現在、IT業界の需要は高いものの、争が激しく、常に最新の技術や知識を身につけなければなりません。また、残業やプレッシャーが多く、ワークライフバランスが崩れがちです。
本記事は、そんなIT業界から製薬・医療業界に転職を考えているあなた向けの記事です!
言っちゃ悪いですが、正直、IT業界はブラック基質です。あなたの職場も少なからずそうだと思います。(違ったらすみません…)
クライアントのスケジュールに合わせて開発したにも関わらず、要件定義がしっかりとできていなくて上流工程からやり直し…。でもスケジュールはそのままなので残業三昧。
こんなケースも少なくありません。
そんなブラックなIT業界の転職先として注目されているのが、製薬・医療業界です。
現在、製薬・医療業界ではIT人材の需要が非常に高まっているものの、認知度が低いため人材が集まっていないのが現状です。
その中でも特に狙うなら「製薬企業」。というか、IT人材が転職するなら製薬企業一本に絞ってもいいです。
本記事をご覧のあなただけには、そんな製薬企業のイイトコロをお伝えしていきましょう!
最初に言ってしまうと、メリットはコレです↓↓
製薬企業のメリット
- 高年収(600万円~1,200万円超)
- 福利厚生の充実度(特に住宅関連制度)
- 在宅ワークなどのワークライフバランス
製薬・医療業界ではDXが推進されている
これは製薬・医療業界に限った話ではありませんが、世界的・日本中で今、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が推進されています。
製薬企業は、
- 新薬の研究・開発
- 製造
- 流通
- 営業活動
- 発売後の安全性情報の収集
- ビックデータの解析
- リアルワールドデータの解析
などなど、幅広い業務によって、多種多様な情報を保有しています。
しかしながら、これまでの製薬企業はうまく情報やデータを活用できず、業務の効率化やイノベーションが生じにくい環境でした。
そんな環境では、グローバルな企業成長は見込めません。
そこで、大手製薬企業を中心に、DXによる業務の効率化はもちろん、イノベーションによって医療・治療の質を向上し、より患者さんに貢献できる環境構築が求められています。
具体的な取り組みやビジョンについては、各製薬企業のHP等に掲載されていますので、ぜひご覧になってみてください。
- 中外製薬:CHUGAI DIGITAL
- 小野薬品:デジタル・ITによる企業変革の取り組み
- 第一三共:DX - データと先進デジタル技術の活用
- 武田薬品:DX INSIGHTS
- エーザイ:製剤開発デジタルトランスフォーメーション(DX)
- アステラス製薬:デジタルトランスフォーメーション(DX)
- ノバルティスファーマ:データとデジタルテクノロジー
わかりやすいのは中外製薬の資料ですかね。
将来像までしっかりとイメージされている印象で、経済産業省の「DXプラチナ企業」にも選定されている唯一の製薬企業です。
中外製薬|CHUGAI DIGITAL とは
と、そんなこんなで大手製薬企業を中心としたDXの推進が今まさに始まっているところです!
しかしながら、2030年までIT人材の不足は年々増加すると予測されています(経済産業省:IT人材需給に関する調査 調査報告書)。
つまり、各社の取り合いです。
IT人材が転職する際に、まず候補に入るのは大手IT企業でしょう。
それこそ、Google、Amazon、Ciscoといった外資系から、Yahoo!、ソフトバンク、NTT、富士通といった内資系の企業などが選択肢に入ると思います。
そんな中で製薬業界・医療業界は認知度が低く、人材確保に苦慮しているのが現実です。しかし、そこが狙い目でもあります。
IT人材(DX人材)が製薬企業で働くメリット3選
冒頭に、製薬・医療業界で需要が高まっているものの、おススメは「製薬企業」という話をしました。
敢えて「医療業界」というのを外しているのですが、医療業界を含めると、病院・薬局などの医療機関の求人も含みます。
薬局でも、今後はオンライン服薬指導やオンライン薬局など、ITを活用した新たな価値創造が求められています。実際に、大手の日本調剤でも「デジタルトランスフォーメーション戦略」というものを掲げていました。
しかし、大手の薬局の給与体系は役職・勤続年数のテーブルで決められていることが多く、なかなか給与に反映されないのが現実です(正直、そこまで高年収は望めません)。
また、在宅ワークの環境や仕組みが構築されていないこともしばしばあります。
よって、「今」、医療業界に転職するのであれば、製薬企業を目指して高年収かつ働きやすい環境を得るのが最も得策だと考えます。なお、「医療機器メーカー」も製薬企業と同じ需要と待遇のため、医療機器メーカーを目指すのもありです。
製薬企業のメリット
- 高年収(600万円~1,200万円超)
- 福利厚生の充実度(特に住宅関連制度)
- 在宅ワークなどのワークライフバランス
高年収:最低でも年収600万円(最高1,200万円超も)
何といってもお金。
そう、製薬企業は高年収が簡単に狙えるのが最もよいメリットでしょう。
相場としては、こんな感じです。
- 大手製薬企業(外資系):700万円~1,500万円
- 大手製薬企業(内資系):600万円~1,000万円
- 中規模製薬企業:600万円~800万円
- 小規模製薬企業:500万円前後
実際に、JAC Recruitmentで求人を検索したところ、製薬企業・医療機器メーカーのIT人材でも高年収求人が多くありました。
武田薬品のPMや社内SE求人
医療機器メーカーの社内インフラ
dodaでもエーザイのIT人材求人が見つかりました。
エーザイのIT人材求人:年収は600万円~1,100万円
いずれも年収600万円を超えていますね!!!それだけ需要があるということでしょう。
しかし、この需要は何十年も続くものではありません。今のうちから選択肢に入れるためにも、JAC Recruitmentやdodaなどで情報取集をしておきましょう。
福利厚生が充実している(特に住宅関連制度)
続いて福利厚生ですが、その中でも特に伝えたいのが住宅関連制度です。
通常、一般企業は「家賃補助」として月に数万円を支給しているケースが多いと思います。
家賃補助って、見かけの年収は上がりますが、課税対象のため、税金も引かれますし、家賃としてもっていかれるため、あまりうま味がないんですよねぇー…。
しかーーーーし!
製薬企業で多く取り入れられている住宅関連制度は「借り上げ社宅制度」です。
会社にもよりますが、賃貸の家賃を会社が7~8割ほど負担してくれる制度で、社員は残りの2~3割を支払うだけというものです。
借り上げ社宅制度
- 第一三共:会社が7~8割負担。年齢制限や勤務地制限あり
- 中外製薬:会社が8割負担。期間制限あり
- ノバルティスファーマ:会社が7~8割負担
- ファイザー:自己負担が5万円前後になるように調整
その他、今では数は少なくなりましたが、「持ち家制度」と呼ばれる制度を導入している会社もあります。
製薬会社の住宅補助はヒエラルキーがあって↓
家賃補助(課税😒)
借上社宅(非課税8割補助😆)最高位は何と言っても
持ち家制度🤤
住んでる間何年間か、会社がローンの支払いを負担する、しかも結構な金額を、都内なら住んで転売で生きていける。
この制度ある会社まだあるのかな🤔
いいな🙇♂️— バイオベンチャーMR (@ikinobitaimr) April 27, 2023
各社の制度は様々ですが、なかなかネットには開示されていません。
JAC Recruitmentなら細かい住宅関連制度の情報を持っているため、聞いてみるとよいでしょう。
もちろん、その他の福利厚生も一般企業より充実しています。年休消化率が高いのもいいですね~。
製薬メーカーへおいで(大手に限る)
・有給消化率8〜9割
・30〜35歳で年収1,000万
・借上社宅エグい(都内5万で住める)
・高粗利→社員への還元(高年収)
・商材が薬💊抜群の安定需要
・社会的信用→与信MAX→不動産
・GW.年末年始.お盆 は9〜11連休顧客も医者なので、パンピー相手してるより楽しいよ
— プロパー八重洲 (@yaesu_pro) June 24, 2023
在宅ワーク(フルリモートも可)の環境が整備
IT業界では十分に浸透した在宅ワークですが、業界によってはまだまだ不十分なところもあります。
製薬企業については、大手を中心に在宅ワークの環境が整備されています。外資系ならフルリモートもしくは週1回出社、内資系も週1~2回出社と言うところが多い印象です。
内資系大手のアステラス製薬は、2023年10月以降も「フルリモート勤務」を継続するとのことでした。
アステラス 「フルリモート勤務」を継続、貢献度や能力給などで高い相関丨医薬経済社https://t.co/K2NRYza49u
— 医薬経済社 (@risfax_iyaku) October 1, 2023
JAC Recruitmentで求人を検索したところ、居住地不問のフルリモート可能な高年収求人も見つかります。
以上が製薬企業や医療機器メーカーで働く際のメリットです。
認知度が低い業界ですが、利益率が高く、高年収・福利厚生・働く環境が全て整っているのが特徴でしょう。
製薬企業で働く際の注意点
両手を挙げて製薬企業に転職!といきたいところですが、もちろん注意点もあります。
業界ならではの働く上での注意点を確認しておきましょう。
新薬のパイプラインをみておく
利益率が高い医薬品を取り扱っている一方で、それに頼りすぎている面もあります。
一つの薬ができるまでに、
- 歳月は9〜17年
- 費用は約500億円
- 成功確率は約3万分の1
といわれています。
中外製薬|くすりを創る
候補となる化合物を見つけ、10年もの歳月と500憶円を投資したとしても、最終段階で国の承認が得られずにダメになってしまうことも多々あります。
そのため、製薬企業には強い研究開発力が求められています。
研究開発力のない会社は、今はよくてもいずれは新薬が枯渇してしまい、ジリ貧になることが目に見えていますからね。
研究開発力を確認するには、各社の「パイプライン(開発候補・開発段階の医薬品リスト)」が参考になります。というか、製薬企業に転職するなら必ず確認しておく必要があるでしょう。
「〇〇〇(企業名) パイプライン」とGoogle検索すればすぐに出てくると思います。
例えば、こちらは第一三共のパイプラインです。フェーズ1~3まであって、フェーズ3が最も承認・上市される可能性が高い医薬品です。
こちらはイーライリリーのパイプラインです。開発後期=フェーズ3と読み替えていただいて問題ありません。
ただ、パット見て、何がよいのかはよく分からないと思います。
そんな時にもJAC Recruitmentやdodaなどで情報取集してみましょう。担当者は医療業界に特化しているため、パイプラインの状況や、ネットでは公開されていない今後の上市予定なども教えてくれます。
早期退職が活発
製薬企業は早期退職が活発です。
これは前述の医薬品開発が困難なことや、医薬品の薬価が年々減少していることが理由です。
今は見かけ上の売り上げ・利益が順調でも、経営陣は未来の利益を見ています。そのため、順調に見えている時に早期退職を行う傾向があります。
2023年度もいくつかの企業で早期退職が実施されていました。
AnswersNews|製薬業界 止まらぬ早期退職、中堅にも広がる動き
一般的に製薬企業の早期退職時には、退職金の割り増しが行われます。
会社にもよりますが、3~4年分の年収が上乗せされるケースもあるため、年齢によってはそれでFIREという可能性も十分あります。
むかし同僚だった製薬MRのおっちゃんで、2回の早期退職を経験して約7,000万円の退職金をゲットした人がいます。
・1回目 40代 推定3,000万円
・2回目 50代 推定4,000万円しかも奥さんも製薬業界で勤務中。
人生チートすぎて禿げるほど羨ましい。— でんすけ💰 (@MRdensuke1) September 14, 2023
過去に早期退職を実施していた会社や、今後可能性のある会社についてもJAC Recruitmentやdodaなどで担当者に聞くと教えてくれますよ~♪
喫煙者は敬遠される
IT業界は喫煙率が高い傾向にありますが、製薬企業は全くの逆で喫煙率が低い傾向です。
「就業内禁煙」や「喫煙率0%」を目指している会社も多々ありますので、転職時の面談で聞かれることもあります。
喫煙は趣向品のため、否定するわけではありません。
これは時代の流れもありますし、生命関連製品を取り扱っている業界特有の特徴でもありますからね。
このあたりの温度感は会社によってかなり異なりますので、事前に情報収集しておくとよいでしょう。
求められるスキル・経験
さて、そんな製薬企業で、「今」求められているスキルや経験はなんでしょうか。
各社のDXビジョンの中で謳われているキーワードは主に3つです。
- IT基盤の構築
- クラウド
- セキュリティ
今まさにDXの実現化に向けて走り出している企業が多いため、まずは基盤構築(インフラ構築)が最優先事項です。
もちろん、第一三共の「Integrated Data Analytics Platform(IDAP)」や、小野薬品の「OASIS」など、既に基盤構築が完了している会社もあります。
あとは何と言っても「クラウド化」や「クラウドリフト」でしょう。
これまでのシステムは、各社がオンプレサーバを資産として保有し、データセンターで運用しているケースが多かったのですが、昨今は自社で資産として保有せずに、どんどんクラウドに移行しているケースが多くなってきました。
実際に、エーザイでも機密性の高い創薬の研究開発のためのシステムをAWSに構築し、従来30日かかっていた計算を1日で終えることも可能になったようです。
AWS導入事例|エーザイ株式会社
また、昨今はサイバー攻撃が盛んなため、セキュリティの強化を積極的に行っている会社が多いです。既存環境の見直しやリプレース時にセキュリティを高めた構築が求められています。
製薬企業も「CSIRT」を組織的に立ち上げていますので、そういった人材募集もたまにあります。
Nippon CSIRT Association|Astellas-CSIRT
製薬企業のIT人材は、実際にプログラミングするようなプログラマーは少なく、どちらかと言うと、社内SEや情報システム部のような管理する立場で採用されることが多いです(もちろん、アプリ開発者として採用されるケースもあります)。
よって、経験やスキルとしては以下が望ましいです。
- プロジェクトリーダー経験:3年以上が望ましい
- 要件定義からリリースまでの経験:特に要件定義に3年以上経験があるとよい
- クラウド構築の経験:AWSやAzureなどの主要なクラウドサービスの認定資格があると有利
- セキュリティ分野での実務経験:他社CSIRT経験があるとよい
クラウド構築を実務でやったことがなくとも、用語やキーワードは少なくとも理解できるレベルが好ましいです。例えば、AWSなら「EC2」、「インスタンスタイプ」、「S3」、「FSx」、「リージョン」などなど、基本用語は理解しておいた方が良いでしょう。
あと、外資系企業なら英語力が問われますが、そこまで必須でない会社も多いため、JAC Recruitmentやdodaなどで担当者に相談してみてください(以下はJAC Recruitmentの検索例)。
まとめ
本記事は、IT業界から製薬・医療業界に転職を考えているあなたに、少しでも働くイメージが思い浮かべていただけたらな、と思い執筆しました。
製薬企業は非常にホワイトで働きやすく、IT人材の需要が高まっているものの、認知度が低くて知らなかったという事態は避けて欲しいんです。
まずは製薬企業の求人募集がどのような条件で出ているのか、転職エージェントサイトを通じて情報収集してみてください。きっと、今まで見たことないような条件で驚くはずです。
製薬企業×IT人材に強みのある転職エージェントサイトは少ないのですが、その中でも以下の2社が比較的多くの求人を取り扱っていました。
>>JAC Recruitment:https://www.jac-recruitment.jp/
>>doda:https://doda.jp/
JAC Recruitmentは、1975年に海外進出する日系企業の人材採用を支援するため、田崎忠良(創業者)がロンドンでJAC Recruitmentを創業したとのことです。今も海外で活動していることから、「外資系製薬企業」の求人が豊富です。
実は私もJAC Recruitmentの利用者で、今でも定期的に求人情報を送ってもらっています(↓こんなメールが届きます)。
保有している求人の年収も高額(600万円以上)が多いため、外資系で高年収を希望したいなら、第一に登録しておくべきサイトです(もちろん、内資系企業の求人も一部保有しています)。
あとは、内資系企業に強みのあるdodaと併用するのがおススメです。
JAC Recruitmentは全体的な求人数が少ない傾向にありますが、製薬企業×IT人材の全体的な求人数はdodaの方が多く、中小企業から大企業まで様々な案件を取り扱っています。
はっきり言って、今の製薬企業のIT人材の取り合いはめちゃくちゃ激化しています。さらに、この需要は数十年も続きません。
ですので、情報収集や転職を考えるなら「今」です。早めに製薬企業に転職し、ホワイトな働き方と高年収を実現してみてくださいね。
本記事が、そのきっかけとなれば大変嬉しく思います。