薬理

薬理学:自律神経系②(14問)

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問1 コリンエステラーゼの陰性部のみに作用し、重症筋無力症の診断に用いるものはどれか。

①ジスチグミン

②アンベノニウム

③エドロホニウム

正解は③でした!

【解説】

エドロホニウムの特徴を問う問題ですね。頻出ですよ!

なお、エドロホニウムのコリンエステラーゼ阻害作用は弱く、かつ短時間です。

 

問2 非可逆的コリンエステラーゼ阻害薬の解毒薬にはプラリドキシム(PAM)及びアトロピンがある。プラリドキシムの作用機序として正しいのはどれか。

①コリンエステラーゼ分子に結合した有機リン化合物を解離させ、コリンエステラーゼを再び作用できるようにする

②アセチルコリンM受容体を直接遮断する

③アドレナリンα及びβ受容体を直接刺激する

正解は①でした!

【解説】

①正。プラリドキシムは、コリンエステラーゼ分子に結合した有機リン化合物を解離させ、コリンエステラーゼを再び作用できるようにしてくれます。

②誤。アセチルコリンM受容体を直接遮断するのは、アトロピンです。

③誤。

 

問3 点眼により散瞳(瞳孔括約筋弛緩)、眼圧上昇(シュレム管閉口)、遠視性調節麻痺を現すのはどれか。

①ブナゾシン

②ホマトロピン

③ジスチグミン

正解は②でした!

【解説】

ホマトロピンは抗コリン作用を示す点眼剤のため、文章の特徴に当てはまります。

ホマトロピン、シクロペントラート、トロピカミドの3つは知っておいてほしい点眼による抗コリン薬です。

 

問4 膀胱平滑筋弛緩作用により頻尿治療に用いられる薬物群はどれか。

①オキシブチニン、プロピベリン、ソリフェナシン、トルテロジン

②アセチルコリン、カルバコール、ベタネコール

③ジスチグミン、ネオスチグミン

正解は①でした!

【解説】

膀胱平滑筋弛緩作用を示し、頻尿治療に用いられる薬物ということは、抗コリン薬を選べばOK。

②は直接型の副交感神経興奮薬、③はコリンエステラーゼを阻害する、間接型の副交感神経興奮薬ですね。

 

問5 切迫流産・早産に用いられないのはどれか。

①リトドリン

②ネオスチグミン

③ピペリドレート

正解は②でした!

【解説】

リトドリンはβ受容体の刺激作用により、ピペリドレートはM受容体遮断作用により、子宮平滑筋弛緩による流産・早産の防止作用を示します。

ネオスチグミンは、アセチルコリンの分解を阻害するので、子宮平滑筋の収縮を招く恐れがあり、逆効果です。

 




問6 チオトロピウムの説明として正しいものはどれか。

①パーキンソン症候群に用いられ、3級アミン構造を持つ

②消化管の鎮痙目的で経口投与にて使用され、4級アンモニウム構造を持つ

③気管支腺分泌抑制作用が弱く、気管支収縮を抑制し、慢性閉塞性気管支炎(COPD)に用いられる

正解は③でした!

【解説】

チオトロピウム、イプラトロピウムなどは、気管支腺分泌抑制作用が弱く、気管支平滑筋の収縮を抑制し、気管支喘息や慢性閉塞性気管支炎(COPD)に用いられます。

 

問7 トリヘキシフェニジルの説明として正しいものはどれか。

①パーキンソン症候群に用いられ、3級アミン構造を持つ

②消化管の鎮痙目的で経口投与にて使用され、4級アンモニウム構造を持つ

③気管支腺分泌抑制作用が弱く、気管支収縮を抑制し、慢性閉塞性気管支炎(COPD)に用いられる

正解は①でした!

【解説】

トリヘキシフェニジルやビペリデンは抗コリン薬であり、特に薬剤性パーキンソン症候群に用いられます。

3級アミン構造を持つため中枢移行性を示す。

 

問8 メペンゾラートの説明として正しいものはどれか。

①パーキンソン症候群に適応を持つ

②過敏性腸症候群に対して適応を持つ

③気管支喘息に適応を持つ

正解は②でした!

【解説】メペンゾラートは、消化管にてM受容体を遮断し、過敏性腸症候群による症状を改善します。

 

問9 ピレンゼピンの作用機序として正しいものはどれか。

①選択的にアセチルコリンM受容体を遮断する

②選択的にアセチルコリンM受容体を遮断する

③選択的にアセチルコリンM受容体を遮断する

正解は①でした!

【解説】

ピレンゼピンは、選択的にアセチルコリンM受容体を遮断し、胃酸分泌を抑制します。

胃潰瘍に用いられます。

 

問10 アトロピンの心機能促進作用に基づく作用機序はどれか。

①アセチルコリンM受容体遮断

②アセチルコリンM受容体遮断

③アセチルコリンM受容体遮断

正解は②でした!

【解説】

アセチルコリンM受容体は、Giタンパク質共役型受容体であり刺激により心機能の抑制、心拍数の減少が起こります。

アトロピンは、M受容体はM、M、Mを遮断するため、この中のM受容体遮断作用により、心機能促進が現れます。

 




問11 アセチルコリンによる血管拡張作用として正しいものはどれか。

①血管平滑筋M受容体刺激 → 一酸化窒素(NO)合成酵素阻害 → 血管拡張

②血管内皮細胞M受容体刺激 → NO遊離促進 → 血管拡張

③血管内皮細胞M受容体刺激 → NO合成酵素阻害 → 血管拡張

正解は②でした!

【解説】

アセチルコリンは、血管内皮細胞のM受容体刺激し、NOの遊離を促進します。

NOによるグアニル酸シクラーゼ活性化作用により、cGMPの合成が促進され、血管拡張作用を示します。

なお、もしも実験的に血管の内皮細胞を取り除き、アセチルコリンが血管「平滑筋」のM受容体を直接刺激した場合は、血管の収縮反応が起こります。

 

問12 麻酔下の動物に、ある薬物を前処置し、アドレナリンを投与すると血圧降下反応が見られる。前処置したある薬物とはどれか。

①フェントラミン

②プロプラノロール

③エチレフリン

正解は①でした!

【解説】

フェントラミンの前処置により、α受容体が遮断された状態で、アドレナリンを投与すると、アドレナリンはβ受容体しか向かえるところがなく、血管においてはβ作用が強く現れます。

この、血管平滑筋へのβ受容体刺激作用のため、血管拡張、つまり血圧降下作用が現れます。

 

問13 麻酔下の動物に、ある薬物を前処置し、大量のアセチルコリンを投与すると血圧上昇反応が見られた。前処置したある薬物とはどれか。

①アトロピン

②メタコリン

③エドロホニウム

正解は①でした!

【解説】

アトロピンンの前処置により、ムスカリン受容体が遮断された状態で、アセチルコリンを投与すると、アセチルコリンはニコチン受容体に向かうしかなくなります(普段は、アセチルコリンの外からの投与ではニコチン受容体への作用は現れにくい)。

 

ニコチン作用といえば「副腎髄質からのアドレナリン遊離促進」です。この遊離したアドレナリンによって、血圧上昇作用が現れます。

 

問14 節遮断薬(ヘキサメトニウムなど)投与後に現れる反応として誤っているものはどれか。

①心機能亢進

②腸管平滑筋弛緩

③血管収縮

正解は③でした!

【解説】

節遮断薬を投与すると、各臓器にとっての「優位支配神経」の遮断効果が現れます。では、優位支配神経とは何か?それは、ほとんどの臓器にとって、「副交感神経」のことを指します。

よって、「節遮断作用=抗コリン作用」と考えることができます(①、②はともに副交感神経の抑制作用と考えることができるため、OKの記述です)。

 

・・・しかし、僅かながら例外が存在するのですが、それが血管における反応です。血管では例外的に優位支配神経が「交感神経」になっており、節遮断薬を投与すると交感神経の遮断(特にα遮断)効果が現れ、血管は拡張します。

 

簡単にまとめると、

★節遮断薬を使用すると・・・ → ほとんどの臓器では抗コリン作用が出現 → でも、血管は拡張する★

上記の流れを押さえておけばほとんどの問題はOKです。よって、選択肢の中では③が誤り。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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