薬理

薬理学:代謝①-糖尿病・高脂血症(17問)

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問1 グリベンクラミドの作用機序はどれか。

①GLP-1受容体に結合して、cAMP増加

②SU受容体に結合して、Kチャネル閉口

③インスリン受容体に結合して、糖を細胞内に取り込む

正解は②でした!

【解説】

①誤。リラグルチドの作用機序である。リラグルチドはグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)作動薬であり、膵β細胞のGLP-1受容体に結合して、cAMP増加させ、血糖依存的にインスリンを分泌させる。その為、低血糖のリスクは少ない。

②正。グリベンクラミドの作用機序である。グリベンクラミドはスルホニルウレア(SU)構造を持ち、SU受容体に結合して、ATP依存性のKチャネル閉口→膜の脱分極→Ca2+チャネル開口→細胞内のCa2+増加に伴いインスリン分泌促進。という機序でインスリンを分泌させる。

③誤。インスリンの作用機序である。インスリンは主に骨格筋や脂肪組織においてグルコースの取り込みを促進し血糖値を低下させる。グリコーゲンの合成促進、分解抑制作用も示す。

 

問2 SU受容体に作用せずインスリンを分泌させる薬物はどれか。

①ミチグリニド

②グリメピリド

③ブホルミン

正解は③でした!

【解説】

①誤。ミチグリニドはSU構造をもたないが、膵臓ランゲルハンス島β細胞のSU受容体に結合して、インスリン分泌を促進する。即効性の作用を持つ。

②誤。グリメピリドはSU薬であり、SU構造を有する。

③正。ブホルミンはAMPキナーゼを活性化させて、インスリンの作用増強、肝臓での糖新生の抑制と糖利用を促進して血糖値を低下させる。重大な副作用として乳酸アシドーシスがある。

 

問3 AMPキナーゼを活性化させる血糖降下薬はどれか。

①メトホルミン

②ミグリトール

③ピオグリタゾン

正解は①でした!

【解説】

①正。メトホルミンはビグアナイド系の血糖降下薬であり、AMPキナーゼ活性化による糖新生の抑制、糖利用の促進により血糖を低下させる。インスリン分泌促進作用はない。

②誤。ミグリトールはα-グルコシダーゼ阻害薬であり、二糖類から単糖類への分解を抑制し、腸管吸収を抑制させる。

③誤。ピオグリタゾンはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPARγ)を刺激して、TNF-α産生抑制、アディポネクチン産生促進によりインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)を改善する。

 

問4 重大な副作用に心不全や浮腫がある糖尿病治療薬はどれか。

①アログリプチン

②ピオグリタゾン

③ルセオグリフロジン

正解は②でした!

【解説】

①誤。アログリプチンの重大な副作用には低血糖や急性膵炎がある。

②正。ピオグリタゾンの重大な副作用に心不全や浮腫があり、心不全患者への投与は禁忌である。

③誤。ルセオグリフロジンの重大な副作用は低血糖の他に、脱水や腎盂腎炎がある。SGLT2阻害薬の高齢者への投与では脱水による高血糖昏睡などで死亡例も報告されている。

 

問5 消化管で糖類の吸収を抑制するのはどれか。

①ボグリボース

②イプラグリフロジン

③エキセナチド

正解は①でした!

【解説】

①正。ボグリボースはα-グルコシダーゼ阻害剤であり、消化管での単糖類の吸収を抑制する。食事直前に服用する薬であり、服用を忘れると十分な効果が得られない。その作用機序から、低血糖症状時にはショ糖ではなく、ブドウ糖を摂取する必要がある。

②誤。イプラグリフロジンは尿細管のSGLTを阻害して、糖の再吸収を抑制することで、尿中への糖類の排泄を抑制する。尿中の浸透圧が上昇するため、脱水傾向がみられること、尿中の糖類濃度が上昇するため、尿路感染症のリスクが上昇する。

③誤。エキセナチドはGLP-1アナログ製剤であり、膵臓β細胞に作用し血糖依存的なインスリン分泌を促進する。そのため、低血糖のリスクは少ない。

 




問6 血糖依存的にインスリン分泌を促進するのはどれか。

①アカルボース

②アセトヘキサミド

③リナグリプチン

正解は③でした!

【解説】

①誤。アカルボースは二糖類から単糖類への分解を抑制するα-グルコシダーゼ阻害薬であるので、インスリン分泌を促進して血糖値を改善するものではない。

②誤。アセトヘキサミドはSU薬であり、血糖非依存的にインスリンを分泌する。その為低血糖のリスクは大きい。

③正。リナグリプチンはジペプチルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬であり、インクレチンの分解を抑制することで、血糖依存的にインスリンの分泌を抑制する。リナグリプチンは胆汁排泄型の薬剤のため、腎機能障害の患者にも使用しやすい。

 

問7 尿細管にてグルコースの再吸収を抑制するのはどれか。

①イプラグリフロジン

②シタグリプチン

③クロルプロパミド

正解は①でした!

【解説】

①正。イプラグリフロジンは尿細管のSGLTを阻害して、グルコース再吸収を抑制することで血糖値を低下させる。

②誤。シタグリプチンは、DPP-4を阻害してインクレチンの分解を抑制し、血糖値依存的なインスリン分泌を促進する。

③誤。クロルプロパミドはSU薬であり、膵臓β細胞のSU受容体に作用して、インスリン分泌を促進する。

 

問8 アルドース還元酵素を阻害して糖尿病性の末梢神経障害を改善するのはどれか。

①デュロキセチン

②メキシレチン

③エパルレスタット

正解は③でした!

【解説】

①誤。デュロキセチンはSNRIとして抗うつ治療に使用されるほか、中枢神経の下行性抑制経路を賦活化して、糖尿病性神経障害の疼痛除去に使用される。

②誤。メキシレチンは知覚神経のNaチャネルを遮断して糖尿病性神経障害におけるしびれ等の改善に使用される。

③正。エパルレスタットはアルドース還元酵素を阻害して、神経細胞内のソルビトールの蓄積を抑制し、糖尿病性抹消神経障害におけるしびれ、疼痛を改善する。

 

問9 持効型インスリンアナログ製剤はどれか。

①インスリングラルギン

②インスリングルリジン

③インスリンアスパルト

正解は①でした!

【解説】

①正。インスリングラルギンは持効型のインスリンアナログ製剤であり、インスリンの基礎分泌(食事の時に一過性に分泌される分ではなく、普段から分泌されている分)を補う目的で使用する。インスリン製剤は患者個々に合わせて超即効型、中間型、持効型を組み合わせて使用する。

②誤。インスリングルリジンは、超即効型のインスリンアナログ製剤であり、体内で速やかに6量体となり、作用発現が速く食後のインスリンの追加分泌を目的に使用する。

③誤。インスリンアスパルトは超即効型のインスリンアナログ製剤である。

 

問10 HMG-CoA還元酵素阻害薬はどれか。

①フェノフィブラート

②アトルバスタチン

③コレスチミド

正解は②でした!

【解説】

①誤。フェノフィブラートはフィブラート系の脂質異常症治療薬である。PPARαを刺激して、リポタンパクリパーゼを活性化してトリグリセリドの分解を促進する。脂肪酸のβ酸化を促進してトリグリセリドの合成を抑制、コレステロール合成の抑制作用を示す。

②正。アトルバスタチンはスタチン系の脂質異常症治療薬であり、HMG-CoA還元酵素を阻害して、HMG-CoAからメバロン酸への変換を抑制してコレステロールの合成を抑制する。

③誤。コレスチミドは腸内で胆汁酸と結合し排泄され、外因性のコレステロールの吸収を抑制する。

 




問11 主に高トリグリセリド血症を改善するのはどれか。

①デキストラン硫酸エステル

②シンバスタチン

③プロブコール

正解は①でした!

【解説】

①正。デキストラン硫酸エステルはリパタンパク質リパーゼを活性化させて、トリグリセリドの分解を促進し、主に高トリグリセリド血症を改善する。

②誤。シンバスタチンはHMG-CoA還元酵素を阻害して、コレステロールの生合成を阻害し、主に高コレステロール血症を改善する。プロドラッグであり、生体内で代謝を受けて薬効を示す。CYP3A4で代謝されるためイトラコナゾール等と併用禁忌である。

③誤。プロブコールはコレステロールから胆汁酸への異化を促進し排泄する。主に高コレステロール血症を改善する。

 

問12 コレステロールトランスポーター(NPC1L1)を阻害するのはどれか。

①ガンマオリザノール

②ニセリトール

③エゼチミブ

正解は③でした!

【解説】

①誤。ガンマオリザノールはコレステロールの消化管吸収抑制作用、合成抑制、排泄促進作用を示す。

②誤。ニセリトールはニコチン酸誘導体であり、ニコチン酸受容体に作用して脂肪細胞のアデニル酸シクラーゼ活性を抑制しcAMPを減少させる。その結果、脂肪組織からの遊離脂肪酸の動員を抑制し、肝臓への脂肪酸供給不足によりトリグリセリドの合成を抑制する。

​③正。エゼチミブはコレステロールトランスポーターのNPC1L1を阻害して、腸管からのコレステロール吸収を抑制する。

 

問13 プラバスタチンと併用することで、横紋筋融解症のリスクが上昇する薬物はどれか。

①ベザフィブラート

②エゼチミブ

③エボロクマブ

正解は①でした!

【解説】

①正。ベザフィブラートのようなフィブラート系薬は、スタチン系薬との併用により横紋筋融解症のリスクが上昇するため、原則併用禁忌である。

​②誤。エゼチミブは単独で使用されるほか、スタチン系薬のみで効果不十分な場合に併用される。

③誤。エボロクマブは、ヒト抗PCSK9モノクローナル抗体であり、スタチン系による既存の治療で効果不十分な(家族性)高コレステロール血症にスタチン系と併用で使用される。

 

問14 ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αを刺激するのはどれか。

①プロブコール

②コレスチミド

③クロフィブラート

正解は③でした!

【解説】

①誤。プロブコールはコレステロールの異化排泄促進、活性酸素のスカベンジャー作用によりLDLコレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化の防止に有効である。

②誤。コレスチミドは陰イオン交換樹脂であり、腸内で胆汁酸を吸着して排泄させる。ワルファリンなどの酸性薬物と併用すると吸着し、薬物間相互作用を引き起こす。

③正。クロフィブラートはPPARαを刺激して、リパタンパクリパーゼを活性化させて、高トリグリセリド血症を改善する。

 

問15 ニコチン受容体に結合してトリグリセリド値を改善するのはどれか。

①ピタバスタチン

②ニコモール

③ニコランジル

正解は②でした!

【解説】

①誤。ピタバスタチンはHMG-CoA還元酵素を阻害して、コレステロールの生合成を阻害する。シクロスポリンと併用すると血中濃度が上昇し、重篤な副作用を引き起こすため禁忌である。

②正。ニコモールはニコチン酸誘導体であり、ニコチン酸受容体に作用して遊離脂肪酸の動員を抑制し、トリグリセリドの生成を抑制する。

③誤。ニコランジルはATP感受性Kチャネルを開口させて、冠血管を拡張させる。名前が似ているので引っかからないようにしましょう。

 




問16 コレステロールの異化を促進するのはどれか。

①プロブコール

②ロスバスタチン

③エゼチミブ

正解は①でした!

【解説】

①正。プロブコールはコレステロールから胆汁酸への異化(分解)を促進して排泄を促進する。腸内循環により肝臓へ供給される胆汁酸量の減少により、血清コレステロール値を低下させる。

②誤。ロスバスタチンはHMG-CoA還元酵素を阻害して、コレステロールの生合成を阻害する。シクロスポリンとの併用で血中濃度が上昇するため禁忌である。

③誤。エゼチミブはコレステロールトランスポーター(NPC1L1)を阻害して、小腸からのコレステロール吸収を抑制する。

 

問17 主として青魚に含まれる成分で、コレステロールの吸収抑制、合成を低下させるのはどれか。

①イコサペント酸エチル

②ガンマオリザノール

③セチリスタット

正解は①でした!

【解説】

①正。イコサペント酸エチルは青魚に含まれるエイコサペンタエン酸製剤で、コレステロール及びトリグリセリドの吸収抑制、生合成抑制作用により血清コレステロール値を低下させる。

②誤。ガンマオリザノールは植物ステロール類であり、コレステロール吸収抑制作用を示す。

③誤。セチリスタットは膵臓から分泌されるリパーゼを阻害して脂質分解を抑制して消化管吸収を抑制する。適応は肥満症(2型糖尿病及び脂質異常症であり、運動・食事療法でもBMIが25kg/m以上)であり、薬価未収載品である。

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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