薬理

薬理学:自律神経系①(20問)

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問1 アドレナリンの説明として正しいものはどれか。

①アドレナリンα受容体刺激作用を示す

②筋注後、血液脳関門を通過する

③MAO、COMTによる代謝を受けない

正解は①でした!

【解説】

①正。アドレナリンはα及びβ受容体刺激作用を示します。

②誤。アドレナリンはカテコールアミンの1種で、薬剤として投与した際には、血液脳関門は通過しない。

③誤。アドレナリンはカテコールアミンの1種で、MAO、COMTによる代謝を受ける。

 

※カテコールアミン(イソプレナリン、ドブタミン、ノルアドレナリン、ドパミン、アドレナリン)は薬剤として投与した際に、(1)中枢移行性がない(2)MAO、COMTによる代謝を受けるため経口投与にて無効、という共通の性質を持つ。

 

問2 選択的アドレナリンα1受容体刺激薬はどれか。

①エチレフリン

②ノルアドレナリン

③フェニレフリン

正解は③でした!

【解説】フェニレフリンは代表的なα受容体刺激薬。

ちみなに、エチレフリンはαβ刺激薬です。

エチレフリンは、カテコールアミンにも該当せず、MAOやCOMTによる代謝を受けにくいため経口投与が可能です。

 

問3 ナファゾリンの充血除去の機序はどれか。

①アドレナリンα受容体刺激

②アドレナリンβ受容体刺激

③アドレナリンβ受容体刺激

正解は①でした!

【解説】

ナファゾリンは代表的なα受容体刺激薬。

血管収縮作用による、充血除去作用を示す。

また、点鼻薬にて、鼻閉の改善にも用いられています。

 

問4 アドレナリン作動薬の基本骨格に関する説明のうち正しいのはどれか。

①基本骨格はフェニルエチルアミンである

②芳香環のヒドロキシル基がなくなると中枢作用が弱くなる

③芳香環とアミノ基の間には、炭素原子が3つある場合に交感神経興奮作用は最大となる

正解は①でした!

【解説】※構造はアドレナリン

①正。フェニルエチルアミン=フェニル基(ベンゼン環)+エチル(炭素数2)+アミン

アドレナリンの構造を、左から確認していくと、納得できます。

②誤。ベンゼン環(芳香環)のヒドロキシル基がなくなると中枢作用が強くなります。

覚醒剤(アンフェタミン、メタンフェタミン)やエフェドリンなどは、このベンゼン環部分のヒドロキシル基がないため、中枢移行性を示します。

③誤。芳香環とアミノ基の間には、炭素原子が「2つ」ある場合に交感神経興奮作用は最大となります。

 

問5 以下の構造の薬物が示す作用はどれか。

①心機能抑制作用を持つ

②血管収縮作用を持つ

③気管支を拡張させる

正解は③でした!

【解説】

構造はイソプレナリンです。

アミンに枝分かれのあるプロピル基(イソプロピル基)がついているのが目印です。

イソプレナリンはβ刺激作用を示すため、心機能促進、血管拡張、気管支拡張などの作用を示します。




問6 ドパミン、ドブタミン、デノパミンに共通する作用はどれか。

①選択的アドレナリンβ受容体刺激による心機能促進作用

②選択的アドレナリンα受容体刺激作用による血管収縮作用

③選択的アドレナリンβ受容体刺激による過活動膀胱の改善作用

正解は①でした!

【解説】

ド~ミン、デ~ミン、というような名前は、β受容体刺激薬の特徴です。

心機能の促進作用を示し、急性の心不全に用いられます。

 

問7 メチルエフェドリンの説明として正しいのはどれか。

①交感神経終末からのノルアドレナリン遊離を促進するとともに、アドレナリンβ受容体を直接刺激する

②覚醒剤に指定されている

③気管支拡張作用にてタキフィラキシーを生じる

正解は①でした!

【解説】

①正。メチルエフェドリンやエフェドリンは、交感神経終末からのノルアドレナリン遊離を促進するとともに、アドレナリンβ受容体を直接刺激するため、「混合型交感神経興奮薬」などとも呼ばれています。

②誤。覚醒剤「原料」に指定されています。

③誤。メチルエフェドリンの使用で、神経内ノルアドレナリンが枯れ果て、交感神経興奮作用が減弱したとしても、β受容体は継続して直接刺激できるので、気管支拡張作用においてはタキフィラキシー(短時間、繰り返し投与での作用の減弱)は現れない。

 

問8 チラミンの説明として正しいのはどれか。

①副交感神経終末からのアセチルコリン遊離を促進する

②覚醒剤原料に指定されている

③血圧上昇作用にてタキフィラキシーを生じる

正解は③でした!

【解説】

①誤。交感神経終末からのノルアドレナリン遊離を促進します。

②誤。チラミンは医薬品にはなく、赤ワインやチーズ、チョコレートに含有されています。

③正。短時間に大量にチラミンが作用すると、神経内のノルアドレナリンが出し尽くされてしまい、交感神経興奮作用を示せなくなります。この作用減弱をタキフィラキシーといいます。

 

問9 「非選択的」α受容体遮断薬であるフェントラミン投与後に現れる反応はどれか。

①血圧上昇、心拍数増加

②血圧降下、心拍数増加

③血圧上昇、心拍数減少

正解は②でした!

【解説】

まず、フェントラミンはαとα受容体の両方を遮断する「非選択的」なα遮断薬です。

α受容体の遮断作用により、血管が拡張し、血圧が降下します。

・・・が、α受容体の遮断作用によりノルアドレナリンの遊離が促進されます。遊離したノルアドレナリンは心臓のβ受容体に作用し、心機能の亢進を引き起こします。

フェントラミンは、「血圧は下げるけども心拍数を上げる」という作用機序をもっています。

 

問10 タムスロシン及びシロドシンの説明として正しいものはどれか。

①アドレナリンβ受容体を刺激し、腹圧性尿失禁を改善する

②アセチルコリンM受容体を遮断し、過活動膀胱を改善する

③アドレナリンα1A受容体を遮断し、前立腺肥大に伴う排尿困難を改善する

正解は③でした!

【解説】

タムスロシン及びシロドシンは、アドレナリンα1A受容体を遮断し、前立腺平滑筋を弛緩させることで、前立腺肥大に伴う排尿困難を改善します。

この時、前立腺の大きさ自体は変化させません。前立腺を縮小させる作用は、抗アンドロゲン薬(フルタミドなど)に見られます。

 




問11 アドレナリンβ1受容体を選択的に遮断し、高血圧症に用いられるものはどれか。

①ピンドロール

②ビソプロロール

③カルベジロール

正解は②でした!

【解説】ビソプロロールは、アドレナリンβ1受容体を選択的に遮断し、高血圧症、狭心症、頻脈性不整脈などに用いられます。

 

アテノロール、アセブトロール、メトプロロール、ビソプロロール、ベタキソロール・・・、これら5つが選択的なβ1受容体遮断薬と覚えることは、とっても重要です!!!!選択的β1受容体遮断薬であれば、気管支喘息を併発している患者にも使用することができます(慎重に投与する必要はありますが)。

 

プロプラノロールなどの非選択的β受容体遮断薬は、気管支喘息患者には投与禁忌です。

 

問12 プロプラノロールが、気管支収縮を起こす作用機序はどれか。

①アドレナリンβ受容体遮断

②アドレナリンα及びβ1受容体遮断

③ロイコトリエン受容体遮断

正解は①でした!

【解説】

プロプラノロールなどの非選択的β受容体遮断薬は、β受容体の遮断作用により気管支の収縮を招いてしまいます。

気管支喘息を罹患している方には投与禁忌です。

 

問13 ラベタロール及びカルベジロールに共通する特徴はどれか。

①アドレナリンβ1受容体を選択的に遮断し、頻脈性不整脈に用いられる

②アドレナリンα及びβ1受容体を遮断し、反射性頻脈の副作用を起こしにくい

③アドレナリンα1A受容体を選択的に遮断し、高血圧症に用いられる

正解は②でした!

【解説】

ラベタロール及びカルベジロールは、アドレナリンα及びβ1受容体を遮断し、高血圧症に用いられます。

血管拡張に伴う反射性頻脈は、「β遮断作用」つまり「心機能抑制作用」を含んでいる製剤であるため、起きにくい。

 

問14 アドレナリンβ受容体遮断作用に加え、ニトログリセリンに類似した血管拡張作用を示すのはどれか。

①プロプラノロール

②チモロール

③ニプラジロール

正解は③でした!

【解説】

ニプラジロールの「ニ」は、ニトロの「ニ」と覚えておくと忘れにくいですよ!

 

問15 交感神経節後線維終末及び、血管運動中枢でのアドレナリンα受容体を刺激し、ノルアドレナリンの遊離を抑制するものはどれか。

①ミドドリン

②クロニジン

③イソクスプリン

正解は②でした!

【解説】

クロニジン及びメチルドパは、交感神経節後線維終末及び、血管運動中枢でのアドレナリンα受容体を刺激し、ノルアドレナリンの遊離を抑制します。

高血圧の治療薬であり、妊婦にも使用できることが特徴です。

 




問16 眼圧降下作用を示す、ブリモニジンの作用機序はどれか。

①アドレナリンβ受容体遮断

②アドレナリンα受容体刺激

③アドレナリンα受容体刺激

正解は②でした!

【解説】

クロニジン同様、ブリモニジンも「~ニジン」と名前に含まれているのが特徴です!

アドレナリンα受容体を刺激し、眼房水産生抑制作用と眼房水排出促進作用(ぶどう膜強膜流出路から)を示し、眼圧を降下させます。

 

比較的、新しい薬。現場でもちょいちょい見かけますね。

 

問17 コリンエステラーゼによる分解を受けにくく、ムスカリン受容体を選択的に刺激するものはどれか。

①ツボクラリン

②リドカイン

③ベタネコール

正解は③でした!

【解説】

合成コリン作動薬の中では、特にベタネコールとカルバコールがコリンエステラーゼによる分解を受けにくい薬剤です。

また、その中でもムスカリン受容体に選択的に刺激する方がベタネコール、ムスカリン受容体とニコチン受容体を刺激する方がカルバコールです。

 

問18 ニコチン受容体を刺激し、副腎髄質からのアドレナリン遊離促進作用を示すものはどれか。

①プロパンテリン

②カルバコール

③ドパミン

正解は②でした!

【解説】

自律神経系の範囲で、ニコチン作用といえば「副腎髄質からのアドレナリン遊離促進」だとお考え下さい!

ニコチン作用を示すものは、カルバコールです。

 

問19 副交感神経系に関する薬の組み合わせのうち正しいのはどれか。

①非可逆的コリンエステラーゼ阻害薬・・・フィゾスチグミン、アンベノニウム

②可逆的コリンエステラーゼ阻害薬・・・サリン、パラチオン

③アセチルコリンM受容体遮断薬・・・プロパンテリン、ブチルスコポラミン

正解は③でした!

【解説】

以下に正しい組み合わせを示します。

可逆的コリンエステラーゼ阻害薬・・・フィゾスチグミン、アンベノニウム

非可逆的コリンエステラーゼ阻害薬・・・サリン、パラチオン

アセチルコリンM受容体遮断薬・・・プロパンテリン、ブチルスコポラミン

 

問20 アセチルコリンM受容体を刺激し、眼房水排出による眼圧降下作用及びレンズ体肥厚による近視性調節麻痺が現れるものはどれか。

①トロピカミド

②シクロペントラート

③ピロカルピン

正解は③でした!

【解説】ピロカルピンがM刺激薬であること、忘れがちになるので要チェックです!

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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