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問1 バラシクロビルは腎機能に応じて用量調節が必要である。75歳、男性、体重50kg、帯状疱疹の患者の血液検査の結果、BUN = 27 、血清クレアチニンCr = 1.42 mg/dL であった。この患者に投与すべきバラシクロビルの1日の用法用量として正しいものを1つ選べ。なお添付文書上の用法・用量は以下の通りである。
① 1日 2000 mg 分2 朝夕食後
② 1日 1000 mg 分1 朝食後
③ 1日 500 mg 分1 朝食後
正解は①でした!
【解説】
バラシクロビルは腎排泄型の薬剤であり、腎機能に応じて用量調節が必要である。添付文書上に用量調節について記載があるためその記載に従って投与量を決定すれば良い。
今回はクレアチニンクリアランスを算出する必要があるためCockcroft-Gaultの式を用いてクレアチニンクリアランスCCLを計算すると
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CCL(mL/min) = {(140 - 年齢)×体重(kg)}/ {72×血清クレアチニン値(mg/dL)}
= {(140 - 75)×50}/ (72×1.42)
= 31.79
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でありクレアチニンクリアランスが30〜49の範囲にあるため帯状疱疹では1回1000 mg を12時間毎に投与することになる。
従って① 1日 2000 mg 分2 朝夕食後 が正解となる。
問2 肝疾患時の薬物動態変動について正しい記述を次の中から1つ選べ。
① 肝硬変では肝血流量の低下と肝実質細胞の薬物代謝機能の低下による代謝クリアランスの低下がある。従って肝代謝型の薬物の投与量は増量しなければならない。
② 肝機能が低下すると血漿中のアルブミン量が増加する。従ってタンパク結合率の高い薬物は増加したアルブミンに結合する分だけ遊離型の薬物が減るため投与量を増やす必要がある。
③ 閉塞性黄疸では胆汁排泄によって消失を受ける薬物では薬物消失が減少する。従って胆汁排泄型の薬物の投与量は減量する必要がある。
正解は③でした!
【解説】
①誤。 肝硬変では肝血流量の低下と肝実質細胞の薬物代謝機能の低下による代謝クリアランスの低下があるため肝代謝型の薬物の投与量は減量しなければならない。
②誤。 肝臓は血漿中のアルブミンを産生する臓器であり、肝機能の低下とともに血漿中のアルブミン量は減少する。これにより血漿タンパク結合率が低下し、肝臓で代謝を受ける遊離型の濃度の増加による肝クリアランスの増加が見られるため薬物の投与量は増やす必要がある。
③正。 胆汁からの排泄遅延により薬物が体内に滞留するため投与量は減量する必要がある。
問3 心疾患時の薬物動態変動として正しいものを1つ選べ。
肝・腎血流量 | 血漿中アルブミン量 | 肝・腎クリアランス | |
① | 低下 | 増加 | 増加 |
② | 増加 | 低下 | 増加 |
③ | 低下 | 低下 | 低下 |
正解は③でした!
【解説】
心疾患時には心拍出量が低下し、それに伴い肝機能や腎機能不全が起こる。
心不全時には、肝臓や腎臓の血流速度の低下、肝臓での薬物代謝酵素活性の低下、血漿中アルブミン量の低下などが起こる。
肝機能や腎機能の低下に伴い薬物のクリアランスは低下する。
問4 新生児の薬物動態について、成人と比較して増大するものを1つ選べ。
① 胃内pH
② 血漿タンパク結合率
③ グルクロン酸抱合能
正解は①でした!
【解説】
①正。 新生児では成人と比べて胃酸の産生能力が低く胃内pHは高くなる。乳児期にはほぼ成人と同等程度になる。
②誤。 新生児ではアルブミンやα1-酸性糖タンパク質などの血漿タンパク濃度が低く、薬物の血漿タンパク結合率は低くなる。
③誤。 新生児のグルクロン酸抱合能は低い。対して硫酸抱合能は発達が早いことが特徴である。グルクロン酸抱合が未発達によりクロラムフェニコールの代謝が遅れグレイ症候群を引き起こす。
問5 小児の薬物動態変動に関して、誤っている記述を1つ選べ。
① 体重あたりの薬物代謝能は成人より大きい。
② 体水分率が成人に比較して大きいので、水溶性薬物の血中濃度は高まる。
③ 糸球体濾過能は2歳ごろで成人と同じレベルになる。
正解は②でした!
【解説】
①誤。 記述は正しい。肝臓の発育が他の臓器に比べて早いこと、体重に占める肝臓の割合が大きいことから体重あたりの薬物代謝能は成人に比べて大きくなる。
②正。 記述に誤りがある。小児は体水分率が高いので水溶性薬物は組織に分布しやすくなる。従って血中濃度は低下する。これにより小児ではしばしば体重あたりの投与量が成人より大きくなる。
③誤。 記述は正しい。糸球体濾過能は新生児で成人の20%、2ヶ月で成人の50%、2歳ごろで成人と同等となる。尿細管分泌と再吸収の発達は糸球体濾過能よりも遅れる。
問6 高齢者の薬物動態変動について、健常成人と比べて増大するものを1つ選べ。
① 脂溶性薬物の分布容積
② 血漿タンパク結合率
③ 腎クリアランス
正解は①でした!
【解説】
①正。 高齢者は体水分率が小さくなり、体脂質率が大きくなるため脂溶性薬剤は組織に分布しやすくなる。このため分布容積は増大する。
②誤。 高齢者ではアルブミンの産生が低下する。これにより薬物のタンパクに結合できる量が少なくなるためタンパク結合率が低下する。
③誤。 加齢とともに腎機能は衰える。その結果腎クリアランスは低下し、薬物が体内に貯留する傾向になる。
問7 妊婦の薬物動態変動について、健常成人と比較して低下するものを1つ選べ。
① 肝血流量
② 血漿アルブミン濃度
③ 腎血流量
正解は②でした!
【解説】
①誤。 妊娠すると代謝を活発にするため肝血流量は増加する。肝クリアランスが増大するため肝代謝型の薬剤の血中濃度は低下する。
②正。 妊娠すると体水分量と血漿容量が増大する。アルブミンの生産量は変わらないため見かけのアルブミン濃度は低下する。
③誤。 体水分量が増加するため水分を調節するために腎血流量も増加する。
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