌のほとんどが大腸菌である。複雑性尿路感染症の場合は大腸菌のほか、クレブシエラやエンテロバクター、緑膿菌なども起炎菌となる。逆に黄色ブドウ球菌や肺炎球菌は尿路感染症の起炎菌となりうることはほとんどない。
②正。 単純膀胱炎では、排尿時痛や頻尿・残尿感がみられ、発熱することはあまり無いが、腎盂まで細菌感染が及ぶと高熱や腰痛が出現する。
③誤。 多くが大腸菌感染であるため、大腸菌に感受性の高いペニシリン系やセフェム系の抗菌薬が用いられる事が多い。ペニシリン系やセフェム系は尿路への移行性が高いことも使用される理由の一つである。腎盂腎炎など重症の場合にはニューキノロン系抗菌薬が用いられることもある。アミノグリコシド系抗菌薬は腎障害を起こす事があり、起炎菌がアミノグリコシド系抗菌薬でなければ対応できない場合を除くとほとんど用いられることは無い。
問20 尿路結石についての記述のうち正しいものを次の中から1つ選べ。
① 膀胱や尿道に発生する結石の方が腎臓や尿管に発生する結石よりも頻度が高い。
② 頻度の高い結石の種類としては尿酸結石が挙げられる。
③ シュウ酸カルシウム結石はX線検査で視覚的に確認する事ができる。
正解は②でした!
【解説】
①誤。 膀胱や尿道に発生する結石を下部尿路結石、腎臓や尿管に発生する結石を上部尿路結石というが頻度としては上部尿路結石の方が多い。
②正。 尿路結石としては、シュウ酸カルシウム結石、リン酸マグネシウムアンモニウム結石、尿酸結石、シスチン結石などがあるが、その中でも頻度の高いものはシュウ酸カルシウム結石であり尿路結石の中でも80%程度を占める。
③誤。 シュウ酸カルシウム結石では金属(Ca)を含むためX線は透過せず画像として白く映るため視覚的に確認する事ができる。尿酸結石などは金属を含まないためX線を透過し視覚的に確認することはできない。
問21 尿路結石の治療についての記述のうち正しいものを次の中から1つ選べ。
① 尿路結石の疼痛緩和にはインドメタシン、ブチルスコポラミン、ペンタゾシン、オキシコンチンなどが用いられる。
② 結石の大きさが比較的小さければ自然落石を待つ。
③ 外科的治療を行う場合は全身麻酔下で開腹して直接結石を取り出す治療が多い。
正解は②でした!
【解説】
①誤。 尿路結石の疼痛緩和にオピオイド鎮痛薬であるオキシコンチンを用いることは保険適応上できない。インドメタシンなどのNSAIDsやブチルスコポラミンなどの鎮痙薬で対応する事が多い。
②正。 比較的小さな結石の場合は、自然落石を待つ保存的治療が行われる。水分負荷により尿量を増やし落石・排泄を促進する。
③誤。 大きな結石で自然落石が困難な場合は、比較的侵襲性の低い経尿道的腎尿管結石破砕術(TUL)や体外衝撃波結石破砕術(ESWL)が行われる事が多い。侵襲性の高い開腹手術は少なくなってきている。
問22 ループス腎炎についての記述のうち誤っているものを次の中から1つ選べ。
① 全身性エリテマトーデスの患者の50%に合併が見られる。
② 治療にはプレドニゾロンの大量パルス投与が行われる事がある。
③ ステロイド抵抗性のループス腎炎では他の薬物治療が行われることはなく透析治療あるいは腎移植が行われる。
正解は③でした!
【解説】
①正。 記述の通りである。ループス腎炎の原因は完全に解明されているわけでではないが自己免疫が関与している事がわかっている。
②正。 記述の通りである。1日40〜60mgのプレドニゾロン大量パルス投与が行われる事がある。
③誤。 ステロイド抵抗性の場合、まずはステロイドに免疫抑制薬が併用される。全ての薬剤に対して抵抗性を示した場合は透析治療や腎移植が行われる。
成績優秀者ではなくとも就活は有利にできる!