衛生

衛生:異物の体内動態と代謝①(15問)

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問1 異物の体内動態と代謝に関する以下の記述のうち正しいものはどれか。

①異物代謝の第Ⅱ相反応では酸化、還元及び加水分解が主に行われる。

②代謝されることにより毒性が高まることを代謝的活性化という。

③異物代謝の第Ⅰ相反応では抱合反応が行われる。

正解は②でした!

【解説】

①誤。第Ⅰ相反応で起きる反応である。

②正。毒性だけでなく薬理活性が高まる場合も代謝的活性化という。

③誤。抱合反応は第Ⅱ相反応である。

 

問2 肝ホモジネートの遠心分離においてS9画分を抽出するときにかかる重力加速度(g)はどれか。

①90

②900

③9000

正解は③でした!

【解説】

9000×g 上清をS9と呼ぶので知っておこう。

 

問3 グルクロン酸抱合を行う酵素がある画分はどこか。

①可溶性画分

②ミクロソーム画分

③ミトコンドリア画分

正解は②でした!

【解説】

ミクロソーム画分にはグルクロン酸抱合やシトクロムP450やメチル抱合を行う酵素が存在する。

 

問4 硫酸抱合酵素が含まれる画分はどこか。

①可溶性画分

②ミクロソーム画分

③ミトコンドリア画分

正解は①でした!

【解説】

可溶性画分には硫酸抱合やグルタチオン抱合、アセチル抱合を行う酵素が含まれている。

 




問5 アミノ酸抱合酵素がある画分はどこか。

①可溶性画分

②ミクロソーム画分

③ミトコンドリア画分

正解は③でした!

【解説】

ミトコンドリア画分にはアミノ酸抱合酵素や一部のシトクロムP450が存在する。

 

問6 シトクロムP450が主に存在する細胞内小器官はどこか。

①滑面小胞体

②粗面小胞体

③リソソーム

正解は①でした!

【解説】

滑面小胞体を多く含む画分はミクロソーム画分といわれグルクロン酸抱合やシトクロムP450、メチル抱合酵素が主に存在する。

 

問7 シトクロムP450に関する記述のうち誤っているものはどれか。

①ヘムタンパク質でありヘム鉄を含んでいる。

②嫌気的条件下では還元反応を触媒することもある。

③CO2と結合し、450nmに吸収極大を示すのでシトクロムP450と呼ばれている。

正解は③でした!

【解説】

①正。

②正。

③誤。CO2ではなくCOと結合し、450nmに吸収極大を示すからである。

 

問8 ベンゾ〔α〕ピレンを基質とするシトクロムP450の分子種はどれか。

①CYP1A1

②CYP1A2

③CYP2B

正解は①でした!

【解説】

CYP1A1は芳香族炭化水素受容体を介して3-メチルコラントレン、ダイオキシン類や喫煙にて誘導される。

 

問9 オメプラゾールを主な基質とするCYP分子種はどれか。

①CYP1A1

②CYP2C19

③CYP3A4

正解は②でした!

【解説】

CYP2C19に関しては遺伝子多型がある。

日本人の代謝速度の遅いPM(poor metabolizer)の頻度は約20%である。

 




問10 シトクロムP450の酸化反応機構において、シトクロムP450はNADPHと分子状酸素の存在下、主にNADPHによって供給される電子を利用して結果的に異物に酸素原子一個を付加し、残りの酸素原子を水に還元するがこの際利用する電子はいくつか。

①1つ

②2つ

③3つ

正解は②でした!

【解説】

主にNADPHによって供給される電子2個を利用して酸化反応を行う。

なお、還元型P450(Fe2)はO2よりもCOとより高い親和性があり、COの存在によりシトクロムP450の酸化反応は阻害される。

 

問11 CYPヘム鉄に配位結合をすることで代謝を可逆的に阻害する薬剤はどれか。

①エリスロマイシン

②シメチジン

③アスピリン

正解は②でした!

【解説】

酸化はヘム鉄の第六配位座に結合した分子状酸素が活性化されることにより起こる。

この第六配位座に薬物が配位結合すると、酸素が結合できなくなり、CYPの活性が可逆的に阻害される。

代表的な薬剤にはイミダゾール環をもつシメチジンやトリアゾール環をもつイトラコナゾールなどがある。

 

問12 正常状態で最も多量に存在するCYP分子種はどれか。

①CYP1A2

②CYP2C9

③CYP3A4

正解は③でした!

【解説】

CYP3A4は多くの薬物を基質とし、最もよく知られているCYP分子種である。

代表的な基質にはニフェジピン、リドカイン、トリアゾラム、アフラトキシンB1などがある。

 

問13 胎児型のP450であり生後1年で20分の1に低下するものはどれか。

①CYP2B

②CYP2E1

③CYP3A7

正解は③でした!

【解説】

CYP3A7は胎児型のCYP分子種であり、生後1年で20分の1に低下することが知られている。

 




問14 シトクロムP450の脱アルキル化において共通して生成するものはどれか。

①アルデヒド

②二酸化炭素

③一酸化窒素

正解は①でした!

【解説】

ヘテロ原子につくメチル基やエチル基ではα位が酸化されやすい。

α水酸化体は不安定であり、結果的に脱アルキル化を受ける。

シトクロムP450による脱アルキル化ではアルキル基と同じ炭素数のアルデヒドを生じる。

 

問15 ベンゾ〔α〕ピレンのエポキシ化に関与する主なシトクロムP450の分子種はどれか。

①CYP1A1

②CYP2C19

③CYP3A4

正解は①でした!

【解説】

ベンゾ〔α〕ピレンは主にCYP1A1によってエポキシ化され、7,8-エポキシドを生成し、エポキシドヒドロラーゼによって、7,8-ジオールを生成する。

さらにCYP1A1によりエポキシ化され活性本体である7,8-ジオール9,10-エポキシドを生成する。

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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