薬剤

薬剤:代謝、排泄(21問)

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問1 脂溶性の異物をより水溶性の高い化合物に変換することをなんというか。

①吸収

②分布

③代謝

正解は③でした!

【解説】

一般的に、体内に入ってきた異物を水溶性の高い化合物に変換し体外に排泄しやすい形にすることを代謝という。

一部水溶性を下げ脂溶性を高くすることもある(広義では、化合物の構造を変化させる反応を代謝と呼ぶ)。

 

問2 薬物代謝の第Ⅰ相反応はどれか。

①酸化

②アセチル抱合

③グルクロン酸抱合

正解は①でした!

【解説】

一般に、第Ⅰ相反応は酸化、還元、加水分解によって薬物を水溶性の高い物質へと変換していく。

一方、第Ⅱ相反応は水溶性の大きな物質を結合していくなどの抱合反応がある。

 

問3 一般的に薬物の水溶性が低下する代謝反応はどれか。

①エステルの加水分解

②グルクロン酸抱合

③アセチル抱合

正解は③でした!

【解説】

アセチル抱合ではアセチル基(—COCH3)を付けることにより水溶性は低下する。

これはN-アセチルトランスフェラーゼによって触媒される。

エステルの加水分解はエステラーゼ、グルクロン酸抱合はUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼを触媒とする。

 

問4 モルヒネの活性代謝物はどれか。

①モルヒネ-3-グルクロニド

②モルヒネ-6-グルクロニド

③コデイン

正解は②でした!

【解説】

一般的に代謝され薬効は消失するが、代謝されることにより薬理活性の増強する薬物がある。このような薬物を活性代謝物という。

モルヒネはグルクロン酸抱合によりモルヒネの3位にグルクロン酸が結合することにより鎮痛作用が強くなり、活性代謝物のモルヒネ-6-グルクロニドとなる。

一方モルヒネの3位にグルクロン酸が結合するとモルヒネ-3-グルクロニドとなり鎮痛作用は消失する。

コデインはCYP2D6によって脱アルキル化を受けてモルヒネとなる。

 

問5 グルクロン酸抱合の酵素はどれか。

①スルホトランスフェラーゼ

②UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ

③N-アセチルトランスフェラーゼ

正解は②でした!

【解説】

グルクロン酸抱合の触媒はUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼである。

スルホトランスフェラーゼは硫酸抱合の、N-アセチルトランスフェラーゼはアセチル抱合の酵素である。

 




問6 CYP1A2で主に代謝される薬物はどれか。

①テオフィリン

②シクロスポリン

③シメチジン

正解は①でした!

【解説】

CYP1A2で代謝される代表的な薬物としてテオフィリン、プロプラノロールやイミプラミンなどがある。

シクロスポリン、シメチジンはCYP3A4で主に代謝される。CYP3A4は多くの薬物の基質となる。

 

問7 CYP2C19で主に代謝される薬物はどれか。

①エリスロマイシン

②ワルファリン

③オメプラゾール

正解は③でした!

【解説】

オメプラゾールはCYP2C19で代謝される。

エリスロマイシンはCYP3A4でワルファリンはCYP2C9で主に代謝される。

 

問8 最も多くの薬物を代謝する酵素はどれか。

①CYP1A2

②CYP2C9

③CYP3A4

正解は③でした!

【解説】

CYP3A4は多くの薬物を代謝する。

 

問9 CYP3A4を誘導しない薬物はどれか。

①カルバマゼピン

②フェニトイン

③オメプラゾール

正解は③でした!

【解説】

オメプラゾールはCYP1A2を誘導する。また喫煙などもこれを誘導する。

CYP3A4はリファンピシン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、フェニトインなどがある。

 

問10 CYP3A4を阻害する薬物はどれか。

①クラリスロマイシン

②グレープフルーツジュース

③オメプラゾール

正解は①でした!

【解説】

CYP3A4を阻害する薬物はクラリスロマイシンの他、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、エリスロマイシン、リトナビルなどがある。

グレープフルーツジュースもCYP3A4を阻害する。

オメプラゾールはCYP2C19を阻害する。

 




問11 グルタチオン抱合の基質となるのはどれか。

①ベンゼン

②安息香酸

③エタノール

正解は①でした!

【解説】

グルタチオン抱合の基質となるものはベンゼンである。

安息香酸はアミノ酸抱合、エタノールはCYP2E1の基質である。

 

問12 CYPのヘム鉄に配位結合することによりCYPを阻害する薬物はどれか。

①ワルファリン

②シメチジン

③モルヒネ

正解は②でした!

【解説】

イミダゾール骨格を持つシメチジン、トリアゾール骨格を持つイトラコナゾールはCYPのヘム鉄に配位結合し活性化を阻害する。

 

問13 肝血流律速型の薬物はどれか。

①プロプラノロール

②ワルファリン

③アンチピリン

正解は①でした!

【解説】

肝血流律速型の薬物とは肝血流速度に影響を受けて肝クリアランスが変化しやすい薬物のことである。

薬物としてはプロプラノロール、リドカイン、ニトログリセリンなどがある。

 

問14 肝固有クリアランス律速型で血漿タンパク結合率が大きい薬物はどれか。

①ニトログリセリン

②リドカイン

③ワルファリン

正解は③でした!

【解説】

肝固有クリアランス律速型の薬物とは肝固有クリアランスが変化すると肝クリアランスが変化しやすくなる薬物のことである。

肝固有クリアランス律速型の薬物はタンパク結合に影響を受けやすいものと受けにくいものとある。

タンパク結合の大きい薬物は肝クリアランスがタンパク結合に影響を受けやすくなる。

代表的な薬物としてワルファリン、トルブタミド、フェニトインなどがある。

 

問15 肝固有クリアランス律速型で血漿タンパク結合率が小さい薬物はどれか。

①テオフィリン

②ベラパミル

③ワルファリン

正解は①でした!

【解説】

肝固有クリアランス律速型の薬物とは肝固有クリアランスが変化すると肝クリアランスが変化しやすくなる薬物のことである。

肝固有クリアランス律速型の薬物はタンパク結合に影響を受けやすいものと受けにくいものとある。

タンパク結合の小さい薬物は肝クリアランスがタンパク結合に影響を受けにくくなる。

代表的な薬物としてテオフィリン、アンチピリンなどがある。

 

問16 Well-stirredモデルを用いて、肝クリアランス(CLh)と肝固有クリアランス(Clint)との関係式はどれか。(fp:血漿タンパク非結合率 Qh:肝血流速度)

①CLh=(Qh+fp+CLint)/(Qh×fp×CLint)

②CLh=(Qh×fp×CLint)/(Qh+fp×CLint)

③CLh=(Qh+fp×CLint)/(Qh×fp+CLint)

正解は②でした!

【解説】

正しく覚えましょう。

 

問17 腎排泄の機構で誤っているのはどれか。

①糸球体ろ過

②尿細管再吸収

③腸肝循環

正解は③でした!

【解説】

腸肝循環腸から吸収された薬物が門脈を通って肝臓で代謝を受け胆管を通ってまた腸に排泄される経路のことである。

これには腎臓はかかわっていない。

 




問18 糸球体ろ過のみ受ける物質はどれか。

①プロベネシド

②クレアチニン

③グルコース

正解は②でした!

【解説】

腎排泄は糸球体ろ過、尿細管分泌および尿細管再吸収の3つの経路がかかわっている。

糸球体ろ過のみ受ける物質にはクレアチニン、イヌリンなどがある。

プロベネシドは糸球体ろ過と有機アニオントランスポーターにより尿細管分泌もうける。

 

またグルコースは糸球体ろ過とSGLT2により尿細管からの再吸収を受ける。正常血糖血であればほぼ100%が血中に再吸収され尿中には血糖は検出されないが血糖値の上昇によりこのトランスポーターが飽和し尿中に血糖が検出された状態が継続するのが糖尿病である。

 

治療薬としてこのトランスポーターを阻害することにより糸球体ろ過された薬物が再吸収されないようにする薬物がSGLT2阻害薬のイプラグリフロジンやダパグリフロジンである。

 

問19 パラアミノ馬尿酸、メトトレキサートなどの薬物の尿細管分泌に関するトランスポーターはどれか。

①有機アニオントランスポーター

②ペプチドトランスポーター

③アミノ酸トランスポーター

正解は①でした!

【解説】

パラアミノ馬尿酸やメトトレキサートは酸性物質でありプラスの電荷をもっているため有機アニオントランスポーターにより尿細管に分泌される。

 

問20 ジゴキシンの血中濃度はニフェジピンの併用によって上昇するが、これにかかわるトランスポーターはどれか。

①有機アニオントランスポーター

②ペプチドトランスポーター

③P-糖タンパク質

正解は③でした!

【解説】

ジゴキシン、ニフェジピンともにP-糖タンパク質の基質であり併用するとP-糖タンパク質の飽和が起こりジゴキシンの血中濃度が上昇する可能性がある。

 

問21 臨床でペニシリンの濃度を上昇させるために用いられる薬物はどれか。

①プロベネシド

②フェブキソスタット

③キニジン

正解は①でした!

【解説】

プロベネシドがペニシリンの有機カチオントランスポーターを競合的に阻害することによってペニシリンの血中濃度が上昇し、尿中排泄が低下する。

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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