病態・薬治

病態・薬治:血液系①-貧血・DIC(10問)

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問1 貧血の分類と原因の組み合わせが正しいものはどれか。

① 鉄欠乏性貧血 ― エリスロポエチンの低下

② 再生不良性貧血 ― 骨髄障害

③ 自己免疫性溶血性貧血 ― 葉酸の不足

正解は②でした!

【解説】

貧血とは、単位血液量当たりのヘモグロビン濃度(Hb)が減少している状態であり、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値のいずれかの低下をもって診断される。

※ヘマトクリットとは、全血液に対する赤血球の容積比(%)を示す。

 

②再生不良性貧血では、骨髄の造血幹細胞の障害により汎血球がいずれも減少する。よって②は正しい。

※汎血球とは、血液中の赤血球・白血球・血小板の全ての血中細胞成分を示す。

 

①鉄欠乏性貧血は、名前の通りヘモグロビンの構成物質である鉄の不足により生じる、ヘモグロビンの合成異常である。腎臓で産生されるエリスロポエチン(EPO)は赤血球の産生を調節しているため、腎不全ではEPOの低下により貧血を生じる。これを腎性貧血という。

 

③自己免疫性溶血性貧血とは、自己免疫異常により赤血球に対する抗体が産生されて溶血する、Ⅱ型アレルギー機序の貧血である。

葉酸やビタミンB12の欠乏によりDNA合成が阻害されて生じるのは巨赤芽球性貧血である。中でも、ビタミンB12不足により生じるものを特に悪性貧血ともいう。

 

問2 鉄欠乏性貧血に関する記述のうち、正しいものはどれか。

① 小球性低色素性貧血である

② 血清フェリチン値は増加する

③ 不飽和鉄結合能は減少する

正解は①でした!

【解説】

鉄欠乏性貧血とは、鉄欠乏に伴ってヘモグロビン合成が低下しておこる貧血である。

①小球性低色素性貧血とは、赤血球のヘモグロビン濃度が低下する(低色素性)ことにより赤血球容積が小さくなる(小球性)貧血を示す。よって①は正しい。

鉄は十二指腸上部で吸収された後、トランスフェリン(鉄を運搬するタンパク質)と結合して血清鉄となり、残りはタンパク質と結合して貯蔵鉄(フェリチン)となる。

鉄欠乏性貧血では②血清フェリチン値は低下する。

 

総鉄結合量(TIBC)はトランスフェリンの量を反映しており、不飽和鉄結合能(UIBC)はTIBC=血清鉄+UIBCと考えられる。

トランスフェリンをトラック、鉄を荷物としてイメージするとわかりやすい(トラックの総数(TIBC)=積載済みトラック(血清鉄)+空のトラック(UIBC))。

鉄欠乏性貧血では鉄が減少しているため血清鉄は減少し、運搬タンパクであるトランスフェリンの合成が亢進するため総鉄結合量(TIBC)と③不飽和鉄結合能(UIBC)は増加する。

 

問3 悪性貧血の原因として正しいものはどれか。

① 葉酸の欠乏

② ビタミンB6の欠乏

③ ビタミンB12の欠乏

正解は③でした!

【解説】

悪性貧血では、自己免疫機序に伴いDNAの合成に必要なビタミンB12の吸収が不足する。③が正しい。

ビタミンB12は、胃の壁細胞で産生される内因子と複合体を形成して小腸下部から吸収される。抗内因子抗体や抗壁細胞抗体が産生されると内因子が不足するためビタミンB12の吸収が不全となる。

 

悪性貧血は巨赤芽球性貧血の1つである。巨赤芽球性貧血とは、葉酸やビタミンB12の欠乏により赤芽球のDNA合成が阻害されて骨髄に巨赤芽球が現れる貧血であり、自己免疫機序の他に胃全摘の術後3~5年以降の場合にも認められる。

※赤芽球とは、骨髄中に存在する幼若な血液細胞であり、造血幹細胞から赤血球に至る分化途中段階の細胞である。また、赤芽球から細胞核が抜け落ちてすぐの若い赤血球を網状赤血球という。

 

問4 再生不良性貧血に関する記述のうち、正しいものはどれか。

① 網状赤血球が減少する

② 小球性低色素性貧血である

③ エリスロポエチンが減少する

正解は①でした!

【解説】

再生不良性貧血では、骨髄障害により造血幹細胞が減少し、汎血球の合成が減少する。赤血球の合成が低下するため、網状赤血球は減少する。よって①が正しい。

※汎血球とは、血液中の赤血球・白血球・血小板の全ての血中細胞成分を示す。

※網状赤血球は、赤芽球が脱殻したばかりの幼若な赤血球である。臨床的には骨髄中の赤血球の産生能を反映している。

 

再生不良性貧血は正球性正色素性貧血である。造血幹細胞の減少により赤血球合成は低下するが、合成した赤血球自体への影響はないため…と原因と関連付けて覚えるとよい。

血清鉄、貯蔵鉄、エリスロポエチンは増加する。

 

問5 溶血性貧血の特徴のうち最も適当なものを選べ。

① 網状赤血球が減少する

② 間接型ビリルビン値は上昇する

③ 小球性低色素性貧血である

正解は②でした!

【解説】

溶血性貧血は、何らかの要因で赤血球の破壊が亢進する貧血である。自己免疫性の場合は抗赤血球抗体によるⅡ型アレルギー機序で生じ、Coombs試験(クームス試験)陽性を示す。

※Coombs試験(クームス試験)では抗赤血球抗体の存在を調べる。

 

溶血により赤血球内の成分が血中に漏れ出るため、間接型ビリルビン値や血中AST、LDHは上昇する。よって②が正しい。

※ヘモグロビン→ヘム+グロビン、ヘム→ビリルビン+鉄 に分解される。

※間接型ビリルビンとは、血管内でビリルビンとアルブミンが結合したものである。間接型ビリルビンが肝臓内でグルクロン酸抱合を受けると直接型ビリルビンとなる。

 

①減少した赤血球数を増やそうと赤血球合成は亢進するため、網状赤血球数は増加する。

③赤血球の合成過程に異常は認められないため、正球性正色素性貧血を示す。

 




問6 再生不良性貧血の治療薬として用いられないものはどれか。

① メテノロン

② シクロスポリン

③ エポエチンアルファ

正解は③でした!

【解説】

③エポエチンアルファはエリスロポエチン製剤であり、慢性腎不全などの腎機能の低下によりエリスロポエチン(EPO)産生が低下して生じる腎性貧血に適用となる。よって③が正解。

 

再生不良性貧血には、タンパク同化ステロイドの①メテノロン、副腎皮質ステロイド、②シクロスポリンなどの免疫抑制剤、抗胸腺細胞グロブリンなどが用いられる。

 

エリスロポエチン製剤についてはこちらの記事で疾患解説・作用機序等を紹介している。

 

問7 シアノコバラミンが適用される貧血として最も適当なものはどれか。

① 自己免疫性溶血性貧血

② 巨赤芽球性貧血

③ 鉄芽球性貧血

正解は②でした!

【解説】

シアノコバラミンやメコバラミンはビタミンB12製剤であり、②巨赤芽球性貧血に用いられる。

①自己免疫性溶血性貧血の治療には、免疫異常を抑制するため副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬が用いられる。

③鉄芽球性貧血はヘムの合成異常により生じる貧血である。治療にはヘムの合成経路の補酵素であるピリドキシン(ビタミンB6)が適用される。

 

問8 播種性血管内凝固症候群(DIC)に関する文章として、誤っているものはどれか。

① 悪性腫瘍、急性白血病、敗血症を基礎疾患とする

② 症状は出血傾向であり末期では多臓器不全を引き起こすこともある

③ 出血時間のみを延長させ、APTT、PTは正常である

正解は③でした!

【解説】

播種性血管内凝固症候群(DIC)では、何らかの基礎疾患の下に持続性の凝固系の活性化が生じ、全身臓器の微小血管内に微小血栓が多発して臓器障害が引き起こされる。

また、凝固反応に続いて線溶系の活性化も生じるため、凝固因子や血小板が消費的に減少し、凝固障害や出血症状もきたす。DICの三大基礎疾患は、悪性腫瘍、白血病、敗血症であり、他生体侵襲がある場合にもDICを生じる。

DICでは出血傾向のみならず、内因系の血液凝固能を示すAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)も外因系の血液凝固能を示すPT(プロトロンビン時間)も延長させる。

 

誤っているものは③であり、出血時間、APTT、PT全てを延長させるに直すと正しい。

 

問9 播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療薬として最も適当なものはどれか。

① ナファモスタット

② ワルファリン

③ トラネキサム酸

正解は①でした!

【解説】

播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療では基礎疾患の治療を最優先とし、並行して抗凝固療法を行う。

抗凝固療法には、ヘパリン(アンチトロンビンⅢとの併用)や、低分子ヘパリンのダルテパリン、タンパク分解酵素阻害薬の①ナファモスタットやガベキサートなどが使われる。よって最も適当なものは①。

 

DICの本態は、血液凝固因子の異常活性化による全身性持続性の著しい凝固活性化である。

②ワルファリンはビタミンK依存性凝固因子の活性を低下させるが、活性化型凝固因子(トロンビン、活性型第X因子など)を直接阻害する訳ではないためDICの治療には用いられない。

また、DICにおける線溶系の活性化は微小血栓を溶解しようとする生体防御の側面もあるため、③トラネキサム酸等による抗線溶療法は原則禁忌とされる。

 

問10 播種性血管内凝固症候群(DIC)の検査異常として誤っているものはどれか。

① 血小板数の減少

② PT(プロトロンビン時間)の延長

③ FDP(フィブリン分解産物)の減少

正解は③でした!

【解説】

播種性血管内凝固症候群(DIC)では全身性持続性の著しい凝固活性化と出血傾向が生じるため、以下の検査異常が認められる。

  • 血小板数の減少 ・フィブリノーゲンの減少 ・出血時間の延長
  • APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)とPT(プロトロンビン時間)の延長
  • FDP(フィブリン分解産物)の増加 ・Dダイマーの増加

※DダイマーはFDPの分解により産生される画分の1つである。FDPとDダイマーは線溶系の亢進の指標となる。

 

よって誤っているものは③、FDPの増加に直すとよい。

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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