生物系薬学

生物:遺伝子と転写・翻訳(20問)

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問1 ヒトの染色体に関する記述のうち、正しいものはどれか。

①22対の染色体から構成されている。

②末端部分をセントロメアと呼ぶ。

③男性はX、Yの性染色体をもつ。

正解は③でした!

【解説】

①ヒトの体細胞には、23対(46本)の染色体が含まれ、そのうち22対(44本)は常染色体、1対(2本)は性染色体である。

②染色体の末端部分は、テロメアと呼ばれる。セントロメアは、染色体の中心部寄りの狭窄した部分を指す。

③ヒトの性染色体には、X染色体とY染色体の2種類が存在する。男性はX染色体とY染色体の2種類(XY)、女性はX染色体のみ(XX)を有する。

 

問2 がん抑制遺伝子は次うちどれか。

①ras

②abl

③p53

正解は③でした!

【解説】

rasとablは、がん原遺伝子が変異したがん遺伝子である。特にras遺伝子はヒトのがんで高頻度に検出される。

p53遺伝子の産物は、DNA損傷を感知し、細胞周期をGで停止させてDNA修復を行う。また、修復が困難な場合にはアポトーシスを誘導する。

 

問3 ヒトの体細胞1個に含まれている染色体の数はいくつか。

①23本

②46本

③69本

正解は②でした!

【解説】

ヒトの体細胞には、23対(46本)の染色体が含まれ、そのうち22対(44本)は常染色体、1対(2本)は性染色体である。

 

問4 染色体の構造に関する記述のうち、正しいのはどれか。

①コアヒストンは、H1、H2A、H2B、H3を2分子ずつ含む8量体である。

②ヘテロクロマチンでは、転写が活発に行われている。

③テロメアは染色体の分解を防ぐ。

正解は③でした!

【解説】

①コアヒストンは、H2A、H2B、H3、H4を2分子ずつ含むヒストン8量体である。H1はリンカーDNAに結合している。

②ヘテロクロマチンでは、転写は抑制されている。転写が活発に行われているのはユーロクロマチンである。

③染色体は、染色体の中心部にあり、紡錘糸の結合部位であるセントロメアと染色体の両末端にあり染色体の保護に働いているテロメアがある。

 

問5 DNAの複製の際に超らせん構造を解消する酵素はどれか。

①DNAトポイソメラーゼ

②DNAリガーゼ

③DNAフォトリアーゼ

正解は①でした!

【解説】

DNAの複製の進行部分はDNAヘリカーゼによって二本鎖が巻き戻されているが、その際DNAの巻き戻しがされていない部分に歪みが生じ、超らせん構造が形成される。

この超らせん構造は複製を障害する場合があるが、その際はDNAトポイソメラーゼが解消にあたる。

 




問6 DNAの複製に関する記述のうち、正しいものはどれか。

①DANの複製は、複製開始点から一方向に進む。

②真核細胞の複製開始点は一つである。

③DNAポリメラーゼによる複製反応には、プライマーが必要である。

正解は③でした!

【解説】

①DNAの複製は、複製開始点から両方向に進む。

②真核細胞には複数の複製開始点がある。

③DNAポリメラーゼは、プライマーに続いて、DNA鎖を伸長させるので、DNAポリメラーゼによる複製反応にはプライマーが必要である。

 

問7 岡崎フラグメント同士を結合する酵素はどれか。

①DNAヘリカーゼ

②DNAリガーゼ

③DNAポリメラーゼ

正解は②でした!

【解説】

①DNAヘリカーゼは、複製を行う酵素の先頭にあり、二重らせん構造を巻き戻す酵素である。

②DNAリガーゼは、 DNAの複製の際に生じたDNA断片(岡崎フラグメント)の結合に関与する酵素である。

③DNAポリメラーゼは、DNAを合成する酵素である。DNAを鋳型にDNAを合成するDNA依存性DNAポリメラーゼや、RNAを鋳型にDNAを合成するRNA依存性DNAポリメラーゼなどがある。

 

問8 誤ったヌクレオチドを除去し、正しい相補的なヌクレオチドを付加するDNAポリメラーゼの機能はどれか。

①エンドヌクレアーゼ

②エキソヌクレアーゼ

③テロメラーゼ

正解は②でした!

【解説】

①エンドヌクレアーゼとは、塩基配列の内部で塩基を切断する酵素のこと。代表的なエンドヌクレアーゼに制限酵素がある。

②エキソヌクレアーゼとは、塩基配列の外側から塩基を切断する酵素のこと。DNAポリメラーゼにもエキソヌクレアーゼ活性があり、DNA複製中の誤ったヌクレオチドの除去を行う。

③テロメラーゼは、逆転写酵素の一種である。真核細胞の染色体末端(テロメア)の長さを維持する酵素である。

 

問9 塩基置換変異によりアミノ酸のコドンが終止コドンに変わる変異を何と呼ぶか。

①ミスセンス変異

②ナンセンス変異

③サイレント変異

正解は②でした!

【解説】

DNAの変異には、点突然変異がある。点突然変異には一塩基置換による変異や、ヌクレオチドの挿入や欠損による変異がある。

①ミスセンス変異は、塩基置換変異によりコードしているアミノ酸が変化するものである。

②ナンセンス変異は、アミノ酸のコドンが終止コドンに変化してしまい、タンパク質の合成が停止してしまう。

③サイレンス変異は、塩基置換が起こっても、対応するアミノ酸が変化しない。

 

問10 真核細胞におけるメッセンジャーRNA(mRNA)の開始コドンに対応するアミノ酸はどれか。

①L-トリプトファン

②L-メチオニン

③L-グルタミン酸

正解は②でした!

【解説】

真核細胞の翻訳において、アミノ酸はmRNA上の3つの戦記配列からなるコドンに対応する。64種類あるコドンのうち、開始コドンのAUGはL-メチオニンに対応する。

 




問11 翻訳過程において、リボソームへアミノ酸を運ぶ役割を担うRNAはどれか。

①rRNA(リボソームRNA)

②tRNA(トランスファーRNA)

③mRNA(メッセンジャーRNA)

正解は②でした!

【解説】

タンパク質への翻訳の際にmRNAの塩基配列(コドン)と相補的な塩基配列(アンチコドン)をもつtRNAによってアミノ酸がリボソームに運ばれる。

「トランスファー=運び屋」で覚えよう。

 

問12 転写反応を触媒する酵素はどれか。

①DNA依存性RNAポリメラーゼ

②RNA依存性DNAポリメラーゼ

③DNA依存性DNAポリメラーゼ

正解は①でした!

【解説】

転写はDNAを鋳型にしてRNAを合成することである。

そのため、転写反応を触媒する酵素はDNA依存性RNAポリメラーゼである。

また、選択肢②のRNA依存性DNAポリメラーゼはRNAを鋳型にしてDNAを合成する逆転写酵素である。

 

問13 真核細胞の核内においてtRNAを合成するRNAポリメラーゼはどれか。

①Ⅰ型

②Ⅱ型

③Ⅲ型

正解は③でした!

【解説】

①RNAポリメラーゼⅠ(Ⅰ型)はrRNAを合成する。

②RNAポリメラーゼⅡ(Ⅱ型)はhnRNA(mRNAの前駆体)を合成する。

③RNAポリメラーゼⅢ(Ⅲ型)はtRNAを合成する。

 

問14 真核細胞における転写開始領域のことをなんというか。

①プライマー

②プロモーター

③アクチベーター

正解は②でした!

【解説】

鋳型DNAの転写開始領域のことをプロモーターと呼ぶ。

このプロモーターにRNAポリメラーゼが結合することで、5’→3’方向にRNAが合成される。

 

問15 真核細胞におけるメッセンジャーRNA(mRNA)に関する記述のうち正しいものはどれか。

①5′末端のキャップ構造は、転写開始反応に関わる。

②3′末端のpolyAは、mRNAの安定化に関わる。

③スプライシングによりエキソンが除去される。

正解は②でした!

【解説】

①キャップ構造はmRNAの保護や翻訳の開始に関与している。

②polyAはmRNAの安定化や翻訳効率に関与している。

③スプライシンングによって除去されるのはイントロンである。

 




問16 真核細胞でのmRNAのプロセシングによる成熟過程において、イントロンの除去に関わるのはどれか。

①ヌクレオソーム

②プロテアソーム

③スプライソソーム

正解は③でした!

【解説】

スプライソソームは、スプライシングの際に転写されたhnRNAからイントロンを除去する。

スプライシングによりイントロンが除去され、エキソンが連結したmRANが生成する。

 

問17 翻訳に関わる遺伝暗号のうち、翻訳の開始に関与する開始コドンはどれか。

①UAA

②UAG

③AUG

正解は③でした!

【解説】

翻訳の開始に関与する開始コドンはAUGでありメチオニンを指定する。

UAGやUAAは終止コドンであり、特定のアミノ酸を指定しない。

 

問18 タンパク質の翻訳においてmRNAの塩基配列(コドン)によって指定されるアミノ酸をリボソームに運搬するものはどれか。

①rRNA

②tRNA

③hnRNA

正解は②でした!

【解説】

rRNAはタンパク質との複合体によりリボソームの形成に関与する。

また、hnRNAは真核細胞のプロセシングにおいて、スプライシングを受ける前のRNAである。

 

問19 次のコドンのうちアミノ酸を指定しないものはどれか。

①AUG

②UGG

③UGA

正解は③でした!

【解説】

AUGは開始コドンでありメチオニンを指定する。また、UGGはトリプトファンを指定するコドンである。

終止コドンであるUGA、UAG、UAAはアミノ酸を指定しないコドンである。

 

問20 転写反応を抑制する転写調節因子は次のうちどれか。

①アクチベーター

②リプレッサー

③サイレンサー

正解は②でした!

【解説】

アクチベーターは、RNAポリメラーゼのプロモーターへの結合を促進し、転写を促進する。

また、サイレンサーとはリプレッサーが結合するDNAの調節塩基配列のことである。

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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